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スズメの鳴き声は10タイプに分類された|チュンとジジを聞き分ける観察のコツ

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窓の外から「チュン、チュン」と聞こえてくる声。あまりに毎日聞いているせいで、多くの人はそれを「スズメの鳴き声」というひとつの音として記憶しています。ところが録音を並べて聴き比べると、同じ庭先の同じ群れから、まったく違う響きの声がいくつも出てくることに気づきます。

結論から書きます。スズメの声は一種類ではありません。韓国の研究チームが野外で録音を分類した2023年の論文では、成鳥の声だけで9タイプ、ヒナのねだり声を加えて10タイプが区別されました。しかも私たちが「チュンチュン」と呼んでいる声は、そのうちのごく一部にすぎません。

とはいえ、いきなり10タイプを覚える必要はありません。実際の庭やベランダでは、まず「澄んだ声」と「濁った声」の2つに割るだけで、群れが今どんな状態にあるのかがかなり読めるようになります。この記事では、声の分類の全体像、季節ごとに増える声、間違えやすい似た鳥5種との分かれ目、そして耳を鍛える具体的な手順までをまとめました。

📌 押さえておきたいポイント

この記事でわかること
・スズメの声が研究で10タイプに分けられた中身と、庭で使える2分類のコツ
・「チュン」と「ジジ」で群れの状態を読み分ける方法
・春夏と秋冬で聞こえる声がどう入れ替わるか
・ニュウナイスズメ・シジュウカラなど、声を取り違えやすい5種との違い

目次

スズメの鳴き声は「チュン」の一語では足りない

スズメの鳴き声は「チュン」の一語では足りないの解説画像

研究が数えたら、成鳥だけで9タイプあった

スズメの声は、専門的に数えると10タイプに分かれます。Lee & Sung(2023年)の論文「The call type variation and usages of the Eurasian tree sparrow Passer montanus」では、さまざまな場面と群れの行動を録音して分類した結果、成鳥で9タイプ、ヒナのねだり声1タイプが区別されました。

なぜこれほど細かく分かれるのか。研究チームは、鳴き声タイプの多様さがスズメの複雑な社会構造と関係しており、社会性の進化と結びついている可能性があると述べています。単独で暮らす鳥なら「敵が来た」と「ここにいる」の2つで足りますが、数十羽で行動し、餌場も寝ぐらも共有する鳥は、それだけ細かい伝達が必要になるということです。

分類の中身は、A1 接触の声、A2 闘争意図の声、A3 飛翔時の声、A4 警戒・不安の声、A5 緊急の声、A6 威嚇・警告の声、A7 促しの声、A8 悲鳴、A9 社会的な声、そしてヒナのC1 ねだり声です。さらにA1の接触の声には9つの下位タイプ、C1のねだり声には2つの下位タイプがあるとされています。つまり「チュン」と一括りにしている音の中に、少なくとも9通りの使い分けが埋まっている計算になります。

ただし注意したいのは、この分類がそのまま「聞き分けの手順」にはならない点です。A4とA6のように、耳だけで確実に区別するのは録音とスペクトログラムがあってこそ。庭先の実践では、次に紹介する2分類から始めるほうが確実に前へ進みます。論文の要旨はこちらで確認できます。

まずは「澄んだ声」と「濁った声」の2つに割る

庭やベランダで実際に使えるのは、10タイプではなく2分類です。日本野鳥の会の野鳥図鑑もスズメの声を「チュン」、「ジジ」などさまざまな声を出す、と記しています。この「チュン」=澄んだ声、「ジジ」=濁った声、という2軸が出発点になります。

この分け方が有効なのは、濁りの有無が発声の緊張度とかなり素直に対応しているからです。人の声でも、落ち着いて話すときと、慌てて叫ぶときでは声帯の使い方が変わり、倍音の混ざり方が変わります。鳥も同じで、緊張が高い場面ほど音がざらつき、しゃがれた響きになります。

実際の判別は簡単です。目を閉じて、その音を口まねできるかを試してみてください。「チュン」「チィッ」のように母音がはっきり残る音は澄んだ声。「ジジ」「ジュクジュク」のように子音が前に出て濁る音は緊張の側です。慣れてくると、同じ群れの中で澄んだ声から濁った声へ切り替わる瞬間が聞き取れるようになります。その切り替わりこそ、群れに何かが起きたサインです。

豆知識として、この2分類はスズメ以外にも応用が利きます。同じスズメ目のシジュウカラも、さえずりは細い「ツーピー」なのに、地鳴きは「ジュクジュク」と濁ります。澄み/濁りの軸は種を超えて共通しているので、最初に身につける物差しとして効率がよいのです。

