軒下から「チュンチュン」と聞こえてきたときは、正直ちょっとうれしかった。そう振り返る人は多いはずです。ところが数週間もすると、ベランダの床が白い点だらけになり、洗濯物を干す場所を選ぶようになり、朝の鳴き声で目が覚めるようになる。スズメよけを調べ始める人は、だいたいこの順番でここにたどり着きます。
先に結論をお伝えします。スズメよけで確実に効くのは「入らせない・止まらせない」という物理的な対策で、光ものや天敵のおもちゃは時間を稼ぐための補助です。CDやキラキラテープは、スズメがベランダに来はじめた初期段階から数日しか効果が望めないと指摘されています。そして最大のポイントは、対策を打つ時期。スズメの繁殖期は3月から8月で、その間に巣ができてしまうと、法律上こちらから手を出せなくなる場面が出てきます。
この記事では、全長14.5cmという相手のサイズと習性から逆算して、防鳥ネット・スパイク・光もの・天敵のおもちゃ・隙間ふさぎの5つの手段を同じ土俵で比べます。そのうえで、100均でそろうグッズがどこまで戦えるのか、繁殖期前にやっておくべき作業は何か、そして「捕まえる」「卵を捨てる」がなぜ違法になるのかまで、順番に見ていきましょう。
・スズメよけのグッズ5種を「仕組み・持続・向く場所」で比べた一覧
・防鳥ネットの網目15mmという数字が効く理由と、張り方でつまずく箇所
・100均グッズの正しい使い方と、慣れられないための工夫
・巣を作られる前に終わらせるべき時期(2月中旬〜3月)と手順
・捕獲・卵の除去が違法になる線引きと罰則
スズメよけを考える前に、全長14.5cmの相手を知る
14.5cmの体が「通れる場所」を探して歩いている
スズメは全長14.5cm、翼を広げると22.5cmほどの小鳥です。成鳥は頭部が茶褐色で、顔から首周りは白く、ほおに黒斑があります。この体格が、スズメよけを難しくしている最大の理由です。カラスやハトを想定した対策が、そのままではスズメに通用しません。
なぜ体の大きさが決定打になるのか。スズメが狙うのは、木造住宅の屋根裏、軒下、ベランダといった「隙間」だからです。人から見れば通気口のわずかな口や、瓦の下のちょっとした欠け、外壁と樋のあいだの数センチにすぎません。しかし14.5cmの体は、そこに入り込んで奥に営巣スペースを見つけてしまいます。
実際に確認するときは、地面から見上げるのではなく、脚立を使って自分の目線を屋根に近づけてみてください。ベランダなら室外機の裏側と、手すりの支柱が壁に刺さっている根元。この2か所は上から覗くだけでは見えません。注意したいのは、「今は巣がないから大丈夫」と判断してしまうこと。スズメは営巣場所を探して同じ場所を何度も下見します。フンが一点に集まって落ちている場所があれば、そこはすでに止まり木として使われているサインです。
| 分類 | スズメ目スズメ科 |
| 全長 | 14.5cm(翼を広げると22.5cmほど) |
| 見られる季節 | 通年(繁殖期は3月〜8月) |
| 生息環境 | 市街地・農耕地・人家周辺(日本全国、小笠原諸島を除く) |
| 食性 | 雑食性。イネ科の草本の種子が中心、繁殖期は昆虫類 |
| 営巣場所 | 木造住宅の屋根裏・軒下・ベランダ・電柱部品・農業用施設 |
繁殖期は3月〜8月、1年に2回。1サイクルは約40日
スズメの繁殖は3月から8月にかけて、1年に2回ほど行われます。一腹あたりの産卵数はおよそ4.9〜5個、抱卵期間は10〜15日、ヒナが巣立つまでは12〜17日。産卵から巣立ち後までを合わせると、1サイクルはおおむね40日です。
この数字が対策のスケジュールを決めます。3月に1回目が始まり、それが終わってもまだ夏のあいだに2回目がある。つまり春から夏いっぱいは「いつ巣ができてもおかしくない期間」が続くということです。逆に言えば、手を打てる時間は繁殖期の外側、つまり秋から冬にかけてしかありません。
