軒先の壁に泥のあとが点々とついている、去年の巣の跡がまだ残っている、そして今年もあの鳥が屋根の下を出入りし始めた——そんな状況で「ツバメ避け」を調べている方は、たいてい時間に追われています。ツバメは3月上旬頃から日本各地に飛来し始め、4月頃には繁殖期に入ります。つまり、対策として手を動かせる期間はそれほど長くありません。
先に結論をお伝えします。ツバメ避けで結果を分けるのは「巣に卵やヒナが入る前に、物理的にふさぐか、止まれなくするか」の2択です。卵やヒナがいる巣は法律で守られているため、時期を逃すと巣立ちを待つしかなくなります。そして物理的にふさぐ場合、網目の大きさを間違えると、張ったのに素通りされます。ホームセンターで手に取りやすい防鳥網には45mm目のものがあり、これは畑の果樹や野菜を守るための寸法です。
この記事では、ツバメの営巣スケジュールと法律の線引きを整理したうえで、網目10mmのネット・防鳥スパイク・テープによるツルツル化という物理対策の順番、間に合わなかったときのフン受けとカラス対策、自分でやる場合と業者に頼む場合の費用感までをまとめます。糞害を我慢するか巣を壊すかの二択ではない、その中間にある現実的な選択肢まで見ていきましょう。
・ツバメ避けに使える時期はいつまでか(飛来は3月上旬から、産卵は4月から6月)
・卵やヒナがいる巣を外すと1年以下の懲役または100万円以下の罰金になる理由
・網目10mmと45mm目のネットの違いと、軒先で選ぶべき寸法
・間に合わなかったときにできること(巣から30cm以上離すフン受け、カラス対策の麻紐)
ツバメ避けに使える時間は、飛来までのわずかな期間だけ

ツバメ避けの相談でいちばん多いすれ違いは、「巣ができてから対策を考え始める」ことです。巣そのものに手を出せるかどうかは、その中に卵やヒナがいるかどうかで完全に変わります。ここを先に押さえておくと、あとの作業がぶれません。
卵やヒナがいる巣は、外した時点で法律違反になる
結論から言うと、卵やヒナが入っている巣は外せません。ツバメは「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(鳥獣保護管理法)で守られている野鳥で、許可なく卵やヒナがいる巣を撤去・破壊・駆除することは禁じられています。日本野鳥の会は、これに違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されると説明しています。
なぜここまで厳しいのかというと、野鳥の保護は個体を捕まえる行為だけでなく、繁殖そのものを妨げる行為まで含めて規制されているからです。巣は単なる泥の構造物ではなく、卵とヒナが入った状態では「保護対象そのもの」として扱われます。自治体の案内でも、行政の許可なくツバメの巣などを撤去すると法律違反になる可能性がある、とはっきり書かれています。
実務的な判断はシンプルです。脚立をかけて巣に手を伸ばす前に、中に卵やヒナがいないかを確認する。いれば、その年はもう外せません。糞害対策に切り替えます。なお「まだ泥を積み始めただけの作りかけ」の段階は卵が入っていないため扱いが変わりますが、判断に自信がないまま作業を始めるのが一番危ないところです。詳しい根拠は環境省の鳥獣の捕獲等に関するページで確認できます。
卵やヒナがいる巣を許可なく壊すと、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になります。「もう巣立ったと思った」「空だと思った」は通りません。逆に、巣立ち後で卵やヒナが残っていないことが確認できれば撤去は問題ないとされています。確認できない・判断に迷う場合は、作業をいったん止めて自治体の担当窓口に相談するのが安全です。
撤去できるタイミングは年に2回しかない
撤去できるのは「巣立ったあと」と「産卵前」の2つのタイミングです。自治体の案内では、鳥が巣立った後で卵やヒナが残っていないことが確認できれば撤去は問題ないとされ、産卵前の時期についても撤去できる場合があると示されています。
