ホームセンターで杉板を眺めながら、「巣箱って結局どのサイズで作ればいいんだろう」と手が止まったことはありませんか。ネットで検索すると設計図はいくらでも出てくるのに、寸法がサイトごとに微妙に違っていて、どれを信じていいのか分からなくなる。これは巣箱づくりで一番よくあるつまずきです。
先に結論を書いてしまいます。巣箱づくりで最初に決めるべきなのは、箱の大きさではなく出入り口の穴の直径です。シジュウカラやスズメなら直径3cm、ムクドリなら4〜5cm。この数ミリの差が、どの鳥が入居してくるかをほぼ決めてしまいます。箱の縦横は、穴を決めたあとで自動的に決まる従属変数のようなものです。
この記事では、鳥取県が公開している巣箱の資料と東京都環境局の巣箱づくり基準という2つの公的資料を突き合わせながら、シジュウカラ用の基本型巣箱を作る手順を寸法つきで追いかけます。板の厚さの決め方、屋根の斜め切り、底板の四隅を落とす理由といった「図を見ただけでは分からない部分」も、なぜそうするのかまで書きました。さらに、作ったあとの掛け方、天敵対策、掃除、そして意外と知られていない法律上の注意点まで一気に扱います。
・出入り口の直径3cmでシジュウカラ・スズメ、4〜5cmでムクドリ。呼びたい鳥から穴を逆算する
・板は厚さ1.2cmより厚い一枚板を使い、合板(ベニヤ板など)は使わない
・掛けるのは秋から冬。高さはシジュウカラ・スズメで3m前後
・巣立ち後の掃除まで含めて「巣箱づくり」。卵やヒナがいる巣は勝手に撤去できない
巣箱の作り方は、板を切る前に「穴の直径」で決まる
直径3cmと4cm、たった1cmでお客さんの顔ぶれが変わる
巣箱の設計で最優先に決めるのは、出入り口の穴の直径です。鳥取県が公開している巣箱の資料では、シジュウカラとスズメ向けが直径3cm、ムクドリ向けが4〜5cm、ブッポウソウ向けが8〜9cm、アオバズク向けが10〜12cmと整理されています。東京都環境局の巣箱づくり基準でも、シジュウカラ・スズメの出入り口は直径2.7〜3.0cm(27mm〜30mm)、ムクドリは4.0〜6.0cmとされていて、2つの公的資料はほぼ同じ数字を示しています。
なぜ穴の大きさがそこまで効くのかというと、鳥にとって出入り口は「自分は通れて、敵は通れない」境界線だからです。体長14cm前後のシジュウカラにとって直径3cmの穴はぎりぎり通れるサイズで、ひとまわり大きな鳥やカラスの頭は入りません。逆に穴を大きく開けすぎると、その安全性が失われます。せっかく庭にシジュウカラを呼ぶつもりで作っても、穴を4cmにしてしまえばムクドリやスズメが先に占領する可能性が上がるわけです。
実際の作業では、電動ドリルに取り付ける自在錐(円形の穴を開ける刃)で3cmの穴を開けるのが一般的です。手持ちのドリルビットで最大径が足りない場合は、小さな穴を円形に並べて開けてから、間をノミやきりでつないで丸く整える方法もあります。開けたあとの断面はささくれが残りやすいので、紙やすりで縁だけ軽くならしておくと鳥が羽を傷めにくくなります。
やりがちな失敗は、「大は小を兼ねる」と考えて穴を大きめにしてしまうことです。巣箱の世界では逆で、穴は小さいほど入居できる鳥が絞り込まれ、そのぶん安全性が上がります。迷ったら小さいほうに寄せる。これが穴あけの鉄則です。
鳥の種類別サイズ表:庭に呼びたい鳥から寸法を逆算する
穴の直径が決まれば、箱の縦横高さは自動的に決まります。以下は鳥取県の資料と東京都環境局の基準を並べた比較表です。同じ鳥でも資料によって幅があるのは、「この範囲内なら鳥は使う」という許容幅があるためで、どちらかが間違っているわけではありません。
| 比較項目 | シジュウカラ・スズメ | ムクドリ | アオバズク |
|---|---|---|---|
| 出入り口の直径 | 3cm(2.7〜3.0cm) | 4〜5cm(4.0〜6.0cm) | 10〜12cm |
| 箱の横×縦 | 15cm×15cm | 18cm×18cm | 25cm×25cm |
| 箱の高さ | 20cm(18〜23cm) | 30cm(28〜40cm) | 45cm |
| 出入り口までの高さ | 15cmくらい | 18〜23cm | 記載なし |
| 地面からの掛け高さ | 3m前後 | 4〜5m | 記載なし |
※野鳥の教科書調べ。鳥取県「巣箱のはなし」および東京都環境局の巣箱づくり資料の数値を並記。かっこ内は東京都環境局の基準値
この表で注目してほしいのが「出入り口までの高さ」という項目です。シジュウカラ・スズメ用では底から穴の下端までおよそ15cmを確保します。ここが浅いと、外から手を伸ばした天敵に巣の中まで届いてしまいます。箱の高さ20cmに対して穴の位置が15cmということは、穴は上のほうに寄せて開けるということです。設計図を写すときに見落としやすい数字なので、板に線を引く段階で確認しておいてください。