全長14.5cmの体が出している1〜10kHzという音域

スズメの声が細く高く聞こえるのは、体の小ささが理由です。日本野鳥の会の図鑑によれば、スズメはスズメ目スズメ科で全長14.5cm、翼開長22.5cm。体重は25g程度とされています。この大きさの発声器官から出る音は、2025年にScientific Reportsに掲載された研究で1〜10kHzの範囲にあると報告されています。

この数字は、聞き分けの現場では意外に重要です。1〜10kHzという帯域は、車の走行音や空調の低い唸りより上にあり、金属的な高音や子どもの声とは重なります。つまりスズメの声は、低いノイズの多い場所では拾いやすく、高い雑音が多い場所では埋もれやすいという性格を持っています。

具体的には、駐車場や交差点そばのように低音が支配的な場所では、耳を澄ませば「チュン」がはっきり分離して聞こえます。逆に、蝉の声が重なる真夏の並木道や、子どもの遊び声が響く公園では、同じ距離でも聞き取りにくくなります。録音を試す人は、この帯域が重なる音源から離れることを最初に意識してください。

やりがちな失敗は、姿を確認せずに音だけで種を決めてしまうことです。全長14.5cmという情報は、声と一緒に「小さい鳥が出している音量」という感覚をつくるために使います。同じ「チッ」に聞こえても、全長24cmのムクドリが出す声は音圧が違い、距離感の見積もりがずれます。声と体の大きさをセットで覚えるほど、判断は速くなります。

🐦 野鳥スペックカード
分類スズメ目スズメ科
全長全長14.5cm(翼開長22.5cm・体重25g程度)
見られる季節留鳥といわれ通年(幼鳥は秋に移動すると思われる)
生息環境人家付近でのみ見られる
鳴き声「チュン」、「ジジ」などさまざまな声を出す
よく見られる場所住宅地の植え込み、電線、屋根の隙間、農耕地
全長の比較チャート(メジロ 12cm・ニュウナイスズメ 14cm・シジュウカラ 14cm・カワラヒワ 14cm)
全長の比較(野鳥の教科書調べ・各公式サイトより、2026年8月時点)

「チュンチュン」と鳴いているとき、彼らは何を伝え合っているのか

群れの位置を確かめ合う、接触の声

澄んだ「チュン」の正体は、多くの場合A1の接触の声です。仲間との距離が開きすぎないよう、互いの位置を音で確かめ合っています。9つの下位タイプがあるとされるのはこの接触の声で、それだけ細かく場面を使い分けているということになります。

理由は生活の形にあります。スズメは人家付近でのみ見られる鳥で、植え込みや電線の陰など、視界が遮られる場所を渡り歩きます。姿が見えない状態が頻繁に起きるので、視覚ではなく音で群れの形を保つ必要があるわけです。開けた原っぱだけで暮らす鳥なら、ここまで頻繁に声を出す必要はありません。

庭先での見分け方はこうです。数羽が同じ植え込みに入り、姿が見えないまま「チュン…チュン…」と間隔をあけて聞こえてくるとき、それはほぼ接触の声です。緊張の合図ではないので、こちらが静かにしていれば、そのうち1羽ずつ枝先に出てきます。声の間隔が詰まってきたら、群れが移動を始める前触れであることが多いと感じられます。

注意点として、この声を「呼んでいる」と受け取って餌を撒くのは避けたいところです。東京都環境局は、エサを撒いて野鳥をおびき寄せる行為は野鳥の生息を脅かす可能性があり、節度ある行動が求められるとしています。声は観察の手がかりであって、こちらから働きかける合図ではありません。

朝の声がひときわ賑やかに聞こえる、その仕組み

「朝がうるさい」と感じるのは気のせいではありません。夜明け前後は気温が低く風が弱いため空気が安定し、同じ音量でも声が遠くまで届きます。加えて、交通量や生活音がまだ立ち上がっていないので、1〜10kHzの帯域を邪魔するノイズが少ない。同じ「チュン」でも、朝は届く範囲が広がるのです。

もうひとつの要因が、群れの行動リズムです。夜を明かした場所から採餌場所へ移動するタイミングで、接触の声と、移動を促すA7の促しの声が集中します。数羽ではなく群れ全体が同時に声を出すので、体感としての音量は一気に増します。