この2つがなぜ重要かというと、ツバメの1年の予定に当てはめると使える期間がはっきり見えるからです。飛来は3月上旬から始まり、4月頃が繁殖期、産卵は4月から6月。巣立ちは6月から8月がピークで、地域によっては9月近くになることもあります。渡去は8月中旬から10月です。つまり撤去の窓は「渡去後の秋から冬、そして飛来直後の産卵前」に限られます。
具体的な進め方としては、秋から冬のあいだに前年の巣とその跡を落とし、壁面を清掃しておくのが基本の段取りになります。飛来してから慌てて始めると、下見に来たツバメの目の前で作業することになり、しかも数日で泥を積まれてしまいます。注意点として、巣を落としただけでは「跡地」が残ります。ツバメは前年の巣や壊れかけた巣をベースに補修することが多いため、壁に残った泥の痕跡そのものが翌年の目印になります。落としたあとの清掃までが1セットです。

春先に軒下を見上げたら、壁に泥の点が数か所ついていた。玄関の上でツバメが旋回している。そんな場面に出くわすと、多くの方が「今のうちに何とかしたい」と考えます。糞…
どうしても困るときは、自治体の窓口に相談できる
結論として、個人の判断で例外をつくることはできませんが、行政に相談する道は用意されています。自治体の案内では、府や市町村に許可を求めることで例外が認められる場合があるとされ、相談先として各地域の環境課や農林振興課といった窓口が示されています。
理由は、鳥獣保護管理法が「一律禁止」ではなく「許可制」の構造をとっているからです。生活環境への被害が深刻で、ほかに方法がないと判断されれば、手続きを踏んだうえで対応が認められる余地があります。逆に言えば、手続きを踏まないショートカットだけが違法になります。
相談するときは、困っている内容を具体的に伝えると話が早く進みます。巣の位置(玄関の真上か、店舗の出入口か)、被害の種類(糞が落ちる、商品や車が汚れる、通行人に当たる)、いつからその状態か。この3点がそろっていれば、窓口側も現実的な選択肢を示しやすくなります。豆知識として、こうした相談では「巣を外す許可」だけでなく「この位置なら糞受けで対応できる」「来年に向けて何をすべきか」といった助言が返ってくることも多く、結果的に撤去より安く済む場合があります。実例としては長岡京市のツバメの巣に関する案内のような形で公開されています。
3月上旬に来る鳥の予定表を、先に頭に入れておく
対策の順番を決めるには、相手の予定を知るのが早道です。ツバメは1年のうち決まった時期にしか日本にいません。その出入りのリズムがわかると、「いつまでに何を終わらせればいいか」が自動的に決まります。
全長17cm、翼開長32cm——どんな鳥を相手にしているのか
ツバメは全長17cm、翼開長32cmの小さな渡り鳥です。体の色は光沢のある黒で、腹は白く、額と喉が赤い。尾は長く二つに分かれ、オスの尾はメスより長く見えます。北海道から九州まで夏鳥として飛来し、春から夏にかけて繁殖し、2回子育てすることもあります。
この体格が対策に直結します。翼開長32cmといっても、翼を広げた状態の寸法であって、体そのものはずっと細い。だからこそ「隙間から入ってくる」現象が起きます。半分だけネットを張った軒先、片側が浮いたシート、ふさいだつもりの通気口——こうした場所を、飛びながら正確に抜けていきます。
食性は昆虫食で、トンボやアブ、ユスリカなどの飛ぶ虫を空中で捕らえます。ここも押さえておきたいところで、ツバメは餌を求めて建物に来ているわけではありません。人家や商店、駅などの軒先に泥のおわん型の巣を作るのは、雨と天敵を避けられる構造物を利用しているからです。つまり「餌を片付ける」タイプの対策は効きません。効くのは、巣を作る面そのものを使えなくすることです。基礎情報は日本野鳥の会のツバメ解説にまとまっています。
| 全長・翼開長 | 全長17cm/翼開長32cm |
| 見た目 | 光沢のある黒、腹は白、額と喉が赤い。尾は長く二つに分かれる |
| 日本にいる期間 | 飛来は3月上旬から/渡去は8月中旬から10月 |
| 食べ物 | トンボ・アブ・ユスリカなどの飛ぶ虫 |
| 巣を作る場所 | 人家・商店・駅などの軒先に泥のおわん型 |
| 前年の巣に戻る確率 | オス・メスのどちらかが同じ巣に戻る確率は約15%との報告あり |
産卵から巣立ちまで、家の軒先が使われる期間