ちなみに、庭に来る鳥を選べるのは巣箱ならではです。ベランダや小さな庭でシジュウカラを狙うなら15cm角の小さな箱で十分ですし、材料も一番少なくて済みます。最初の1個は迷わずシジュウカラ用から始めるのが現実的です。
巣箱を使う鳥は、日本で繁殖する鳥のごく一部だけ
意外と知られていませんが、巣箱を作れば庭の鳥がみんな使ってくれるわけではありません。鳥取県の資料でも「日本で繁殖する鳥のうち、巣箱を利用する鳥は、木の穴などに巣を作る、ごく一部の種類です」と明記されています。つまり巣箱は、樹洞(木にできた穴)を使って子育てする習性を持った鳥のための、人工の樹洞なのです。
この習性を持つ鳥の代表がシジュウカラ、ヤマガラ、スズメ、ムクドリです。逆に、枝の上にお椀型の巣を作るヒヨドリやキジバト、地面に巣を作る鳥は、どれだけ立派な巣箱を掛けても使いません。「うちの庭にはヒヨドリがよく来るから巣箱を作ろう」という発想は、残念ながら空振りに終わります。
掛ける場所によっても顔ぶれが変わります。鳥取県の資料によれば、低い山の林の中に掛ければシジュウカラやヤマガラが、家の近くに掛ければスズメやムクドリが利用してくれるとされています。住宅街の庭ならシジュウカラかスズメ、林に近い環境ならヤマガラも視野に入る、と考えておくとイメージしやすいはずです。
知っておくと得なのは、樹洞が減っている都市部ほど巣箱の価値が高いという点です。街路樹や公園の木は倒木防止のために古木や枯れ枝が早めに整理されるため、自然の樹洞そのものが少なくなります。庭に1つ巣箱を掛けるという行為は、その地域から失われた住宅を1軒だけ補う作業に近い意味を持ちます。
実は、穴は丸くなくてもいい
ここで少し意外な話をします。鳥取県の資料には「穴は、必ずしも丸でなくても良い。(四角でも良い)」とはっきり書かれています。丸い穴を開ける道具がないから巣箱づくりを諦めていた人にとっては、かなり肩の力が抜ける一文ではないでしょうか。
理由は単純で、鳥が気にしているのは穴の形ではなく「自分が通れる大きさかどうか」だからです。同じ資料では、箱の中は外が透けて見えないように暗く、穴から下向きへ入るようになっていればどんなものでもよい、とも書かれています。鳥にとっての快適さは、洗練された見た目ではなく暗さと安全性で決まっているわけです。
実作業に置き換えると、前板の上端を1辺3cmの正方形に切り欠いて、その上から屋根板をかぶせるという作り方が可能になります。のこぎりだけで完成させられるので、電動ドリルも自在錐も持っていない人でも巣箱が作れます。切り欠きの寸法だけは3cmを守ってください。
注意点として、四角い穴にする場合も縁のささくれは落としておきます。また、切り欠きを大きくしすぎないよう、板に鉛筆で線を引いてから切ること。丸穴と違って「切りすぎたら戻せない」ので、少し小さめに切ってからやすりで広げるほうが安全です。
材料は杉板1枚で足りる。合板だけは選んではいけない
板厚1.2cm超の一枚板が最低条件になる理由
巣箱の材料選びには、公的資料がはっきり示している条件が2つあります。鳥取県の資料には「板は、1.2cmより厚い一枚板を使用し、合板(ベニヤ板など)は使わない」と書かれています。つまり厚さ12mmを超える無垢の板、というのが最低ラインです。市販の杉板なら厚さ15mm前後のものが流通していて、これを選んでおけば条件を満たします。
厚さが必要な理由は断熱です。巣箱は直射日光を受けて表面温度が上がりますが、板が薄いと内部までその熱が伝わり、卵やヒナに影響します。冬にねぐらとして使われる場合は逆に、薄い板では夜間の冷え込みがそのまま中に伝わります。板の厚みは、そのまま巣箱の空調性能だと考えてください。
合板を避ける理由は接着剤です。ベニヤ板は薄い板を接着剤で貼り合わせた素材なので、雨に濡れて乾くというサイクルを繰り返すと層が剥がれてきます。屋外に1年以上掛けっぱなしにする巣箱では、1シーズン持たずに崩れてくることがあります。ホームセンターの木材売り場では合板のほうが安く、大きな面積が取れるので手が伸びやすいのですが、ここは無垢材を選んでください。
買い方のコツとしては、幅15cm前後・厚さ15mm前後の杉板を1枚買えば、シジュウカラ用の巣箱1個分がほぼ賄えます。多くのホームセンターにはカットサービスがあるので、寸法をメモして持ち込めば、まっすぐな切り口の部材が手に入ります。のこぎりの腕に自信がない人ほど、この段階で頼ってしまうのが仕上がりの近道です。
そろえる道具は5つだけ
必要な道具は多くありません。のこぎり、きり、電動ドリル(または自在錐)、ドライバー、そして木ネジか釘。これに、木に固定するためのシュロ縄が加われば作業は完結します。鳥取県の資料の展開図にも「しゅろ縄を通す穴」が描かれていて、縄で木に結ぶ前提で設計されていることが分かります。