実際に確かめるなら、同じ場所・同じ窓で、日の出前後と正午に3分ずつ耳を澄ませてみてください。声の種類がはっきり違うことに気づくはずです。朝は短い声が重なり合い、昼はぽつりぽつりと単発になります。この差を体で覚えると、季節が変わったときの変化にも気づきやすくなります。

逆に、朝いちばんに濁った声ばかりが聞こえる日は、寝ぐら近くに天敵がいる可能性があります。ネコやカラス、猛禽が近くにいるときの反応は次の見出しで扱いますが、朝の第一声が「ジジ」だったら、その日は静かに見守るのが正解です。

Q. スズメは「チュンチュン」以外にどんな声を出しますか?
A. 日本野鳥の会の図鑑は「チュン」のほかに「ジジ」などさまざまな声を出すと記しています。ほかにも、縄張りを守るときの「ジュクジュクジュク」、交尾時の細い「ヒヨヒヨヒヨ」といった声が知られています。研究上の分類では、接触・闘争意図・飛翔時・警戒・緊急・威嚇・促し・悲鳴・社会的な声の9タイプに、ヒナのねだり声を加えた10タイプに整理されています。

「聞きなし」でメモを取ると、翌日も思い出せる

聞いた声を定着させる方法として確実なのは、日本野鳥の会も紹介している「聞きなし」です。鳴き声を人間の言葉に置き換えて覚える方法で、ウグイスの「ホーホケキョ」がその代表例にあたります。

なぜ言葉に置き換えると強いのか。音そのものの記憶は数時間で薄れますが、言語化した記憶は翌日も残ります。しかも自分の口で再現できる形にしておくと、次に同じ音を聞いたとき「これはあのときの音だ」という照合が一瞬で終わります。図鑑の擬音を借りるより、自分の耳が受け取った通りに文字にするほうが再現性が高くなります。

具体的なやり方は、スマートフォンのメモに「日付・時刻・場所・自分の言葉」の4項目だけを書くこと。たとえば「8月11日 6時10分 ベランダ チュ・チュン、チュ・チュン(2拍ずつ)」といった具合です。拍のリズムまで書き留めておくと、似た声の鳥と突き合わせるときの決め手になります。

豆知識をひとつ。日本野鳥の会は全12種類の野鳥の鳴き声と見どころを解説した小冊子「鳴き声ノート」を用意しており、音声も利用できます。自分の聞きなしを作ったあとで公式の音源と突き合わせると、ずれた部分が自分の耳のクセだとわかります。日本野鳥の会のバードウォッチング入門から辿れます。

濁った「ジジ」が混ざったら、その場で何かが起きている

濁った「ジジ」が混ざったら、その場で何かが起きているの解説画像

警戒の声と威嚇の声は、役割がまるで違う

濁った声は、ひとくくりにできません。研究の分類ではA4の警戒・不安の声、A5の緊急の声、A6の威嚇・警告の声が別々に立てられています。前者は「危ないかもしれない」を群れへ知らせる声、後者は相手に向けて「近づくな」と押し返す声で、向けられている相手が違うのです。

役割の違いは、その後の行動に現れます。警戒側の声が出ると、群れは一斉に動きを止めるか、まとまって植え込みへ入ります。一方、威嚇側の声では群れは散らず、声を出している個体だけが姿勢を低くして相手と向き合います。日本野鳥の会の図鑑も、縄張りを守るときには「ジュクジュクジュク」と激しく鳴くと記しています。

庭先での見分け方は、視線の向きです。声を出している個体が空や地面の一点を見ているなら警戒、目の前の別のスズメを見ているなら縄張り争いです。餌台の周りで濁った声が出るときは、ほぼ後者。順番待ちの押し合いで、数秒で決着がつきます。

注意したいのは、警戒の声を聞いて人が動くと事態が長引くことです。天敵が去るまで群れは戻りません。濁った声が続く間は窓辺で立ち上がらず、姿勢を保ったまま待つ。それだけで、群れが戻るまでの時間が短くなります。

実は、街の騒音がスズメの声そのものを変えている

意外と知られていないのですが、都市に暮らすスズメは、私たちの生活音に合わせて声を作り替えています。2025年にScientific Reportsで発表された研究「The adaptation and fitness costs to urban noise in the calls of the tree sparrow」は、スズメの声が1〜10kHzの帯域にあり、都市の騒音に一部かき消されやすいと指摘したうえで、声の変化を計測しました。

結果はこうです。都市騒音が大きいほど、接触の声はピーク周波数が高くなり、1回の声が短くなる傾向がありました。騒音の上を通す形で音を高くし、短く区切って何度も出すという戦略です。一方、警戒の声は逆の方向へ動き、音の数が増えて長くなる傾向が見られました。届かないなら繰り返す、という調整です。