具体的には、2月中旬から3月にかけてが最後のタイムリミットになります。この時期までに隙間をふさいでおけば、そもそも営巣先として選ばれません。やりがちな失敗は、5月や6月に「巣ができてしまった」と気づいてから慌てて業者を探すことです。中に卵やヒナがいる巣は、許可なく撤去できません。約40日というサイクルを知っていれば、「今から動いても間に合わない」ことが計算できます。だからこそ、被害が落ち着いた秋のうちに現場を見ておく価値があります。
実は、警戒心が強いからこそ人の家に来ている
意外と知られていないのですが、スズメが人家の周りに集まるのは、人になついているからではありません。むしろ逆で、スズメは比較的警戒心が強く、天敵から安全な場所として人間の近くを選ぶ傾向があると説明されています。
猛禽類やヘビ、ネコにとって、人の出入りがある建物の軒下は近づきにくい場所です。スズメはそこを見抜いて、あえて人のテリトリーの内側に営巣します。人の身長より高い位置に巣を作るのも、地上からの天敵を避けるためだと考えられています。
この視点はスズメよけの発想を変えてくれます。「うちは人がよく通るから大丈夫」という前提は、スズメから見ればむしろ好条件だということです。だから、人が通ることを抑止力として期待しても効きません。効くのは、物理的に入れなくすること、止まれなくすること、そして「ここは天敵がいるかもしれない」と思わせること。次章以降で扱う対策は、すべてこの3つのどれかに当てはまります。
ちなみに、ほおの黒斑はニュウナイスズメとの見分けにも使う特徴です。庭に来ている鳥が本当にスズメなのか気になったときは、こちらの記事が役に立ちます。

庭先や駅前で見かける茶色い小鳥を、まとめて「スズメ」と呼んでいませんか。じつはそのなかに、スズメではない鳥がかなりの割合で混ざっています。逆に「これは別の鳥だ」…
食べているものは季節でまるごと入れ替わる
スズメはイネ科の草本の種子などを中心とした雑食性で、繁殖期には育雛のために昆虫類を多く採食します。季節でいうと、春は花の蜜、夏は昆虫類、秋は果実、冬は種子と、主食が入れ替わっていきます。
なぜこれがスズメよけに関係するのか。スズメが集まる理由の半分は「食べ物がある」ことだからです。夏に庭の植え込みへ執拗に来るなら、そこに虫がわいている可能性があります。秋冬にベランダへ来るなら、プランターの土に落ちた種子や、こぼれたペットフード、生ごみの匂いが引き金かもしれません。
実際の判断としては、スズメが降りる場所を数日観察して、地上で歩きながらつついているのか、それとも軒先に止まっているだけなのかを見分けます。地上採餌が中心なら食べ物の管理が効き、軒先で止まっているだけなら営巣の下見です。注意点として、餌の管理は「即効性がない」ことを覚えておいてください。食べ物を片づけても、営巣に適した隙間が残っていれば来続けます。食べ物の管理は、あくまで物理対策と組み合わせる下ごしらえです。
フンと騒音、そして9月の田んぼで起きていること
乾いたフンが粉塵になってからが本番
スズメの被害としてまず挙がるのはフンです。巣の周辺には大量に落下し、衛生上の問題を引き起こします。ここで見落とされがちなのが、湿ったフンより乾いたフンのほうが厄介だという点です。
乾燥してしまったフンは細かい粉塵となり、口や鼻から吸い込まれて感染や症状を起こす可能性があると指摘されています。フンには多数の細菌や寄生虫が含まれることがあり、人間の食べ物や飲み物を汚染するおそれもあります。関連する疾病としては、呼吸器の症状が出るオウム病や、結膜炎を起こすニューカッスル病が知られています。
具体的な場面で言えば、危ないのは「久しぶりにベランダを掃除しよう」とほうきで掃き始めた瞬間です。カラカラに乾いたフンが舞い上がり、いちばん濃い状態で吸い込むことになります。掃除するときはマスクとゴム手袋を着用し、直接触れないようにしてください。とくに小さな子どもは接触の危険性が高いとされているので、掃除中はベランダに出さないほうが安全です。