木ネジと釘のどちらを使うかは、開閉部をどう作るかで決まります。屋根や側板を開閉式にする場合はちょうつがいを使うので、ちょうつがいを留めるための短い木ネジが必要です。箱本体は釘でも組めますが、木ネジのほうが後から締め直せるので、数年使う前提なら木ネジをおすすめします。
作業のコツは、釘やネジを打つ前にきりで下穴を開けておくことです。杉のような柔らかい針葉樹は、下穴なしで端に近い位置へ釘を打つと簡単に割れます。板が割れると隙間から雨が入り、その一箇所から巣箱全体が傷んでいきます。下穴を開ける2秒が、巣箱の寿命を数年延ばすと考えてください。
電動工具がない場合でも、前述の「四角い切り欠き」方式ならのこぎりときりだけで作れます。道具をそろえてから始めようとすると、たいてい着手が来年の春になってしまいます。手持ちの道具で作れる設計に寄せる、というのが完成までの最短ルートです。
かんなもペンキも、かけないほうがいい
DIYに慣れている人ほどやってしまうのが、丁寧な仕上げです。鳥取県の資料には「巣箱の内部及び外部は自然の感じを出すために、かんなをかけたり、ペンキを塗ったりしない方がよい」と書かれています。手をかけないほうがいい、という珍しいタイプの指示です。
理由は2つあります。1つは、内側の壁がつるつるだと、巣立ち前のヒナが出入り口まで登れなくなること。ざらついた木肌は、小さな爪が引っかかる足場になります。もう1つは、塗料の臭いと色です。周囲の樹皮から浮いた鮮やかな色は、天敵に対して巣箱の位置を教えてしまいます。
どうしても屋外での耐久性が気になる場合は、屋根の上面だけに手を入れるという折衷案があります。屋根板にトタンや厚手のシートをかぶせれば、木部に塗料を塗らずに雨をしのげます。内部と出入り口周辺には何も塗らない、という線を守れば鳥への影響は抑えられます。
もうひとつ、装飾についての注意もあります。同じ資料には「細い枝や、とがった葉、木の実などは、なるべくつけない」とあり、その理由として鳥が嫌がることと、外敵が侵入しやすくなる場合があることが挙げられています。市販の可愛らしいバードハウス風の飾りは、鳥の視点では歓迎されにくいということです。
自作か市販キットか。時間で選ぶという考え方
自作にこだわらないなら、市販の組み立てキットという選択肢もあります。日本野鳥の会のバードショップオンラインでは、シジュウカラ・カラ科用巣箱の組み立てキットが3,960円、完成品が4,510円で販売されています。組み立てキットの出入り口の直径は2.8センチ、素材はトドマツで、前述の公的資料が示す3cm前後という基準にきちんと収まっています。
キットの利点は、板取りの計算と穴あけという2つの難所が済んでいることです。寸法を間違える余地がなく、届いたその日に組み立てて掛けられます。「今年の秋に間に合わせたい」という時間の制約がある人には、自作より確実な選択肢になります。
一方、自作の利点はサイズを自由に変えられることです。ムクドリ用の18cm角やヤマガラを意識した設計など、市販品にない仕様も作れます。また、板を切って組む作業そのものが子どもの自由研究や工作の題材になるという価値もあります。
判断の目安としては、初めての1個を「巣箱がある庭を体験してみる」ために掛けるならキット、鳥の種類ごとに掛け分けていきたいなら自作、と考えると迷いません。最新の在庫や価格は日本野鳥の会バードショップオンラインで確認してください。
シジュウカラ用巣箱の作り方を、寸法つきで最初から最後まで
板1枚から6つの部材を切り出す
鳥取県の資料に載っている基本型巣箱(シジュウカラ用)の展開図は、幅15cmの板を使い、全長35cm以上の板から各部材を取る構成になっています。側板の高さは20cm。1枚の板に線を引いて順番に切り出していけば、前板・後板・側板2枚・底板・屋根板がそろいます。
この設計が優れているのは、板の幅がそのまま箱の幅になっている点です。幅15cmの板を買ってくれば、縦方向に切る作業がほとんど発生しません。のこぎりで板を縦に真っ直ぐ切るのは難易度が高い作業なので、これを回避できる設計は初心者にとって大きな助けになります。
切り出すときは、鉛筆で全部の線を引き終えてから切り始めてください。1つ切っては測る、を繰り返すと累積誤差が出て、最後の部材だけ足りなくなります。また、のこぎりの刃の厚み分(1ミリ強)を見込んで線を引くと、後半の部材が短くなる失敗を防げます。
失敗パターンとしてよくあるのが、後板を側板と同じ長さで切ってしまうケースです。東京都環境局の資料には「巣箱の背には背板や添え木を取り付けると、木にかけたときに巣箱が安定します」とあります。後板は本体より上下に長く取り、その余った部分を木に当てて縛るのが基本形です。ここを同じ長さで切ってしまうと、掛けたときに巣箱がぐらつきます。