この知見は、聞き分けの実感とよく合います。幹線道路沿いのスズメの声が、公園のスズメより甲高く早口に聞こえた経験がある人は多いはずです。あれは個体差でも気のせいでもなく、環境に合わせた発声の調整だった可能性があります。

ただし論文のタイトルにfitness costsとある通り、この適応は無料ではありません。声を変えることに代償が伴う点も同時に検討されています。「都市の鳥はたくましく適応している」という一面だけを取り出すのは早計で、声の変化は環境からの負荷の現れでもあると受け止めておきたいところです。

📌 押さえておきたいポイント

濁った声を聞いたら、まず「誰に向けた声か」を見ます。空や地面の一点を見ているなら群れへの警戒、目の前の相手を見ているなら縄張りの威嚇。前者なら人は動かず待つ、後者なら数秒で決着がつくのでそのまま観察を続ける、と対応を切り替えてください。

失敗パターン①:声のする植え込みに近づいて、群れを丸ごと飛ばす

初心者がいちばん多く踏む失敗が、声を頼りに接近しすぎることです。「もっとよく聞きたい」と植え込みへ一歩踏み出した瞬間、それまで鳴いていた十数羽が一斉に飛び去り、その日はもう戻ってこない——という結末になります。

原因は、スズメが人家付近でのみ見られる鳥でありながら、人との距離には明確な線を持っている点にあります。日常的に人を見ているぶん、いつもと違う動きには敏感です。しかも群れの誰か1羽が警戒の声を出せば、それが全体に伝わります。1人が近づくことは、群れ全体に警報を鳴らすのと同じ意味を持ちます。

対策は3つです。ひとつ目は、声が聞こえた地点から動かず、その場で3分待つこと。ふたつ目は、近づくとしても正面からではなく、建物や電柱を挟んで視線を切りながら移動すること。3つ目は、しゃがんで高さを下げること。立ち姿のシルエットは、それだけで警戒の対象になります。

豆知識として、群れを飛ばしてしまった場合でも、同じ時刻に翌日訪ねれば同じ場所で声が聞けることが多いものです。スズメは行動の時間割が安定しているので、失敗した日は諦めて、翌日の同時刻を狙うほうが結果的に早いのです。カラスの声の使い分けと比べてみたい人は、こちらの記事も参考になります。

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春夏と秋冬で、耳に届く声はこれだけ入れ替わる

3〜8月は、求愛と縄張りの声が前面に出る

スズメの繁殖期は主に3〜8月で、1年に2回程度繁殖します。この時期は、それまで接触の声が中心だった音風景に、求愛と縄張りに関わる声が加わります。声の総量が増えるというより、種類が増えるのがこの季節の特徴です。

理由は明快で、繁殖には「相手を呼ぶ」と「他を遠ざける」という2つの発信が同時に必要になるからです。日本野鳥の会は、さえずりを繁殖期に雄鳥が発する求愛・縄張り宣言の鳴き声、地鳴きをそれ以外の鳴き声と定義しています。スズメの場合、さえずりは他の小鳥ほど旋律的ではありませんが、機能としては同じ役割を担っています。

庭先での聞き分け方は、同じ場所で繰り返し鳴くかどうかです。屋根の隙間や雨どいの付近など、決まった一点から同じ調子の声が続くなら、そこが巣の候補地である可能性が高い。縄張り防衛の場面では「ジュクジュクジュク」と激しく鳴き、交尾時には「ヒヨヒヨヒヨ」と細い声を出すことが知られています。

注意点として、この時期の巣の周辺には近づかないでください。声が聞こえるということは、そこに卵かヒナがいるということです。スズメは毎日1個ずつ卵を産み、1つの巣に産む卵の数は4〜8個、そのうち5〜6卵が75%を占めるとされています。オスとメスの見分けに興味がある人は、外見では区別できない理由をこちらでまとめています。

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🗓 観察カレンダー
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

◎=繁殖期(主に3〜8月)で求愛・縄張り・ヒナの声がそろい、聞き分け練習に向く ○=接触の声と群れのざわめきが中心 △=声の種類が少ない時期(スズメは留鳥のため該当なし)

4〜6月の細い「シーシー」は、巣立ちビナの声

春から初夏にかけて、地面近くから細く途切れない声が聞こえたら、それは巣立ったばかりのヒナの可能性が高い声です。研究の分類でC1のねだり声にあたり、2つの下位タイプがあるとされています。親を呼び続けるための声なので、大人の接触の声と違って途切れません。