結論として、いったん産卵が始まると、軒先が使われる期間は1か月以上に及びます。卵は約2週間で孵化し、ヒナは約3週間(20日から21日ほど)で巣立ちます。単純に足しても産卵から巣立ちまで1か月を超え、2回子育てする場合はさらに延びます。
この日数を知っておく意味は大きいです。「あと数日で出ていくだろう」と思って糞の掃除だけで乗り切ろうとすると、想定より長く続いて疲弊します。逆に、日数の見通しが立っていれば、フン受けを設置して待つという判断がしやすくなります。実際のところ、巣立ち時期は6月から8月がピークで、地域によっては9月近くになることもあります。
見分け方のポイントとして、巣の状態から段階を読めます。親鳥が静かに巣に伏せていれば抱卵中、頻繁に出入りして短い間隔で戻るなら給餌中、巣の縁から黄色い口が並んで見えるなら巣立ちが近い段階です。注意点は、確認のために巣へ近づきすぎないこと。抱卵中の親鳥は警戒心が強く、人が繰り返し近づくと巣を放棄することがあります。双眼鏡か、離れた位置からの目視で十分です。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ◎ | ◎ | ○ | △ | △ | △ | △ | △ | △ | ○ | ◎ | ◎ |
◎=巣の跡の清掃・ネット設置に向く時期(ツバメがいない期間) ○=飛来直前・渡去直後で作業の可否が分かれる時期 △=産卵から巣立ちの期間にあたり、巣に手を出せない時期
「去年と同じ場所に来る」は半分だけ本当
実は、前年と同じ巣に同じ個体が戻る確率は高くありません。報告では、オス・メスのどちらかが翌年も同じ巣に戻ってくる確率は15%という数字が示されています。それでも体感として「毎年同じ場所に来る」と感じるのは、巣そのものが再利用されているからです。ツバメは前年に作った巣や壊れかけた巣の跡をベースに補修することが多い、と説明されています。
つまり戻ってくるのは「同じ鳥」ではなく「同じ物件」なのです。ここが対策の考え方を変えます。特定の個体を追い払おうとしても意味が薄く、その場所を巣に使える状態のまま残しているかどうかが問題になります。壁に残った泥の土台、屋根の下の凹凸、雨のかからない角——条件が残っていれば、別の個体が新しく入居します。
具体的な対応としては、巣を落とした後の壁面を平らに整え、泥の残りを水で流して乾かしておくこと。豆知識として、この作業は秋から冬にやっておくと楽です。渡去後の時期なら鳥がいないので気兼ねなく作業でき、乾燥した泥は水をかければ落ちやすくなります。飛来時期のリズムについてはウェザーニュースのツバメの生態解説も参考になります。

庭先の軒下でツバメが忙しそうに泥を運んでいるのを見て、「そういえば巣作りっていつからいつまでなんだろう」と気になったことはありませんか。毎年同じ時期に同じような…
困っているのは糞か、泥汚れか、それとも声か

「ツバメ避け」と一口に言っても、困りごとの中身によって打つ手はまったく違います。ここを切り分けずに対策グッズを買うと、効果があったのか判断できません。まずは自分の被害がどのタイプかを見極めましょう。
糞害が最大の問題になるのは、親鳥の行動に理由がある
ツバメの巣作りで起こる問題のうち、最も大きいのは糞害です。鳩対策の専門情報では、子育て中の親鳥はヒナからできる限り近い距離で過ごそうとするため、巣の近くでも糞をしてしまい、巣の下は糞だらけになり、汚れや臭いなどが問題視されると説明されています。
なぜ「巣の下」に集中するのかというと、親鳥が巣のそばに長時間とどまるからです。飛びながら広範囲に落とすわけではなく、巣を中心とした狭い範囲に蓄積していきます。だから玄関の真上、駐車スペースの上、店舗の出入口の真上に巣ができると被害が集中します。
見極め方としては、汚れの分布を見てください。巣の真下だけが集中的に汚れているなら典型的な営巣による糞害で、フン受けという対処法が使えます。逆に広い範囲に点々と落ちている場合は、ねぐらとして使われている可能性もあります。注意点として、乾いた糞を箒で掃くと粉が舞い上がります。掃除するときは水で湿らせてから、手袋とマスクを着けて作業するのが基本です。