乾燥したフンは細かい粉塵となって舞い上がり、口や鼻から吸い込まれる可能性があります。掃除の前にマスクとゴム手袋を着用し、直接触れないようにしてください。小さな子どもは接触の危険性が高いとされています。健康面の不安がある場合は自己判断せず、医療機関や自治体の担当窓口に相談してください。
巣にはノミやダニもついてくる
スズメよけを「見た目の汚れ対策」だと思っていると、もうひとつの被害を見落とします。巣そのものが、ノミやダニの発生源になるという問題です。スズメの巣による被害としては、フンや騒音に加えて、ノミやダニによる健康リスクが挙げられています。
理由は巣の材料と構造にあります。スズメは草茎、わら、小枝、羽、そして人工の材料を集めて巣を作ります。これらが乾いた屋根裏や軒下にたまり、体温のある鳥とヒナが40日近くそこで暮らす。寄生虫にとっては条件がそろった環境です。
実際に困りやすいのは、ヒナが巣立ったあとです。宿主がいなくなった巣に残された虫が、屋根裏から室内へ移動してくることがあります。「巣立ったから解決した」と放置するのではなく、巣立ち後の巣は清掃したうえで、次の繁殖期前に対策を完了させることが推奨されています。注意点として、巣の撤去や清掃は乾いたフンと同じく粉塵が立ちます。作業時の装備は手を抜かないでください。
9月中旬、田んぼでミルク状の米が吸われている
家の被害と並んで検索されるのが、農作物の食害です。スズメの主な被害対象はイネやムギなどの穀類で、被害が集中するのは9月中旬。稲穂も頭を垂れるほど実ってきた状態で、スズメの食害が顕著になると説明されています。
特徴的なのは食べ方です。スズメは籾の中でお米がまだ固くならずに、ミルク状の時に吸います。硬くなった米を持ち去るのではなく、実る途中の中身を吸い取ってしまう。だから被害に気づいたときには、外から見て粒がそろっていない状態になっています。しかもこの時期は巣立った若鳥も加わって大きな群れになるため、被害が一気に拡大します。
家庭菜園の場合も同じ構図です。イネやムギを作っていなくても、ホウレンソウやコマツナなど穀類以外の種子も食べるため、被害は一年中におよぶとされています。まいた種が消える、芽が出たそばからついばまれる、という相談はここに当てはまります。対策の考え方は農地と共通で、詳しくはクボタの水稲栽培の解説ページにも被害時期の説明がまとまっています。
スズメよけグッズ5種を、同じ土俵で比べる
まず全体像を1枚の表で押さえる
スズメよけのグッズは種類が多く、店頭やネットで並んでいると「どれも同じくらい効きそう」に見えます。しかし実際には、効く仕組みが根本的に違います。整理すると、①入らせない(防鳥ネット)②止まらせない(スパイク)③驚かせる(光もの・天敵のおもちゃ)④住まわせない(隙間ふさぎ)の4系統です。
以下は、それぞれの仕組みと持続性、向いている場所を並べた比較表です(野鳥の教科書調べ/各メーカー・公的資料の記載をもとに整理)。ここを押さえると、自分の現場で何から手をつけるべきかが決まります。
| 手段 | 仕組み | 効き方の持続 | 向いている場所 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 防鳥ネット | 物理的に侵入をふさぐ | 張り続けるかぎり継続 | 開口部・通風口・畑 | 網目とすき間の管理が要 |
| スパイク | 着地・止まりを妨げる | 清掃すれば長期 | 手すり・室外機の上 | ゴミがたまると効果減 |
| 光もの(CD・テープ) | 反射光で警戒させる | 初期の数日中心 | 畑・庭・バルコニー | 慣れられる前提で使う |
