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スズメが水浴びと砂浴びを両方する理由|水深2cmで庭に呼ぶ水場の作り方

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庭先の水たまりで、スズメが羽をばたつかせて水しぶきを上げている。あの光景を見て「あれは何をしているんだろう」「うちの庭にも呼べないかな」と思ったことはありませんか。あるいは、乾いた地面のくぼみで砂まみれになっているスズメを見て、せっかく水浴びしたのに逆に汚しているのでは、と不思議に感じた方もいるはずです。

結論から言うと、スズメの水浴びも砂浴びも、どちらも羽を衛生的に保つための手入れです。しかもスズメは、鳥の中では珍しく水浴びと砂浴びの両方をこなします。そして庭にスズメの水浴びを呼び込む条件は、実はごく単純で、水深2cmという浅さがほぼすべてを決めます。深い鉢や洗面器を置いてもスズメは降りてきません。

この記事では、スズメが水浴びをする理由から、砂浴びとの使い分け、庭に水場をつくる具体的な手順、置き場所の選び方、季節ごとの変化、そして衛生面と法律面で押さえておくべきことまでをまとめました。図鑑を読むだけではわからない「実際に庭で起きること」まで踏み込んでいきます。

📌 押さえておきたいポイント

・スズメの水浴びは、羽についた寄生虫や汚れを落とす「羽の手入れ」
・水浴びと砂浴びを両方する鳥は珍しく、スズメはその数少ない一種
・庭に呼ぶなら水深2cm。深すぎる容器は小石で調節する
・水は毎日交換する。汚れた水では小鳥は水浴びも水飲みもしない

目次

スズメの水浴びは、羽を守るための整備作業だった

スズメの水浴びは、羽を守るための整備作業だったの解説画像

落としているのは寄生虫と汚れ

スズメが水浴びをする一番の目的は、羽についている寄生虫などを落とすことです。国立国会図書館のレファレンス協同データベースに寄せられた回答でも、水浴びには羽の寄生虫を落とす効果があると考えられている、と説明されています。

なぜ寄生虫がそこまで問題になるのか。鳥の羽は、体温を保ち、雨をはじき、空を飛ぶための道具です。その羽の隙間にダニのような外部寄生虫が入り込むと、羽の構造が乱れ、道具としての性能が落ちていきます。スズメにとって羽の手入れは、身だしなみではなく生存のための整備作業なのです。

実際に庭で観察すると、その必死さがよくわかります。浅い水に胸から飛び込み、頭を沈めては翼を細かく震わせ、水を背中側に跳ね上げる。この動きを何度も繰り返します。羽の根元まで水を届かせようとしている動きだと思って見ると、意味がつながってきます。

ここで一つ知っておくと得をするのが、水浴びは「濡らすこと」自体が目的ではないという点です。びしょ濡れの鳥は飛ぶ力が落ち、天敵から逃げにくくなります。だからスズメは、羽の根元に水を届かせつつ、飛べなくなるほどは濡らさない、という絶妙な加減で浴びています。長く浸かっていないからといって、手抜きをしているわけではありません。

撥水性が落ちると命に関わる

羽が汚れて困る理由は、寄生虫だけではありません。前述のレファレンス回答では、羽が汚れると保湿性や撥水性といった機能が低下すると説明されています。つまり、汚れた羽は「濡れやすく、冷えやすい羽」になってしまうということです。

全長14.5cm、体重18.0〜27.5gという小さな体は、体積のわりに表面積が大きく、熱が逃げやすい構造をしています。この体重の幅は、山階鳥類研究所などの測定研究で記録された範囲です。この小ささで冬を越すには、羽の間に空気の層をためて断熱材にするしかありません。羽が汚れて水を吸うようになると、その断熱材が機能しなくなります。

だからこそスズメは、寒い季節でも羽の手入れをやめません。むしろ寒いときほど、羽のコンディションが生死に直結します。庭で冬にスズメの水浴びを見かけたとき、「こんな寒いのに大丈夫だろうか」と心配になりますが、それはコンディションを保つための必要な作業です。