鳴き声だけをピンポイントで抑える方法はない
結論として、鳴き声だけを狙って静かにさせる手段はありません。専門情報でも、ツバメの鳴き声を対策することは難しいため、巣を撤去するか、巣作りを未然に防ぐしか方法はないとされています。
理由は単純で、声は巣の中から出ているからです。ヒナが親を呼ぶ声は給餌のたびに大きくなり、巣立ち前は日中ずっと続きます。窓のすぐ外に巣があると、寝室や仕事部屋に響きます。防音のしようがない場所に音源が固定されている、という構図です。
現実的な選択肢は2つに絞られます。ひとつは飛来前に巣を作らせないこと。もうひとつは、今年は巣立ちまで待ち、渡去後に巣と跡を落として来年に備えること。注意点として、声がうるさいからといって巣を棒でつついたり、水をかけたりする行為は、中に卵やヒナがいれば法律違反にあたります。窓側に厚手のカーテンを足す、寝る部屋を変えるといった生活側の調整のほうが、結果的に早く済むこともあります。
「害鳥」と決めきる前に知っておきたい一面
ここは逆張りの視点になりますが、ツバメは益鳥ともされています。専門情報でも、農作物などを荒らす害虫をエサとして捕食するため益鳥ともされていると説明されています。飛ぶ虫を空中で捕まえる食性がそのまま虫の抑制につながっているからです。
意外と知られていないのは、この一面が対策の選択肢を増やすという点です。「追い出すか、我慢するか」の二択で考えると、玄関の真上に巣ができた時点で詰みます。けれど「困る場所には作らせない、困らない場所なら受け入れる」という設計にすると、糞害だけを避けながら共存できます。誘導という考え方です。
具体例として、玄関側はネットとテープで完全にふさぎ、裏手の軒下や物置の壁など人の動線から外れた場所は手をつけずに残す。こうすると、巣を作りたい個体はふさがれていない側を選びます。注意点は、ふさぐ側を中途半端にしないこと。半分だけの対策は、結果的に玄関側に作られて全部やり直しになります。
ふさぐなら網目10mmまで——ネット選びで結果が変わる
物理対策の本命はネットです。ただ、店頭に並んでいる防鳥ネットは用途がまちまちで、寸法を見ないで買うと「張ったのに入られた」という結末になります。ここでは実際の製品スペックを見ながら選び方を整理します。
10mm目と45mm目——同じ「防鳥」でも用途が違う
結論として、軒先のツバメ避けに使うなら細かい網目のものを選びます。カインズの「軽がる防鳥ネット 2×10m」は目合いが約10mm、素材はポリプロピレン、重量は260gという仕様で、鳥以外にも蛾などの大型害虫対策にも使用可能とされています。一方、同じ店の「カインズ 防鳥網 45mm 10坪 3.6×9m」は網目が45mm目のポリエチレン製で、張り糸2本入り、網目を変形させて幅、長さを変えられる仕様です。
この差が決定的です。45mm目は4.5cm四方の開口があるということで、果樹や野菜を大きめの鳥から守る目的の寸法です。全長17cmのツバメは細い体で正確に飛ぶため、この開口では体が通ってしまいます。対して10mm目なら通り抜けはまず起きません。
選ぶときの具体的な目安は、軒下の面をふさぐ・通気口や梁の隙間を覆うといった用途なら10mm目、広い面積を安く覆いたい家庭菜園用途なら45mm目、という住み分けです。注意点として、細かい網目のネットは風を受けやすくなります。2m×10mで260gという軽さは扱いやすい反面、たるませると風でばたつき、固定が外れやすくなります。支柱やフックはネットと別に用意する前提で考えてください。
| 比較項目 | 軽がる防鳥ネット 2×10m | カインズ 防鳥網 45mm 3.6×9m |
|---|---|---|
| 目合い | 約10mm目 | 45mm目 |
| サイズ | 2m×10m | 3.6m×9m(10坪相当) |
| 素材・重量 | ポリプロピレン/260g | ポリエチレン |
| 付属・特徴 | 軽くてほつれない/支柱は別売 | 張り糸2本入り/網目を変形できる |
| 軒先のツバメ避け | 向く | 網目が粗く抜けられる |
たるみと隙間が、対策の成否を決める
結論として、ネット張りで失敗する原因はほぼ「たるみ」と「端の隙間」です。ネット自体の性能ではなく、施工の粗さで結果が変わります。