| 天敵のおもちゃ | ヘビ・カラスと誤認させる | 置き場所を動かせば延命 | ベランダ・畑 | 強風対策の固定が必須 |
| 隙間ふさぎ(パテ等) | 営巣先そのものを消す | 恒久的 | 軒下・外壁の開口 | 繁殖期前に終える必要 |
「入らせない」ネットと「止まらせない」スパイク
効果の面で本命になるのは、上の表の上2つです。まず防鳥ネットは、スズメを追い払うのではなく、そもそも入れなくする道具です。農地での防除でも「小面積でコストより利益が勝るなら、防鳥ネットを張るのが一番効果的です。ただし、スズメはカラスより小さいので、網の目の大きさや網と地面のわずかなすき間にも注意しなければなりません。」と説明されています。効果が高い代わりに、施工の精度がそのまま結果になるということです。
スパイクは、ロッドが何本も突き出た台座をスズメの着地場所に設置して、スズメの侵入を防ぐものです。ステンレス製は折れにくく長持ちし、スズメを傷つけることなく追い出すことができるとされています。ベランダの手すりや室外機の上のように、「入り口」ではなく「足場」が問題になっている場所で効きます。
使い分けの基準はシンプルです。スズメが奥へ入っていくのを見たならネット、手前に止まっているだけならスパイク。両方あるならネットを先に張ります。注意したいのは、スパイクは設置して終わりではないこと。落ち葉、鳥の羽、砂ぼこりなどが溜まるとスパイクの効果が薄れるため、定期的な清掃が推奨されています。ゴミが積もった上は、鳥にとってただの平らな足場に戻ってしまいます。
「驚かせる」系は、時間を稼ぐための道具と割り切る
光ものや天敵のおもちゃは、ネットやスパイクとは役割が違います。これらはスズメの警戒心を利用するもので、物理的に何かを防いでいるわけではありません。すずめは警戒心が強く、キラキラと光る物や不規則に揺れるものを本能的に避ける傾向があるため、初期には確かに効きます。
ただし持続しません。「光モノ関連商品は全てCDと同じで、スズメがベランダに来はじめた初期段階から数日間しか効果が望めません。」という指摘があります。スズメは学習する鳥なので、揺れる光が自分に危害を加えないと分かれば戻ってきます。
では無意味かというと、そうではありません。使いどころは「ネットやスパイクを手配するまでのつなぎ」と「本命の対策を補強する二の矢」です。たとえば週末にネットを張ると決めたなら、それまでの数日をキラキラテープでしのぐ。あるいは、ネットで開口部をふさいだうえで、隣接する手すりに天敵のおもちゃを置いて全体の居心地を下げる。こうした使い方なら、短い効果でも十分に役立ちます。逆に、光ものだけで解決しようとすると必ず行き詰まります。
ベランダ・軒下・家庭菜園、どこから手をつけるか
同じスズメよけでも、現場によって最初の一手は変わります。読者タイプ別に整理しておきます。
集合住宅のベランダで困っている人は、まずスパイクです。理由は、賃貸で穴を開けられないケースが多く、被害の中心が手すりや室外機の上という「足場」だからです。スパイクは接着剤(工事用・屋外用)、ワイヤー、ケーブルタイ、ビス、釘など複数の方法で設置できるので、住まいの条件に合わせて選べます。
戸建ての軒下・屋根裏で困っている人は、隙間ふさぎが本命です。すでに営巣されているかどうかで進め方が変わるので、繁殖期の外で作業できるかをまず確認してください。家庭菜園や小さな畑なら、防鳥ネットが第一候補になります。ここで気をつけたいのは、面積が広いほどネットのコストと手間が効いてくること。狭い区画なら覆ってしまい、広い区画なら育てているもののうち被害の大きい列だけを守る、という割り切りも現実的です。
網目15mmという数字が、効く・効かないを分ける
スズメ用は15mm。ハト用の網では素通りする
防鳥ネットで最初に決めるのは網目のサイズです。スズメ・ムクドリ対応の鳥害対策用軽量ネットは、網目が15mmに設定されています。スズメなどの小型鳥類対策には15mm目が推奨されており、この数字が対策の成否を分けます。