屋根の斜め切りは、板の厚さの3分の1
展開図でいちばん分かりにくいのが屋根まわりです。鳥取県の資料では、屋根と側板の接合部について「のこぎりをななめに入れる」「板の厚さの1/3」という指示が図示されています。板を切り落とすのではなく、板厚の3分の1の深さまで斜めに切り込みを入れて、屋根の傾斜に側板を合わせる加工です。
屋根に傾斜をつけるのは、雨を後ろへ流すためです。水平な屋根は雨水がたまり、そこから木が腐ります。傾斜がついていれば、雨は後板側へ流れて地面に落ちます。傾斜の向きは、出入り口のある前側を高く、後ろ側を低くするのが基本です。
屋根で忘れてはならないのがひさしです。東京都環境局の資料には「ひさしは光や風雨を防ぎます。長すぎると鳥の出入りのジャマになり、箱に直角だと風雨避けの役割を果たさないので注意」と書かれています。屋根板を前板より少し前に出す。ただし出しすぎない。この2つを同時に満たす必要があるということです。
加工に自信がない場合は、斜め切りを省いて屋根を水平にし、代わりに屋根板の上に薄いシートをかぶせて後方へ垂らすという方法もあります。仕上がりの美しさは落ちますが、雨対策という目的は達成できます。理想の工作精度より、雨が入らないという結果を優先してください。
底板の四隅を落とす、という一手間
巣箱づくりで最も見落とされるのが底板の水抜きです。鳥取県の資料には「底には、必ず水はけのために穴をあけか、底板の四つの隅を切り落とす」とあり、拡大図では切り落とす幅が「板の厚さの二倍」と指定されています。厚さ15mmの板なら、四隅を3cmほど斜めに落とすということです。
東京都環境局の資料も同じ趣旨で「底板には水抜き穴を小さく開けます。こうすると水が入っても排水されます」と説明しています。2つの公的資料が揃って水抜きに言及していることからも、この工程の重要性が分かります。
なぜここまで念を押されるかというと、巣箱の底に水が残ると巣材が湿り、卵やヒナが冷えるからです。強い横殴りの雨では、どれだけ丁寧に作っても出入り口から水が入ります。入らないようにするのではなく、入った水がすぐ抜ける構造にする、という発想の切り替えが必要です。
作業としては、底板を組み込む前に四隅を斜めにのこぎりで落とすだけです。組み立て後に開けようとすると狭くて手が入らないので、必ず組む前に済ませてください。ここを忘れて完成させてしまい、翌春に中がじめじめしていた、という失敗はよくあります。
開閉できる扉と、止め金をつけて完成
最後の工程が開閉部です。鳥取県の資料には「利用後は、掃除をすることもあるので、扉をつけるか、屋根などを開閉できるようにする」とあり、続けて「カラスや風などによって、扉や屋根などが開かないように、止め金などをつける」と書かれています。開くようにすることと、勝手に開かないようにすることをセットで求めているわけです。
東京都環境局の資料でも、屋根を開閉式にする場合と横板を開閉式にする場合の2パターンが図示され、いずれも「ちょうつがいをつける」「とめ金をつける」と指示されています。屋根を開けるタイプは上から中が見やすく、横板を開けるタイプは巣材を掻き出しやすいという違いがあります。掃除のしやすさを優先するなら横板開閉、観察のしやすさなら屋根開閉です。
止め金は、ホームセンターの金具コーナーにある小さな掛け金で十分です。カラスはくちばしで隙間をこじ開けようとしますし、強風でも屋根はあおられます。ちょうつがいだけで済ませてしまうと、繁殖期のいちばん大事な時期に屋根が開いてしまうという事態になりかねません。
掛ける時期と高さを外すと、せっかくの巣箱が空き家になる
掛けるのは春ではなく、秋から冬
作った巣箱をいつ掛けるか。ここで多くの人が春を選んでしまいますが、公的資料が示すタイミングは秋から冬です。東京都環境局の資料には「巣箱は秋〜冬にかけましょう」と明記されています。キヤノンのバードブランチプロジェクトの解説でも、野鳥の繁殖は3月〜5月ごろに始まるため、設置は秋から冬にかけて行うのが適しているとされています。
理由は、鳥が巣箱を「安全な場所」と認識するまでに時間がかかるからです。3月に掛けた真新しい箱は、鳥にとって突然現れた見慣れない物体でしかありません。秋のうちに掛けておけば、鳥は冬のあいだにその存在に慣れます。
さらに嬉しい副産物もあります。鳥取県の資料には「冬の初めに巣箱をかけておくと、雪の降る冬に、『ねぐら』として利用してくれるかもしれません。その巣箱が気に入れば、春には利用してくれると思います」とあります。冬の寝床として使われた巣箱は、そのまま春の産室に昇格しやすいということです。
今が春や夏で、掛けるのを待てないという場合はどうするか。掛けてしまって構いません。ただし、その年に使われなくても落胆しないこと。秋から冬という推奨時期は、その年の入居確率を上げるための話であって、季節外れに掛けた巣箱が無駄になるわけではないからです。