理由は、ツバメの飛び方にあります。飛ぶ虫を空中で捕らえる鳥なので、狭い隙間に低速で正確に入る動きが得意です。ネットの端が数センチ浮いているだけで、そこを入口として使われます。またたるんだネットは風で形が変わり、日によって隙間の位置が動きます。
具体的な張り方としては、まず覆いたい面より広めに切り出し、四辺すべてを壁や梁に沿わせて固定します。カインズの防鳥網のように張り糸が付属する製品では、網の両端となる黒色の輪へ付属の黒い張り糸を通し、張り糸を通してから黒色の輪を止めているひもをほどく、という手順が指定されています。この順番を守らないと網が広がってまとまらなくなります。注意点として、防鳥網は燃えやすいため火気の近くでの使用は禁止とされています。給湯器の排気口や照明の熱が当たる位置は避けてください。製品仕様はカインズの防鳥網の製品ページで確認できます。
失敗パターン①:畑用の網をそのまま軒先に流用する
もっとも多い失敗が、家にあった畑用の防鳥網を軒先に張ってしまうケースです。物置にあった網、去年のブルーベリー用の網——手元にあるものを使いたくなる気持ちはわかりますが、45mm目の網を軒下に張ると、ツバメはその網の内側に入って、いつも通り泥を積み始めます。しかも網があるぶん、あとから巣を外す作業がやりにくくなります。
原因は、「防鳥」という表示を鳥の種類と結びつけずに読んでしまうことです。防鳥網の目合いは、想定する鳥の体格に対して決まります。果実をついばむ中型の鳥を想定した寸法と、全長17cmで狭い隙間を抜けるツバメを止める寸法は別物です。
対策はシンプルで、軒先用には10mm前後の細かい目合いを選び直すこと。すでに粗い網を張ってしまった場合は、その内側にもう一枚細かいネットを重ねるのではなく、いったん外して細かいものに替えるほうが仕上がりが安定します。二重にすると固定点が増えてたるみやすく、隙間が生まれます。
止まれない・くっつかない壁をつくる3つの手
ネットで面をふさげない場所——たとえば意匠上ネットを張れない玄関まわりや、梁の上面だけが問題になっている場合——は、止まり場所と足がかりを消すアプローチが有効です。ここは道具の使いどころを間違えないことが肝心です。
防鳥スパイクは「止まる場所」に効く
結論として、スパイクが効くのは「鳥が止まる面」です。セフティー3の防鳥スパイクは長さ約50cm、伸縮タイプで最大約50cm(直線)まで伸び、材質はポリプロピレン・ポリエチレン、重量は72g。セット内容はベース7個・ワイヤー14本で、何個も継ぎ足し可能なため長距離の設置もできる仕様です。
理由は物理的な単純さにあります。針状のワイヤーが立っていれば、そこに足を降ろせません。鳥や動物の侵入をガードする用途で、動物の通り道や鳥が止まりやすいベランダの手すりなどに設置できるとされ、ベランダ、縁側、雨樋、看板の上といった場所が想定されています。慣れによって効果が落ちるタイプの対策ではないのが強みです。
具体的な使い方としては、ツバメが巣作り前にとまって様子をうかがう場所——梁の上面、雨樋の縁、看板の上端——を狙って設置します。72gと軽いので取り回しは容易です。注意点として、スパイクは「巣を作る壁面そのもの」には効きません。ツバメの巣は壁に泥を貼り付ける構造で、止まり木がなくても壁と天井の角があれば成立します。壁面対策はテープやネットとの併用が前提になります。製品仕様はモノタロウの防鳥スパイクの一覧ページで確認できます。
ガムテープでツルツルにする——地味だが理にかなった一手
結論として、壁面をツルツルにするのは費用のかからない有効手です。ツバメは岩肌に似た凹凸がある外壁を好んで巣作りをするため、ガムテープのような表面がツルツルした物を貼ることでツバメが足を掛ける場所が無くなり、巣を作らせない対策ができると説明されています。壁に養生テープやガムテープを貼って、巣を作りにくいように整える方法です。
理由は巣の構造そのものです。泥は凹凸に食い込んで固定されます。モルタルの粗い面、木の繊維、コンクリートの打ち肌には泥が付きますが、ツルツルの面では保持できません。足を掛ける場所がないという点も同時に効きます。