この声を覚えておく理由は、観察の楽しみのためだけではありません。東京都環境局は、巣立ったばかりのヒナ(特に4月から6月)は、うまく飛ぶことができずに地面に落ちてしまうことがよくあるが、大半は人間が干渉する必要のない元気なヒナのため、拾って保護する必要はない、としています。声を知っていれば、それが遭難ではなく通常の巣立ちだと判断できます。

具体的な場面はこうです。植え込みの根元でヒナが鳴いている。近くに親鳥の姿はない。ここで人が立ち止まって見守ると、かえって親鳥がヒナに近寄れなくなります。東京都環境局も、人間が近くにいると親鳥がヒナに近寄れなくなると説明しています。正解は、その場を離れることです。

法律の面も押さえておいてください。鳥獣保護管理法により、許可なく野鳥を捕獲・殺傷すること、飼うことは禁止されており、違反者には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。「かわいそうだから」の持ち帰りが、そのまま違反になります。

⚠️ 注意:必ず知っておきたいこと

地面で鳴いているヒナを見つけても拾わないでください。東京都環境局は、特に4月から6月の巣立ちビナの大半は人間が干渉する必要のない元気なヒナで、保護は不要としています。人が近くにいると親鳥が戻れなくなるため、静かにその場を離れるのが最善です。鳥獣保護管理法では許可のない捕獲・飼養が禁じられ、違反には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が定められています。

夕方に街路樹がざわつくのは、集団ねぐらへの集合

秋から冬にかけて、日没前の街路樹から大きなざわめきが聞こえることがあります。これは集団ねぐらに集まる際の行動です。スズメは非繁殖期の秋から冬にかけて草地や稲田に大群で集まり、街路樹、ヨシ原、竹林などに集団ねぐらをとることが知られています。

集まる場所には条件があります。冬季の保温や風雨からの保護のために、常緑樹や竹など冬でも葉をつけている樹木が必要とされ、葉が密集している樹種が選ばれます。落葉した並木では、同じ場所でも冬にはねぐらが成立しません。ざわめきが聞こえる木を確かめると、たいてい葉の詰まった常緑樹です。

規模の目安は、夏から秋にかけて街路樹などに数十から数百羽というものです。1羽あたりの声は小さくても、数百羽が同時に出せば通りの反対側まで届きます。「夕方だけ急にうるさくなる木」があるなら、それがねぐらです。日没の30分ほど前から集まり始めるので、時間を決めて観察すると流れが追えます。

やりがちな失敗は、ざわめきの下で立ち止まって見上げることです。真下は落下物の直撃を受ける場所であり、群れにとっては最大の警戒対象が現れた状況になります。観察は道路を挟んだ反対側から、樹冠全体が視野に入る距離で行ってください。

似た声の鳥5種、うっかり取り違える分かれ目

ニュウナイスズメ:頬の黒斑がなく、澄んだ「チィー」が混ざる

声で最も取り違えやすいのが、同じスズメ科のニュウナイスズメです。全長14cmとスズメより気持ち小さく、鳴き声はスズメに似た「チュン」のほかに、澄んだ「チィー」という声を出します。この「チィー」の有無が、耳での分かれ目になります。

そもそも見た目でも似ています。決定的な違いは、スズメによく似ているがほおの黒い斑がないという点です。スズメはほおに黒い斑があり、幼鳥では色がうすいとされます。声で怪しいと思ったら、双眼鏡でほおを確認するのが最短ルートです。

ただし、出会える場所と季節が違うため、実務上の混同はそれほど頻繁ではありません。ニュウナイスズメは本州中部以北の明るい林で繁殖し、秋冬は根雪のない低地に移動して、農耕地、川原などに群れます。住宅街の電線で「チィー」が混ざったら、まず耳のクセを疑ったほうが確率は高いでしょう。

豆知識として、スズメの仲間が日本に何種いるのかを整理しておくと、この判断が速くなります。詳しくはこちらでまとめています。

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シジュウカラの「ジュクジュク」は、スズメの濁り声と紛らわしい

市街地でいちばん混同が起きるのが、シジュウカラの地鳴きです。日本野鳥の会の図鑑は、「ジュクジュク」と濁った本種の声は独特と記していますが、スズメの縄張り防衛時の「ジュクジュクジュク」と字面が重なるため、文字情報だけでは区別がつきません。