理由は前章のとおり、スズメの体が小さいからです。ハトやカラスを想定した網は目が粗く、スズメにとっては障害物になりません。ホームセンターで「防鳥ネット」とだけ書かれた製品を買い、張ってみたのにスズメが素通りする——という相談は、ほぼこの取り違えです。
参考までに、100均で購入できる防鳥ネットは約300×100cm、目合い2cmといった仕様で売られています。手軽さは魅力ですが、目合いは推奨の15mm目より粗く、スズメを止める前提の仕様ではありません。植えたばかりの種を数日守る用途なら選択肢になりますが、軒下の営巣防止のような恒久対策には力不足です。買う前に必ずパッケージの目合いを確認してください。
①網目:スズメ・ムクドリ対応は15mm。②糸の太さ:0.45mmの極細なら黒色でも目立ちにくく、建物の美観を損ないにくい。③重量:約31g/㎡クラスの軽量タイプは風の影響を受けにくく、設置や取り外しも楽に行えます。素材が難燃性ポリエチレンかどうかも確認しておくと安心です。
【失敗パターン1】網は正しいのに、端のすき間で全部が台無しになる
ネット対策でいちばん多い失敗は、製品選びではなく張り方にあります。網目15mmの正しいネットを買ったのに、下端が地面から浮いていた、壁との境目に指が入るほどのすき間が残っていた——これだけでスズメは中に入ります。
原因は、スズメの行動パターンにあります。スズメは地上で歩きながら採餌する習性があり、垂直に飛び込むより、低い位置から歩いて侵入口を探すほうが得意です。だから人間が「ここは通らないだろう」と思う地際や隅が、実際の突破口になります。前出の農地の解説でも、網の目の大きさと並んで「網と地面のわずかなすき間」への注意が明記されています。
対策は、張り終わったあとに自分の指を全周に沿って滑らせることです。目で見て確認するのではなく、触って確かめる。指2本分の隙間があれば、そこはふさぐ必要があります。業務用のネットには1m置きに吊りカン(取付け用リング)が付属し、網の両端の耳糸は高強力糸で補強されているものがあります。この吊りカンを飛ばさずに全部使うだけでも、たるみによる隙間はかなり減らせます。
穴を開けられない家でも張れる
「ネットが効くのは分かるけれど、賃貸だから壁に穴を開けられない」という声は多いはずです。この点は近年の製品で解決されつつあります。ネジやビスを使わず、専用の留め具とボンドで設置する施工方法があり、建物を傷つけずに張ることができます。
この方式が生きるのは、賃貸住宅、商業施設、高層ビルなど、穴あけができない場所です。原状回復の条件がある物件でも検討の余地が出てきます。もちろん、賃貸であれば施工の前に管理会社や大家さんへ確認するのが前提です。共用部にあたるベランダの手すりや外壁は、勝手に手を加えられないことがあります。
軽さも見逃せない利点です。約31g/㎡という軽量設計は風の影響を受けにくく、冬季の取り外しが不要で、雪や汚れが付着しにくいという特性もあります。年に一度の脱着作業が省けるのは、高所での作業を減らすという意味でも安全側に働きます。仕様に迷ったら、製品メーカーの仕様ページで網目・素材・重量を確認してから発注してください。カスタムサイズでの注文に対応している製品もあります。
100均グッズはどこまで戦えるのか
CDは1枚では足りない。3枚を団子にする
手軽さで最初に試されるのがCDです。鳥は光る物を嫌う習性があり、CDやテープなどのキラキラした物を吊るすと追い払えます。太陽の光に反応してキラキラと光るため、スズメが警戒して近づきにくくなる、という仕組みです。
ただし、吊るし方で結果が変わります。CDを1枚ぶら下げるのではなく、1つに対して3枚ほどを団子状にしてぶら下げる方がよいとされています。理由は、面が増えれば反射する向きが増え、風で回転したときに光がチラチラと動き続けるからです。1枚では、角度によって光らない時間が長く生まれてしまいます。