具体的には、前年の巣があった位置とその周囲を含めて広めに貼るのがコツです。狭く貼ると、テープの端の外側に作られます。注意点は2つ。ひとつは外観で、玄関まわりに目立つテープを貼ることになるので、色を建物に合わせるか、シーズン後に剥がす前提で考えます。もうひとつは粘着剤で、屋外で長期間貼ると糊が残ることがあります。塗装面に貼る場合は、目立たない場所で先に試すのが安全です。詳しい解説は東急リバブルのツバメ対策の記事にまとまっています。
CDと超音波は「補助」の位置に置く
結論として、CDやキラキラテープ、超音波機器は主役にしないのが賢明です。CDをぶら下げる方法は光の反射で近寄りづらくする効果があり、キラキラテープも揺れた反射で害鳥を寄せ付けない効果があるとされ、雨があたる場所でも設置可能という利点があります。ただし全てのツバメに必ず効果があるとは限らず、効果がなかったり、次第に慣れて気にせずに巣作りを始めたりすることもあると説明されています。
超音波タイプの機器も市販されています。たとえばソーラー式の超音波撃退器には、赤外線モーションセンサーで最大12mの広範囲(水平110度・垂直55度)をカバーし、20-55kHzの超音波を発信するという製品があり、威嚇音やフラッシュ光を組み合わせたモードを備えるものもあります。ソーラー充電式で電池が不要という運用面の利点もありますが、ツバメに対する効果の程度は製品や設置状況によって差があるため、これ1台で巣作りを止められると考えるのは避けたほうがよいでしょう。
使いどころとしては、ネットとテープで主要な面を処理したうえで、残った部分の補助に回すのが現実的です。注意点として、光り物を吊るす場合は隣家の窓に反射が向かないよう角度を確認してください。反射光や音は、鳥ではなく人のトラブルの種になることがあります。
ツバメ避けが間に合わなかったときの落としどころ
すでに巣ができ、卵やヒナが入ってしまった——この段階で読んでいる方も多いはずです。ここからは「壊せない前提」で、被害を最小にする方法に切り替えます。やり方を間違えると巣を放棄させてしまうため、時期の見極めが重要です。
フン受けは巣から30cm以上離して、抱卵が始まってから
結論として、糞害への直接的な答えはフン受けです。設置のルールははっきりしていて、巣から30cm以上離して、抱卵が始まってから設置します。近すぎたり時期が早すぎたりすると、ツバメが巣を放棄する恐れがあるためです。
理由は親鳥の警戒心です。親鳥の警戒心が強い巣作り中や抱卵中の作業は避け、フン受けはヒナが孵化してから置くか、巣台を設置するときにあわせて作るという考え方が示されています。巣のすぐ下に見慣れない板が現れれば、親鳥は危険と判断します。
具体的な固定方法としては、アルミテープは壁の凹凸に沿うのでしっかり付き、表面がなめらかな壁では普通のテープで接着できるとされています。壁掛型のフン受けは折り目で曲げて組み立てる設計のものがあります。巣の直下に壁がない場合は、針金を使って巣から距離を開けるようにぶらさげるとよいとされています。注意点は、設置後に親鳥が巣に戻るかを必ず確認すること。戻らない様子が続くなら、それ以上の作業は加えないでください。
段ボールと新聞紙でも十分に機能する
専用品が手に入らない場合も、簡易な受け皿で対応できます。日本野鳥の会は、段ボール箱に新聞紙を敷き、定期的に取り替える方法を紹介しており、巣の下50cm以上離れた場所にフン受けを設置することが有効だとしています。
この方法が機能する理由は、糞害の本質が「床や車、通行人に直接落ちること」だからです。落下を途中で受け止めて、汚れた紙ごと捨てられれば、掃除の手間は大きく下がります。新聞紙を敷いておけば、受け皿自体を洗う必要もありません。
具体的には、玄関の真上に巣がある場合、通行の邪魔にならない高さに受けを吊り、新聞紙を数日おきに交換します。注意点として、受け皿を大きくしすぎると巣に近づきすぎたり、親鳥の飛行ルートをふさいだりします。巣からの距離を確保することが、大きさよりも優先されます。詳しい方法は日本野鳥の会のツバメ保護の解説で確認できます。
失敗パターン②:巣作り中に親切心でフン受けを付ける