耳での分かれ目は、前後に何が続くかです。シジュウカラはさえずりで細い声の「ツーピー」や「ツツピー」を繰り返し、「チッチー」などの細い声も出します。濁った声の前後に、この澄んだ高い笛のような音が混ざればシジュウカラ。濁り声の前後も「チュン」ばかりならスズメです。

姿での確定も簡単です。シジュウカラはスズメ目シジュウカラ科で全長14cm。白いほおと、胸から腹にかけて黒いネクタイ状の模様があり、オスの模様はメスより太い傾向があります。ほおが白いか、黒い斑があるか。ここを見れば1秒で決着します。

注意点として、春から初夏はシジュウカラの幼鳥が「シーシーシー」といった声を出します。これはスズメの巣立ちビナの声と印象が近いので、細い連続音を聞いたら親鳥の姿を探してください。細い声の主が地面近くにいるか枝先にいるかでも、絞り込みは進みます。

カワラヒワ・メジロ・ムクドリ:3種はここで切り分ける

残り3種は、それぞれ声の質がはっきり違うので、特徴をひとつずつ覚えれば取り違えは減ります。カワラヒワはスズメ目アトリ科で全長14cm、高い声で「キリリリ」と鳴きます。巻き舌のように震える響きは、スズメの声には出てきません。

メジロはスズメ目メジロ科で全長12cm、スズメより小さく上面が緑色で、目のまわりが白い鳥です。地鳴きは「チィー」といった声で、さえずりは「チーチュルピーチュル」を繰り返す長く複雑な鳴き方をします。単発の「チィー」だけだとニュウナイスズメと迷いますが、長く続く旋律が出たらメジロで確定です。

ムクドリはスズメ目ムクドリ科で全長24cm、翼開長40cmと体格が違い、「キュルキュル」、「ジェー」、「ツィッ」などとさまざまな声を出します。「ツィッ」だけを切り取るとスズメと迷いますが、全長24cmの体から出る音は音圧が違い、距離の見積もりがずれます。橙色の足とくちばし、短い尾を確認すれば一発です。

見分けの実務では、生息環境も効きます。カワラヒワは林、草地、農耕地、河原に普通で、市街地では空き地でタンポポなどの種子を食べます。メジロは常緑広葉樹林を好み、北海道や山地では秋冬に暖地や低地に移動します。ムクドリは非繁殖期に九州以北の農耕地、芝生などの開けた環境に群れます。場所と声をセットで記録すると、精度が上がります。

鳥の名前 全長 聞こえる声 決め手になる姿 よく見る場所
スズメ 14.5cm 「チュン」「ジジ」 ほおに黒い斑 人家付近
ニュウナイスズメ 14cm 「チュン」+澄んだ「チィー」 ほおの黒い斑がない 農耕地、川原
シジュウカラ 14cm 「ツーピー」「ジュクジュク」 白いほおと黒いネクタイ 市街地から山地まで
カワラヒワ 14cm 高い声で「キリリリ」 翼と尾に黄色の帯 草地、農耕地、河原
メジロ 12cm 「チィー」/「チーチュルピーチュル」 目のまわりが白い 常緑広葉樹林
ムクドリ 24cm 「キュルキュル」「ジェー」「ツィッ」 橙色の足とくちばし 農耕地、芝生

※野鳥の教科書調べ。全長・声・特徴・生息環境は日本野鳥の会の野鳥図鑑の記載に基づく。

耳を鍛える3ステップ、双眼鏡を買う前にできること

まずは「同じ場所・同じ時刻」を7日続ける

聞き分けの上達に必要なのは、機材ではなく比較対象です。同じ場所・同じ時刻で繰り返し聞くと、その日だけ違う音が浮かび上がります。違いに気づく耳は、道具ではなく反復でつくられます。

理由は、スズメの行動が時間割で動いているからです。人家付近でのみ見られる留鳥なので、移動範囲も生活リズムも安定しています。条件を固定すれば、変化した部分だけが「今日の情報」として残ります。逆に、毎回違う公園を回ると、場所差なのか時間差なのか個体差なのかが切り分けられません。

やり方は下のステップの通りです。3分×7日、合計21分でかなり変わります。実際に続けると、3日目あたりで「いつもの声」と「今日だけの声」が分離し始め、7日目には濁った声が出た理由まで見当がつくようになります。

注意点は、雨の日を飛ばさないことです。雨天は声の数が減るぶん、1つ1つの声が聞き取りやすくなります。条件の悪い日ほど教材になるので、傘をさして窓を少し開けるだけでも続けてください。