高さ3m前後。地面から2メートル以上は最低ライン
掛ける高さについて、東京都環境局の資料はシジュウカラ・スズメで3m前後、ムクドリで4〜5mという数字を示しています。キヤノンのバードブランチプロジェクトの解説では「地面から2メートル以上の高所に架けます」とされていて、2mが最低ライン、3m前後が推奨帯という整理になります。
高さが必要な理由は天敵対策です。地面に近い巣箱はネコが飛び乗れる高さにあり、ヘビも登りやすくなります。人の手が届く高さは、そのまま外敵の手が届く高さでもあります。
ただし、高ければ高いほどよいわけではありません。掛ける作業も、秋の掃除も、脚立に登って行うことになります。5mの高さに掛けた巣箱を毎年掃除できるかというと、現実的には難しいでしょう。自分が毎年安全に手入れできる高さの中で、いちばん高いところ。これが実用的な答えです。
ベランダに設置する場合は、地面からの高さは自然に確保できます。その場合はむしろ、人の出入りが多い掃き出し窓の真横を避け、洗濯物の動線から外れた位置を選ぶことのほうが重要になります。
入口はやや下向き。縛るのはシュロ縄か麻ひも
掛け方の細部にもコツがあります。キヤノンのバードブランチプロジェクトの解説では、雨や直射日光を避けるために入口をやや下に向けるのがポイントとされ、木の幹に結び付ける場合は幹を傷つけないシュロ縄や麻ひもを使うよう勧められています。
入口をやや下向きにするというのは、巣箱をわずかに前傾させて掛けるという意味です。垂直に掛けると、正面から吹きつける雨が穴からまっすぐ中へ入ります。前傾させておけば、雨は穴の縁で切れて下に落ちます。傾け方は、後板の上側を幹に密着させ、下側に薄い木片をかませる程度で十分です。
縛り方は、東京都環境局の資料にあるとおり、重なる2カ所にクギ穴を開けてシュロ縄などを通します。上下2点で固定するのは、風で巣箱が回転したり傾いたりするのを防ぐためです。1点だけで吊るすと、強風のたびに向きが変わってしまいます。
針金やビス留めで幹に直接固定するのは避けてください。木が成長すると針金が幹に食い込み、その部分から木が弱ります。シュロ縄や麻ひもなら、いずれ自然に朽ちるうえ、木の成長を締めつけません。数年ごとに縄を交換する前提で掛けるのが、木にも巣箱にも優しいやり方です。
木の選び方で、ヘビの侵入率が変わる
どの木に掛けるかも入居率を左右します。キヤノンのバードブランチプロジェクトの解説では、蛇が入りにくいよう下枝の少ないまっすぐな木を選ぶこと、日当たりと風通しがよく湿度の低い場所を選ぶこと、そして大型の鳥などの外敵から襲われにくい少し人通りがある場所が好まれることが挙げられています。
下枝が少ない木が推奨されるのは、枝がヘビやネコの足場になるからです。太い幹だけがまっすぐ伸びている木は、地面から巣箱までの間に中継地点がありません。逆に、低い位置から枝が四方に出ている木は、天敵にとっては階段付きの建物のようなものです。
「少し人通りがある場所」という条件は意外に感じるかもしれません。人の気配がまったくない場所は、鳥にとって静かで安全なようでいて、カラスやヘビが警戒せずに近づける場所でもあります。適度に人が通る庭のほうが、大型の天敵が寄りつきにくいという逆説が働きます。
湿度の条件も忘れないでください。北側の日が当たらない壁際や、常に湿った地面の上は、巣箱の中も乾きにくくなります。午前中に日が当たり、午後は木陰になるような場所が理想的です。
掛ける条件を1行にまとめると「秋から冬に、下枝の少ないまっすぐな木の3m前後の高さへ、入口をやや下向きにして、シュロ縄で上下2点固定」です。この4項目のうち、高さと時期はあとから直せますが、木の選択だけは掛ける前に決めておく必要があります。
ネコ・ヘビ・カラスに見つからない巣箱にするには
出入り口の前に枝を残さない
天敵対策で最も効果があるのは、巣箱の周囲から足場をなくすことです。東京都環境局の資料には「鳥が嫌がる例」として「出入り口付近の枝は、小鳥の敵(ヘビ・猫・カラス)の足場になってしまいます」と図解されています。市街地の巣箱で警戒すべき相手は、この3者だと考えて差し支えありません。
カラスにとって、出入り口の真横に伸びた枝は「止まってくちばしを突っ込むための作業台」です。枝がなければ、空中でホバリングしながら巣箱をこじ開けることはできません。ヘビも同様で、幹を登ってきたあと巣箱に乗り移るには、どこかに中継の枝が必要になります。
具体的には、掛ける前に出入り口の前方30cmほどの空間を確認し、そこに伸びている細い枝は剪定しておきます。逆に、巣箱の上方や後方の枝はそのまま残して構いません。日陰を作り、上空のカラスから巣箱を隠してくれるからです。