2つめの失敗は、タイミングの誤りです。「糞が落ちて困る、でも壊したくない」と考えた人が、巣ができた直後にフン受けや巣台を取り付けてしまう。すると親鳥が戻らなくなり、結果として巣が使われないまま放置される——という結末になります。
原因は、警戒心が最も高い時期に作業してしまうことです。親鳥の警戒心が強い巣作り中や抱卵中の設置は避けるべきとされ、フン受けはヒナが孵化してから置くか、巣台の設置とあわせて作るのが原則です。善意でも、時期を外せば結果は巣の放棄です。
対策は、「待つ」と決めることです。巣作り中は何もせず、床側に新聞紙やシートを敷いて汚れを受けておく。抱卵が始まり、さらにヒナの声が聞こえるようになってから、巣から30cm以上離した位置にフン受けを取り付ける。この順番なら、巣を放棄させるリスクを抑えられます。
巣作り中・抱卵中の親鳥は警戒心が強く、巣のそばで作業するとそのまま巣を放棄することがあります。フン受けは巣から30cm以上離し、抱卵が始まってから。設置後は親鳥が巣に戻ることを確認してください。気温が下がっているときや雨天での作業も避けたほうが安全です。
カラス対策の麻紐は、間隔18cmでタテ方向に張る
見守る側に回ると決めた場合、もうひとつ知っておきたいのが天敵対策です。ツバメの主な天敵はカラス(ハシブトガラス)で、巣を壊してヒナを連れ去っていきます。ツミやオナガなどの小型の鳥も天敵になります。
対策として紹介されているのが麻紐です。巣の周囲に放射状にタテ方向に麻紐を張り、間隔を約18cmに設定します。ヨコ方向に張ると天敵が止まりやすくなるため避けるのがポイントです。巣の下に壁がない場合は、天井から支柱を下げて張る方法もあります。固定には超強力両面テープとアルミテープを併用し、約4ヶ月間の子育て期間中、確実に固定しておくとされています。
設置のタイミングも決まっています。産卵完了後の抱卵期間に設置することが重要で、産卵前や成長したヒナの段階では、ツバメが警戒して他所へ移動するリスクがあるとされています。設置後は親鳥が巣に戻ることを確認し、気温低下時や雨天での作業は避けます。ツバメ避けの話とは逆方向の作業ですが、「今年はもう待つ」と決めたなら、糞受けと天敵対策をセットで考えると1シーズンを落ち着いて越せます。詳しい手順はツバメの巣の天敵対策の解説ページに写真つきで載っています。

庭先の巣からヒナの声が聞こえなくなったと思ったら、電線に見慣れない小さなツバメが並んでいた——そんな経験はありませんか。「もう巣立ったのかな」「地面でうずくまっ…
自分でやるか、頼むか、それとも場所を移すか
最後に、実行の形を決めましょう。同じ「ツバメを避けたい」でも、建物の条件と手が届く高さで最適解は変わります。費用感と手間を並べて、自分の状況に当てはめてみてください。
対策5つを、仕組み・時期・弱点で並べて比べる
結論として、対策は「面をふさぐ」「足がかりを消す」「止まれなくする」「驚かせる」「受け止める」の5系統に整理できます。このうち上の3つは鳥の慣れに左右されず、4つめは慣れが出て、5つめは糞害だけを解決します。
並べて見ると、優先順位が自然に決まります。予算と手間をどこに割くべきか、そして何を補助に回すべきかが一目でわかるからです。以下は各手段の特徴を整理した独自の比較表です(野鳥の教科書調べ)。
| 対策 | 仕組み | 向いている時期 | 弱点 |
|---|---|---|---|
| ネット(約10mm目) | 巣を作る面ごとふさぐ | 渡去後の秋冬〜飛来前 | たるみと端の隙間から入られる |
| テープでツルツル化 | 泥と足がかりを保持させない | 渡去後の秋冬〜飛来前 | 外観が目立つ・糊残り |
| 防鳥スパイク(約50cm) | 止まる場所をなくす | 通年(設置は飛来前が理想) | 壁面の営巣自体は止まらない |
| CD・キラキラテープ | 反射光で近寄りにくくする | 飛来前から補助的に | 効かない個体がいる・慣れる |
| フン受け | 落下を途中で受け止める | 抱卵が始まってから | 近づけすぎると巣を放棄される |
業者に頼む場合の費用の目安