🏠 手順ステップガイド
Step1:定点を1つ決める(自宅の窓、通勤路の同じ電柱など、毎日必ず通る場所を1か所だけ選ぶ)
Step2:時刻を固定して3分聞く(朝いちばんが理想。動かず、目は閉じて音だけに集中する)
Step3:澄んだ声か濁った声かだけメモする(種類の判定はまだしない。2択の記録に絞る)
Step4:自分の言葉で聞きなしを作る(「チュ・チュン(2拍)」のようにリズムまで書き留める)
完了! 7日分たまったら公式の音源と突き合わせる。ずれた部分が、あなたの耳のクセです

失敗パターン②:図鑑の擬音を丸暗記して、現場で照合できなくなる

2つ目の落とし穴は、聞く前に文字を覚えすぎることです。「スズメはチュン、シジュウカラはツーピー」と暗記して現場に立つと、実際の音がどれにも当てはまらず、判断が止まります。これは知識不足ではなく、順番の問題です。

原因は、擬音が「代表例の平均値」だからです。実際のスズメは10タイプの声を使い分け、しかも都市の騒音に応じてピーク周波数や長さを変えています。図鑑の1語で表せる音のほうが例外だと考えたほうが、現場では役に立ちます。

対策は順番を逆にすることです。まず自分の言葉で書き留め、あとから図鑑や音源と突き合わせる。この順番なら、擬音は「答え」ではなく「照合の目印」になります。実際、自分でメモを取った人ほど、「図鑑のツーピーは、自分にはチーピーに聞こえる」という自分専用の変換表を持つようになります。

豆知識として、この変換表があると、他の鳥にも一気に応用が利きます。カラスのように声の種類が多い鳥ほど効果が大きいので、スズメで型をつくってから範囲を広げるのが効率的です。

タイプ別:通勤路の人・庭のある人・週末に出かける人

使える時間と環境によって、始め方は変えたほうが続きます。通勤・通学で毎日決まった道を歩く人は、定点観測にいちばん向いています。同じ電柱、同じ交差点で3分。移動時間の中に組み込めるので、続けるコストがほぼゼロです。

庭やベランダがある人は、窓を数センチ開けて座ったまま聞く方法が向いています。人の姿が見えないぶん群れが警戒せず、接触の声から濁った声への切り替わりまで観察できます。ただし餌は撒かないこと。東京都環境局が示す通り、餌でおびき寄せる行為は野鳥の生息を脅かす可能性があります。

週末にまとまった時間が取れる人は、日本野鳥の会の探鳥会が近道です。その地域の鳥に詳しいリーダーが案内し、初心者は質問しながら学べます。自分の聞きなしを持って参加すると、「この声は何ですか」ではなく「この声はチーピーに聞こえるのですが」と聞けるので、得られる情報の密度が変わります。

注意点として、どのタイプでも最初の1か月は種類を増やさないでください。スズメ1種の澄んだ声と濁った声、この2つだけを追う期間をつくると、その後の学習速度が上がります。日本野鳥の会の「鳴き声ノート」は全12種類を扱いますが、最初から12種を追う必要はありません。

18年で62.1%|その「チュン」は、当たり前ではなくなりつつある

全国鳥類繁殖分布調査が示した数字

毎朝聞こえるあの声は、実は着実に減っています。環境省などが2016年から2021年にかけて約20年ぶりに実施した全国鳥類繁殖分布調査は、全国に設置した2,344地点で行われ、379種が記録され、うち278種の分布図が作成されました。参加したのは2,000人以上のバードウォッチャーです。

この調査と1990年代の調査を突き合わせた分析では、2000年から2018年までの18年間でスズメの個体数は62.1%に低下したと報告されています。およそ4割の減少です。年あたりに直すと約2.61%で、この傾向が続けば、およそ26年間で半減する計算になります。

別の調査も同じ方向を指しています。環境省が実施主体、日本自然保護協会が事務局を務めるモニタリングサイト1000里地調査は、2005〜22年度に全国325カ所で行われ、2008年から22年の1年当たり個体数減少率をスズメで3.6%と算出しました。手法の違う2つの調査が、どちらも減少を示しています。

さらに古い推定では、2009年の研究がスズメの個体数を1990年ごろの20%から50%程度に減少したと見積もっています。数字の幅は大きいものの、「昔より少ない」という実感が気のせいではないことは、複数の調査で裏づけられています。環境省の報道発表資料で調査の概要が公開されています。

減り方が大きいのは、都市より農地だった

意外なのは、減少が激しい場所です。長らく「都市化で巣を作る隙間が減ったこと」が主因と考えられてきましたが、繁殖分布調査は別の絵を描きました。ツバメ及びスズメでは、1990年代調査時の農地の割合が高い場所ほど、個体数の減少幅が大きいという傾向があったのです。