注意点として、他人の敷地の木や公園の街路樹を勝手に剪定するのは避けてください。巣箱を掛けるのは自分の庭かベランダ、あるいは管理者の許可を得た場所に限ります。木を切ってまで巣箱を掛ける、という順序は本末転倒です。
飾りをつけないほうが、鳥は寄ってくる
巣箱を可愛らしくしたい気持ちは分かりますが、装飾は入居率を下げる方向に働きます。鳥取県の資料には「細い枝や、とがった葉、木の実などは、なるべくつけない。(鳥はいやがり、外敵などが侵入しやすくなる場合がある)」と明記されています。
市販のバードハウス風の雑貨によくある、出入り口の下に止まり木を突き出したデザインを思い浮かべてください。あの止まり木は、人間の目には親鳥が止まる場所に見えます。しかし鳥の側から見れば、シジュウカラは止まり木がなくても穴の縁につかまって出入りできる一方、カラスやネコにとっては格好の足がかりになります。
同じ理由で、巣箱の中に巣材を入れておくのも勧められません。鳥取県の資料には「巣箱の中に、わらなどの巣材をなるべく入れない。(鳥によっては、いやがる場合がある)」とあります。巣材は鳥が自分で選んで運び込むものです。シジュウカラの場合、コケや毛糸、犬の毛などを使うことが知られています。
親切のつもりの一手間が裏目に出るのが巣箱の難しさです。人間にとっての「至れり尽くせり」と、鳥にとっての「安全で目立たない」は、しばしば正反対の方向を向いています。
低く掛けて中を見やすくした、という失敗
2つ目の典型的な失敗パターンが、観察しやすさを優先した設置です。庭の低木の1.5mほどの高さ、リビングの窓から真正面に見える位置に掛ける。中の様子がよく見えて満足度は高いのですが、この配置は前述の推奨条件をほぼすべて外しています。
まず高さが足りません。地面から2メートル以上という最低ラインを下回っており、ネコが飛び乗れます。低木は下枝が多く、ヘビの足場も豊富です。そして窓の正面という位置は、人の動きが常に見える場所であり、親鳥が出入りをためらう原因になります。
対策はシンプルで、「見える場所」ではなく「双眼鏡で見える場所」に掛けることです。3m前後の高さ、下枝の少ない木、窓からは斜めに見える角度。この配置なら安全性を確保したまま観察もできます。窓から10m離れていても、双眼鏡があれば出入りの様子は十分に分かります。
もうひとつ、巣箱の中を頻繁に開けて確認するのも避けてください。人の匂いや振動が繁殖の放棄につながることがあります。掛けたあとは、外から出入りを眺めるだけにとどめるのが基本姿勢です。
巣箱を掛けたあと、繁殖期に中を開けて確認するのは控えてください。親鳥が警戒して巣を放棄することがあります。掃除のために開けるのは、ヒナが巣立ったあと。それまでは外から出入りを眺めるだけにとどめるのが、いちばん確実な応援になります。
巣箱の中で何が起きているのか。シジュウカラの子育て時刻表
3月下旬から4月上旬、メスが1週間かけて巣を作る
掛けた巣箱にシジュウカラが入ると、そこから約2か月の子育てが始まります。万博記念公園が公開しているシジュウカラの繁殖期の観察記録によれば、巣作りは3月下旬から4月上旬に行われ、メスが1週間かけて作ります。材料はコケ、毛糸、犬の毛などです。
この時期に庭で見られるのが、口いっぱいにコケをくわえたシジュウカラが巣箱に出入りする姿です。同じ鳥が数分おきに何度も往復するので、観察していれば「今、巣作りが始まった」とはっきり分かります。1週間ほどでこの往復が止まったら、巣が完成した合図です。
犬や猫を飼っている家では、ブラッシングで出た毛を庭の低い枝に軽く掛けておくと、巣材として運ばれることがあります。ただし化学繊維の糸や長い毛糸は、ヒナの脚に絡まる事故につながるため向きません。自然素材の短いものだけにとどめてください。
巣作りが始まったら、巣箱には近づかないことです。この段階での放棄がいちばん起こりやすく、まだ卵がないぶん鳥は簡単に別の場所へ移ってしまいます。1週間だけ我慢する。それだけで、そのあとの2か月が見られます。
卵は8〜10個。孵化まで13〜14日、巣立ちまでさらに18〜20日
万博記念公園の記録によると、シジュウカラの1腹卵数は4から12ですが、8から10が普通とされています。体長約14cmの鳥が、10個近い卵を産むわけです。そして興味深いことに、孵化日をそろえるために、全部の卵を産み終わってから抱卵が始まります。
抱卵が始まると、13日から14日で孵化します。この間、巣箱の出入りは急に減ります。メスがほとんど中にこもるためで、外から見ていると「入居に失敗したのかな」と心配になる時期です。実際にはこのタイミングこそ、いちばん静かに見守るべき時期です。
孵化してからは、また出入りが激しくなります。同じ記録では、1時間に親鳥は平均13.5回給餌をしていたとされ、雛1羽では1時間に1.5回餌をもらっている計算になると説明されています。夜明けから日没まで、親鳥はこのペースで虫を運び続けます。