結論として、高所や広い面積は業者に任せたほうが安全で、費用の幅も事前に見通せます。鳥害対策の施工費は内容によって1万~15万円と幅があり、ベランダの巣撤去・清掃消毒・よけネット設置を一式で依頼した場合は6万~10万円が目安とされています。被害が軽微な初期段階であれば、清掃と忌避剤設置のみで1万~3万円に収まるケースもあります。
金額差が出る理由は、高所作業の有無と面積です。脚立で届く軒先か、2階の外壁か、共用廊下の天井かで作業の性質が変わります。また巣の撤去だけでなく、糞の清掃と消毒、ネットの張り替えまで含めるかで内容が変わります。
依頼するときは、現地調査と見積もりを取ってから決めるのが基本です。具体的に確認したいのは、ネットの目合い、固定方法、対象面積、そして作業時期(卵やヒナがいる場合の扱い)の4点です。注意点として、卵やヒナがいる段階では業者でも自由に巣を外せません。「すぐ撤去できます」という説明があった場合は、法律上の扱いをどう整理しているのか確認してください。費用相場は価格.comの鳥害対策の費用解説が参考になります。
逆張りの一手:避けるのではなく、場所を移す
意外と知られていないのが、ツバメを「別の場所に誘導する」という選択肢です。人工巣という道具があり、NPO法人やまぼうしが障がいのある人たちの生産活動の一環としてハンドメイドで製作・販売しています。価格は4000円+送料(お一人1個)で、バードリサーチがツバメ対策を手伝っている一部の施設で使われていたものが、問い合わせの多さから通販されるようになったという経緯があります。
この考え方が成立する理由は、ツバメが「その建物」ではなく「条件の合う場所」を選んでいるからです。雨がかからず、天敵が来にくく、泥を貼れる面がある。困る場所をふさいだうえで、条件を満たす代わりの場所が用意されていれば、そちらが選ばれる可能性があります。生産量には限界があり、原材料の高騰で価格が変更される場合があるとされているので、使うなら早めの検討が向いています。
具体的な使い方としては、玄関や出入口はネットとテープで完全にふさぎ、人の動線から離れた軒下や物置側に人工巣を設置します。注意点として、人工巣を置けば必ず移ってくれるとは限りません。ふさぐ側の対策を手抜きすると、結局もとの場所に作られます。順番はあくまで「ふさぐ」が先、「誘導」が後です。詳細はNPO法人やまぼうしの人工巣の案内で確認できます。
住まいのタイプ別に、どこから手をつけるか
賃貸のベランダの場合は、まず管理会社への確認から始めます。外壁への穴あけや常設の設置物は制限されることが多いため、現実的なのは突っ張り棒とネット、そして養生テープによるツルツル化です。原状回復を前提に、剥がせる材料で組むのがポイントになります。
戸建ての軒先の場合は、秋から冬のあいだに巣の跡を落とし、壁面をテープで処理し、軒下の面を約10mm目のネットでふさぐという一連の作業がそのまま当てはまります。脚立で安全に届く高さかどうかが自分でやるか業者に頼むかの分かれ目で、届かない高さなら迷わず見積もりを取ったほうがいいでしょう。
店舗や事務所の出入口の場合は、糞が商品や客に落ちるリスクが大きいため、フン受けでの対応では足りないことが多くなります。飛来前にネットとスパイクで確実にふさぎ、同時に人の動線から外れた場所を空けておく設計が向きます。注意点として、出入口まわりは外観の影響が大きいので、目立たない色のネットを選ぶなど見た目の調整も合わせて考えてください。
まとめ:巣ができる前の準備と、できた後の落としどころ
最初の一歩は、脚立を出す前に巣の中を確認することです。卵やヒナがいなければ、前年の巣の跡を落として壁を洗い、ガムテープで足がかりを消すところから始められます。すでに卵やヒナがいるなら、今年は待つと決めて、抱卵が始まってから巣から30cm以上離した位置にフン受けを付ける。この2つの分岐を先に決めてしまえば、あとの作業は迷わず進みます。カレンダーに「秋にネットを張る」と書き込んでおけば、来年の春は同じ悩みを繰り返しません。
※製品の仕様・価格や施工費用の目安は変更されることがあります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。巣の撤去の可否や許可の手続きは、お住まいの自治体の窓口にご相談ください。

コメント