この結果は、スズメの暮らしを考えると重い意味を持ちます。農地率の高いところほどスズメの記録羽数が多く、つまり農地こそが主な生息環境です。その主戦場で大きく減っているということは、都市の巣穴不足だけでは説明がつかない、という話になります。

従来の説明が的外れだったわけではありません。巣作り場所の不足と子育て環境の悪化、気密性の高い住宅の増加、舗装されていない小道・公園・空き地の減少は、いずれも要因として挙げられ続けています。ただし、それだけでは足りないことがわかった、という段階です。

注意したいのは、原因を断定した情報に飛びつかないことです。要因の特定にはさらなる調査が必要とされている状況で、単一の犯人を名指しする説明は、いまのところどれも仮説の域を出ません。スズメの減少に関する研究のまとめで、推定の根拠と限界が説明されています。

あなたが聞いた声を記録することが、そのまま調査になる

ここまでの数字は、専門の研究機関だけで出たものではありません。全国鳥類繁殖分布調査は2,000人以上のバードウォッチャーが各地をまわって成り立ち、モニタリングサイト1000里地調査も市民の参加を前提とした長期モニタリングです。声を聞いて記録する行為は、そのまま調査の一部になり得ます。

意味があるのは、日付・場所・時刻・聞こえた声という4項目が揃った記録だからです。1日だけでは何も言えませんが、同じ地点の記録が何年も積み重なると、年ごとの増減が見えるようになります。18年で62.1%という数字も、こうした積み重ねから導かれました。

始め方は難しくありません。前の見出しで紹介した3分の定点観測に、日付と場所を添えるだけです。写真や録音がなくても、「今朝は接触の声が5分間で3回」といった記録は十分に情報になります。継続年数がそのまま価値になるので、精度よりも続けやすさを優先してください。

そのうえで、機会があれば地域の探鳥会や市民調査に参加すると、記録の取り方が標準化され、他の人のデータと比較できる形になります。個人のメモが公共のデータに変わる瞬間で、ここまで来ると観察の楽しみ方が一段変わります。

Q. スズメの声が去年より減った気がします。気のせいでしょうか?
A. 全国規模では減少が確認されています。全国鳥類繁殖分布調査のデータ分析では2000年から2018年の18年間で個体数が62.1%に低下し、モニタリングサイト1000里地調査でも2008年から22年の1年当たり減少率が3.6%と報告されました。ただし1年単位の増減は天候や近所の工事でも動くため、去年との比較だけで結論は出せません。同じ地点で数年続けて記録することが、いちばん確かな答え合わせになります。

まとめ:スズメの鳴き声を聞き分ける5つの手がかり

🐦 この記事の結論

スズメの声は研究で10タイプに分類されています。まず澄んだ「チュン」と濁った「ジジ」の2つに割って聞くところから始めてください。

✅ 要点チェック
  • 10タイプ:成鳥9+ヒナ1に分類された
  • 2分類から:澄んだ声と濁った声で割る
  • 濁り=緊張:警戒か威嚇かは視線で判断
  • 季節で交代:3〜8月は求愛、秋冬はねぐら
  • ヒナは拾わない:4〜6月の細い声は巣立ち

スズメの声を聞き分ける最初の一歩は、道具をそろえることでも、10タイプを暗記することでもありません。明日の朝、いつもの窓辺で3分だけ立ち止まり、聞こえた声が澄んでいたか濁っていたかをメモに1行書く。それだけで、これまで「背景音」だった「チュン」が、群れの状態を伝える情報に変わり始めます。7日続ければ、いつもと違う日の声に自分で気づけるようになります。

全長14.5cmの体から出る1〜10kHzの声は、都市の騒音の中で形を変えながら、いまも毎朝あなたの窓の外で交わされています。その声が18年で62.1%まで減ったという数字を知ったうえで聞くと、同じ「チュン」の聞こえ方が変わってくるはずです。ヒナを見つけても拾わない、餌でおびき寄せない、群れに近づきすぎない。この3つを守れば、来年の春も同じ場所で同じ声が聞けます。

※野鳥の保護に関する取り扱いや最新情報は、環境省・お住まいの自治体・公式サイトでご確認ください。

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この記事を書いた人

野鳥の教科書編集部です。テーマに関する基礎知識や選び方を、公式情報など確認できる情報をもとに編集しています。掲載後も定期的に見直し、変更があれば更新します。

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