孵化後18日から20日で巣立ち、その後も2週間から1か月は親鳥と共に生活します。つまり、巣箱から出たあとも家族はしばらく庭の近くにいます。巣立ち直後のヒナが庭の地面にいても、それは失敗ではなく通常の過程です。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| △ | △ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | △ | △ | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
◎=巣箱まわりの動きが大きい時期(4〜5月=営巣・子育て/10〜12月=設置と掃除の適期) ○=動きがある △=静かな時期
70個掛けて29個。入らないのが普通だと知っておく
ここで、期待値の話をしておきます。万博記念公園の記録では、70個設置した巣箱のうち繁殖が確認できたのは29個でした。21個は巣材のみ、2箇所ではシジュウカラ以外の鳥が営巣しています。巣立ち率は49.4%と報告されています。
この数字が意味するのは、条件を整えた公園の巣箱でも、繁殖に至るのは半数以下だということです。庭に1個掛けて初年度に使われなかったとしても、それは作り方や掛け方が間違っていたという証拠にはなりません。
むしろ知っておくべきなのは、巣材だけ運び込まれて終わるケースが21個もあったという事実です。中を見て巣材があったのに卵がなかったとしても、それは「下見に来た」という前向きなサインです。翌年に同じ場所が選ばれる可能性は十分にあります。
だからこそ、1年で判断しないでください。掛けた巣箱は、秋に掃除をして翌年も掛け続ける。3年目に初めて入居した、という話は珍しくありません。巣箱づくりは、待つことまで含めた趣味だと考えると気持ちが楽になります。
| 鳥名 | シジュウカラ |
| 全長 | 体長は約14cm |
| 巣箱の推奨サイズ | 横15cm×縦15cm×高さ20cm/出入り口の直径3cm |
| 巣作りの時期 | 3月下旬から4月上旬(メスが1週間かけて作る) |
| 卵の数と日数 | 8から10が普通/抱卵から13日から14日で孵化 |
| 巣立ち | 孵化後18日から20日で巣立ち、その後2週間から1ヶ月は親鳥と生活 |
巣材はコケ、毛糸、犬の毛。中身から庭の環境が読める
巣箱の楽しみは、鳥が去ったあとにも残ります。宮城県が公開している巣箱の掃除の解説では、撤去した巣材について「巣箱周囲の環境を調べる上でも格好の材料です。場所ごとや年度ごとに巣材の表を作ってみると、思いがけない『発見』があるかもしれません」と紹介されています。
取り出した巣材を新聞紙の上に広げて、コケ、獣毛、羽根、化学繊維といった具合に分けてみてください。コケの割合が高ければ庭の周囲に湿った林があり、獣毛が多ければ近所にペットがいる、というように、巣材の構成はその鳥が半径数百メートル内で何を集められたかの記録になっています。
年度ごとに記録を残しておくと、数年後に庭の変化が読み取れます。近くの空き地が造成されればコケが減り、代わりにビニールひもの断片が増えるといった変化が現れます。巣箱1個が、地域の環境モニターとして機能するわけです。
注意点として、巣材を分ける作業は屋外で行い、終わったら手を洗ってください。巣材にはダニなどが残っていることがあります。作業時は次の見出しで触れるとおり、軍手をつけて行うのが基本です。
掃除と法律。ここを知らないと、善意が違反になる
巣立ち後に、軍手をつけて熱湯消毒
巣箱は掛けたら終わりではありません。宮城県の解説では、巣立ち後の巣箱について「中の巣材を取り除き、出来れば熱湯消毒をした上で、板の『割れ』や釘等の『ゆるみ』を補修します」と手順が示されています。キヤノンのバードブランチプロジェクトの解説でも、架けた巣箱は年に1度必ず手入れするよう勧められています。
掃除が必要な理由は衛生面です。使い終わった巣材にはダニなどが残り、そのままにしておくと翌年その巣箱は敬遠されます。熱湯をかけて乾かすだけでも、状態はかなり改善します。
安全面の注意も明確に書かれています。宮城県の解説には「掃除の時には中に何がいるか分からないので、『軍手』をつけケガ等には十分注意して行ってください」とあります。巣箱の中でスズメバチが営巣していたり、ヘビが入り込んでいたりすることがあるためです。開ける前に外からノックして、しばらく様子を見てから開けるのが安全な手順です。
使われなかった巣箱も放置しないでください。同じ解説には、利用されなかった巣箱についても「『クモの巣・ハチの巣』等を取り除き、来年に備えてください」とあります。鳥が入らなかった年こそ、内部が荒れていることが多いものです。
掃除は秋。翌年の設置とセットにする