また、庭の広さやベランダの大きさによっては、1枚や2枚では効果が薄いと指摘されています。守りたい面積に対して数が足りているかを見てください。注意点として、吊るす位置は物干し竿やベランダの手すりなど、風で自由に揺れる場所を選ぶこと。壁に貼りつけてしまうと動かず、光の変化が生まれません。
ホログラムテープは「反射する側面」を増やす
キラキラテープと呼ばれる防鳥テープは、独特の立体感と光沢感によって輝く3Dホログラフィック効果を持つ虹色のテープで、太陽の光を反射させて害鳥を遠ざけます。風が吹くと揺れて、太陽の光を反射しながらチラチラと動く。この動きが「ここは危険」と感じさせやすくします。
設置のポイントは、反射する側面を増やせば増やすほど、また害鳥から分かりやすい場所に設置することで、より大きな効果が得られるという点です。つまり、長い一本をぴんと張るより、ねじりを入れて短めに何か所も垂らすほうが理にかなっています。設置場所としては田畑、庭、屋上、公園、池、バルコニーなどが想定されており、スズメのほかハト、カラス、ムクドリにも使われます。
失敗しやすいのは、テープをフェンスにぴったり巻きつけてしまうケースです。動かないテープはただの装飾で、数日どころか初日から効きません。垂らす、ねじる、揺らす。この3つを満たしているかを確認してから離れてください。
ヘビ・カラスのおもちゃは50cmから1m間隔で
スズメの天敵に似た形をしたヘビのおもちゃや、カラスの形をしたビニール風船などは、ベランダに置くだけで威嚇効果が期待できます。ダイソーやキャンドゥといった100均でも、ビニール風船や鷲型のおもちゃが手に入ります。
ヘビ型が効く理由には具体的な説明があります。鳥がヘビウロコを見ると模様が立体的に見え、本能的にヘビと認識して近づかなくなる、というものです。前章で触れたとおり、スズメが人家の周りを選ぶのは天敵から遠いからでした。その前提を崩すのが、この手のグッズの役割です。
設置の実務としては、間隔は50cmから1mごとに取り付けるのが適切とされています。そして最も大事なのが、設置場所をときどき変えること。これで慣れを防ぐことができます。注意点は固定の強さです。強風で飛ばされたりしないよう、固定はしっかり行ってください。飛ばされたおもちゃが階下や隣家に落ちれば、スズメ以外のトラブルになります。
【失敗パターン2】設置しっぱなしで、いつの間にか慣れられている
100均グッズでいちばん多い失敗は、買い方ではなく「置いたあと何もしないこと」です。設置直後の数日は明らかに来なくなり、安心して忘れる。3週間後にはフンが元どおり——この経過をたどる人が非常に多いのですが、原因ははっきりしています。
光ものも天敵のおもちゃも、効果は一時的であり、スズメがそれに慣れてしまうため、効果を長期間保つには工夫が必要だと明記されています。スズメは学習します。同じ場所に同じものが同じ角度であり続ければ、それは風景の一部になります。
対策は、カレンダーに「配置替え」の予定を入れてしまうことです。おもちゃの位置を移す、CDの高さを変える、テープの本数を足す。手間としては数分ですが、これをやるかどうかで持ちが変わります。そして根本的な解決としては、慣れられているあいだにネットやスパイクといった物理対策を進めること。100均グッズの本当の価値は、この「準備期間を買える」ところにあります。
巣を作られる前に終わらせる、隙間ふさぎの手順
タイムリミットは2月中旬〜3月
ここまで見てきた対策のなかで、最も効果が長続きするのが隙間ふさぎです。スズメが安心して住める環境を作らないこと。これが対策の土台になります。