掃除の時期は、掛け直しの時期と重なります。キヤノンのバードブランチプロジェクトの解説では、翌年の秋には必ず中の巣材を取り出し、掃除・補修をして架け替えると説明されています。つまり「秋に外して掃除し、そのまま掛け直す」という1回の作業にまとめられるということです。
この段取りにすると、年間の作業が秋の1日で完結します。春から夏は触らない、秋に1度だけ手入れする。このリズムを固定してしまえば、巣箱の管理は続けやすくなります。
補修では、板の割れとネジのゆるみを重点的に見てください。1年屋外にあった杉板は、乾湿の繰り返しで必ず動きます。ネジを締め直し、割れがあれば当て木をする。このとき、屋根の傾斜と底の水抜きが機能しているかも確認しておきます。
掃除の際に注意したいのが、巣箱を外すタイミングです。ヒナが確実に巣立ったことを確認してから作業してください。出入りが完全に止まってから1週間ほど空けると確実です。
卵やヒナが入った巣は、勝手に撤去できない
ここは巣箱を掛けるすべての人に知っておいてほしい部分です。東京都環境局の解説では、鳥獣保護管理法に関して「許可なく野鳥を捕獲・殺傷すること、飼うことは禁止されています」とされ、「違反者には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます」と明記されています。
巣箱に関わるのは、この法律の「撤去」に関する部分です。同じ解説では、卵を産んでしまっている場合、許可なく撤去することはできないと説明されています。卵またはヒナを含めた野生鳥獣は許可なく捕獲・殺傷することができない、という原則があるためです。
具体的に何が問題になるかというと、たとえば「思っていた鳥と違う鳥が入ったから、中身を出して掛け直したい」というケースです。すでに卵があれば、これは行えません。巣立ちを待つ以外の選択肢はないと考えてください。
だからこそ、穴の直径で入居する鳥を絞り込む設計が意味を持ちます。掛けたあとで選び直すことはできない。選択は、板に穴を開ける瞬間にすべて終わっているのです。詳しくは東京都環境局「野生鳥獣との接し方について」を確認してください。
巣立ちビナを見つけても、拾わない
巣箱を掛けると、巣立ちの時期に地面でうずくまるヒナに出会うことがあります。東京都環境局の「ヒナを拾わないでください」というページでは、こうしたヒナについて「そのままにしてそっと離れましょう」と呼びかけられています。
理由も明快に説明されています。親鳥は必ずヒナのもとへ戻って世話をするため、人がヒナのそばにいると、かえって親鳥はヒナに近寄れないというのです。良かれと思って見守っているつもりの人間の存在が、親子の再会を妨げてしまいます。
人が育てられない理由についても、同ページでは「飛び方やエサの取り方、何が自分にとって危険なのかを教えられません」と説明されています。餌を与えて大きくすることはできても、野生で自立させることは別の話だということです。
唯一の例外として挙げられているのが、ネコが近くにいる場合です。そのときは近くの木の枝先など、ネコが近寄れないところに移す、とされています。連れ帰るのではなく、その場の安全な高さへ移すというのが正しい対応です。
巣箱を掛けたあと、中の卵やヒナを持ち出したり、野鳥を飼育したりすることは鳥獣保護管理法で禁止されています。東京都環境局の解説では、違反者には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられるとされています。巣箱はあくまで「場所を提供する」ための道具であり、鳥を手元に置くための道具ではありません。
まとめ
巣箱づくりの全体像をもう一度たどると、直径3cmの穴を決め、厚さ1.2cmより厚い一枚板を選び、底の四隅を落として水を抜き、開閉できる扉と止め金をつける。そして秋のうちに、下枝の少ないまっすぐな木の3m前後の高さへ、入口をやや下向きにしてシュロ縄で2点固定する。翌年の秋に外して掃除し、また掛け直す。この一連のサイクルが、庭に野鳥の家を1軒建てるということの中身です。最初の一歩としては、ホームセンターで幅15cm・厚さ15mm前後の杉板を1枚だけ買ってくることをおすすめします。板が手元にあれば、あとは線を引いて切るだけです。70個掛けて29個という数字が示すとおり、初年度から入居があるとは限りません。それでも、掛けてある巣箱の数だけ、その庭に選択肢が増えていきます。
※本記事の寸法・設置基準は鳥取県・東京都環境局・宮城県の公開資料、生態データは万博記念公園の観察記録に基づいています。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
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