実施すべき時期ははっきりしています。繁殖期は3月から8月なので、その前、2月中旬から3月にかけて巣を作られないよう隙間を塞ぐのが目安です。なぜこの時期でなければならないのか。3月に入って営巣が始まり、卵が産まれてしまえば、そこから先は許可なく手を出せなくなるからです。抱卵10〜15日、巣立ちまで12〜17日、1サイクル約40日。しかも年に2回。待っているうちに夏が終わります。
実務的には、被害が落ち着いた秋から冬にかけて現場を点検し、必要な材料をそろえておくのが理想です。以下のカレンダーは、スズメの繁殖サイクルから逆算した年間の作業タイミングです(野鳥の教科書調べ)。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ○ | ◎ | ◎ | △ | △ | △ | △ | △ | ○ | ◎ | ◎ | ○ |
◎=隙間ふさぎ・ネット施工に向く時期 ○=点検と材料の準備に向く時期 △=繁殖期(3〜8月)にあたり、巣に卵やヒナがある可能性があるため手を出せない時期
パテで埋める、ネットでふさぐ
隙間をふさぐ具体的な方法として挙げられるのが、粘土のようなパテです。セメダインの「すきまパテ」のような製品を、塞ぎたい場所に粘土のように取り付け、指先で馴染ませることで隙間を埋めます。工具がいらず、細い隙間や不規則な形にも追従できるのが利点です。
パテで埋められないのが、通風口のように「ふさいではいけない開口部」です。ここは空気を通しつつ鳥だけを止める必要があるので、スズメ・ムクドリ対応の軽量ネット(網目15mm)でふさぐ方法が有効です。台所や浴室の換気口をパテで埋めてしまうと、家の側に別の問題が起きます。
作業の順番としては、①脚立で目線を上げて隙間を洗い出す、②通風口とそれ以外に仕分ける、③それ以外はパテ、通風口はネット、という流れです。注意点は、高所での作業を1人でやらないこと。屋根に上る必要がある規模なら、無理をせず専門業者に依頼してください。ベランダや手の届く軒下までがDIYの範囲だと考えるのが安全です。
巣立ち後の掃除と、寄せつけない環境づくり
すでに巣ができてしまった年は、巣立ちを待つのが基本になります。そして巣立ち後の巣は清掃し、次の繁殖期前に対策を完了させることが推奨されています。ここで手を止めてしまうと、翌年また同じ場所が選ばれます。スズメにとって、一度成功した営巣場所は良い物件だからです。
あわせてやっておきたいのが環境の管理です。家の周りやベランダを定期的に整頓して、スズメが寄り付かない環境を作ることが重要とされています。段ボールや園芸資材を積みっぱなしにしていると、それ自体が隙間と巣材の供給源になります。庭やベランダを整えて食源となる虫を減らすこと、生ごみや残飯の管理を徹底することも、地味ですが効いてきます。
ひとつ確認しておきたいのが、餌を与えていないかどうかです。近隣で餌をまいている場所があると、対策の効きが落ちます。餌やりをめぐるルールは自治体によって異なり、条例で規制されている地域もあります。線引きが気になる方はこちらもあわせてどうぞ。

ベランダの手すりに来る雀に、パンくずを少しだけ分けてあげたい。庭に米粒をまいたら、次の日も来てくれた。そんな経験から「雀の餌付けって、やってもいいことなんだろう…
捕まえる・卵を捨てるは違法|線引きを間違えないために
野生鳥獣の捕獲は、そもそも原則禁止
スズメよけを進めるうえで、絶対に踏み越えてはいけない線があります。スズメは鳥獣保護管理法(野生鳥獣の保護及び管理に関する法律)で保護されている生き物であり、個人が勝手に捕獲や卵の回収、殺処分などを行うことは法律で禁止されています。
環境省の説明では、野生鳥獣の捕獲は一般に禁止されており、環境大臣や都道府県知事の許可を受けた場合のみ例外的に行うことができるとされています。許可の対象になるのは、生態系被害、農業被害、学術研究などの場合です。実務としては都道府県知事が大部分の許可を行い、その多くが市町村長に委譲されています。
罰則も定められています。無許可の捕獲は最大100万円の罰金または1年以下の懲役、無許可の飼養は最大50万円の罰金または6ヶ月以下の懲役です。「小鳥1羽くらい」という感覚が通じる話ではありません。制度の詳細は環境省の鳥獣の捕獲等に関するページで確認できます。
・捕獲する(無許可は最大100万円の罰金または1年以下の懲役)
・卵を回収する、壊す
・殺処分する
・傷ついた個体を個人で保護飼育する(無許可の飼養は最大50万円の罰金または6ヶ月以下の懲役。放鳥を要請される場合があります)
スズメよけは「追い払う・入らせない」の範囲で行うのが原則です。判断に迷う場面では、お住まいの自治体の鳥獣担当窓口に相談してください。
狩猟鳥ではあるけれど、それは免許を持つ人の話
ここで混乱しやすいのが、「スズメは狩猟鳥だから獲っていい」という誤解です。確かにスズメは狩猟対象鳥に分類されています。しかしそれは、狩猟の要件をすべて満たした人だけの話です。
具体的には、狩猟免許の取得、狩猟登録、狩猟税の納入、指定された狩猟期間(11月15日〜2月15日)、そして指定された狩猟方法。この5つがそろってはじめて成立します。裏庭でカゴを仕掛ける行為は、どの要件も満たしていません。
「狩猟鳥だから自由に獲れる」ではなく、「制度の枠内でのみ例外的に認められている」と理解してください。詳しい要件は環境省の狩猟制度の解説に整理されています。スズメよけとして家庭でできるのは、あくまで追い払いと侵入防止までです。
巣に卵やヒナがいたら、手を出さずに相談する
対策を始めたら巣の中に卵があった、あるいはヒナがいた。これは実際によく起きる場面です。このとき、卵の回収や破壊も許可なく行うことは禁止されています。撤去したい気持ちは分かりますが、ここで手を出すと違法行為になります。
取るべき行動は2つです。ひとつは、抱卵10〜15日、巣立ちまで12〜17日という期間を踏まえて巣立ちを待つこと。もうひとつは、被害が深刻で待てない場合に、自治体の鳥獣担当窓口へ相談して許可の要否を確認することです。専門業者に依頼する場合も、法令に沿った手順を踏むところを選んでください。
あわせて注意したいのが、地面にいるヒナを見つけたときです。傷ついたスズメなどを個人で保護飼育することは法律上問題があり、放鳥を要請される場合があります。また、野生で巣立ったスズメのヒナが翌年まで生き残る確率は約14%程度で、対照的に成鳥が翌年まで生き残る率は約48%だという研究があります(山階鳥類研究所)。厳しい数字ですが、これが野生の通常の姿です。拾い上げることが助けにならない理由は、こちらで詳しくまとめています。

庭先や駐車場のすみに、羽の生えそろっていないスズメのヒナがちょこんと座っている。飛べそうにないし、親鳥の姿も見えない。このまま放っておいたらネコに襲われるのでは…
まとめ|スズメよけは「時期」と「網目」で決まる
最初の一歩としておすすめしたいのは、道具を買うことではなく、脚立を出して自分の目線を軒下やベランダの上まで持ち上げてみることです。フンが一点に集まっている場所、指が入るすき間、室外機の裏の空間。この3つを見つけられれば、必要なのがネットなのかスパイクなのかパテなのかが自然に決まります。逆にここを飛ばして道具から買うと、網目の合わないネットや、動かないキラキラテープが手元に残るだけになりがちです。スズメは学習する鳥ですが、入れない場所には入れません。物理で決着をつけて、驚かせる系は時間稼ぎと補強に回す。この順番を守れば、来年の春は静かに迎えられます。
※製品の仕様や法令の運用は変わることがあります。ネットの網目や施工方法はメーカーの最新情報を、捕獲・巣の扱いに関する判断は環境省および各自治体の公式情報をご確認ください。
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