注意しておきたいのは、水場の水がぬるぬるしている場合です。汚れた水で浴びれば、羽に落とすべき汚れを塗り重ねることになります。人間の目にきれいに見える水でも、数日置けば藻や糞で汚れます。庭に水場を置くなら、この点は後述する「毎日交換」の話に直結します。

浴びたあとの羽づくろいまでが1セット

水浴びを観察していて見逃されやすいのが、そのあとの行動です。スズメは水から上がると、近くの枝や塀に移り、羽を膨らませて水を切り、くちばしで一枚一枚の羽をしごくように整えていきます。この羽づくろいまでが、手入れの1セットです。

理由は、水浴びが「汚れを浮かせる工程」でしかないからです。浮かせた汚れを取り除き、乱れた羽の並びを元に戻し、尾の付け根から出る脂を塗り広げて撥水性を回復させる。この仕上げをして初めて、羽は元の性能を取り戻します。砂浴びのあとにも、念入りな羽づくろいが行われることが自然史系の解説で紹介されています。

この習性は、庭に水場をつくるときの設計に直結します。水場のすぐそばに、止まって羽を乾かせる場所がないと、スズメは落ち着いて水浴びできません。濡れて飛びにくい状態で身を隠せる場所を探して長距離を移動するのは、小鳥にとって危険だからです。

豆知識として、羽づくろい中のスズメは動きが止まるので、観察のチャンスでもあります。ただし、双眼鏡でじっと見ることと、近づくことは別です。人が近づくと逃げ出す距離はおよそ5mといわれます。羽づくろいを中断させてしまうと、手入れが未完了のまま飛び去ることになります。

🐦 野鳥スペックカード
分類スズメ目スズメ科(学名 Passer montanus)
全長14.5cm(体重18.0〜27.5g)
見られる季節1月〜12月(留鳥といわれるが、幼鳥は秋に移動すると思われる)
生息環境人家付近でのみ見られる
鳴き声「チュン」「ジジ」などさまざまな声を出す
よく見られる場所浅い水たまり、池の浅瀬、乾いた地面のくぼみ

出典:日本野鳥の会 BIRD FAN「スズメ」

実は、水と砂の両方を浴びる鳥はそう多くない

多くの鳥はどちらか一方しかしない

ここが、スズメを見るときに一番おもしろいポイントです。鳥は一般に、水浴びをするグループと砂浴びをするグループに分かれます。両方をこなす種は多くありません。そしてスズメは、その珍しい両刀使いにあたります。

砂浴びをする代表的な種類として、ヒバリ・キジ・ライチョウなどが挙げられています。いずれも地上での生活が長い鳥たちです。一方、水辺や樹上を主な生活の場にする小鳥は、水浴びに寄ります。生活する場所に何があるかで、手入れの方法が決まってきたわけです。

スズメが両方できる理由について、レファレンス協同データベースの回答では、スズメの生息環境には安全な水場も砂場も両方あることが理由の一つ、と述べられています。人家のまわりという環境には、雨上がりの水たまりも、乾いた土の路地も、両方そろっています。

庭で見分ける手がかりは単純です。水しぶきが飛んでいれば水浴び、砂ぼこりが立っていれば砂浴び。どちらも羽を震わせる動きは似ていますが、砂浴びのほうが体を地面に沈み込ませる時間が長くなります。ちなみにヒヨドリ(全長27cm)やキジバト(全長33cm)が庭の水場に来ることもありますが、砂浴びで庭のくぼみを掘り返すのはスズメの得意技です。

砂浴びは「くぼみに座って翼で砂をまく」動き

砂浴びの動作は、水浴びとは別物です。乾いた砂の中のくぼみに座り、翼で砂をまきちらすようにして行われる、と自然史系の解説では説明されています。体を横に倒し、砂を羽の間に押し込むような動きです。

この動きに意味があるのは、砂が「乾いた洗剤」として働くからです。砂浴びには寄生虫や余分な脂などを除去する働きがあるとされています。羽の間に入り込んだ砂粒が、余った脂や汚れを吸着し、あとで払い落とせる状態にしてくれます。水を使わずに脱脂できる方法、と考えるとわかりやすいでしょう。

庭でこの行動を見つけるコツは、地面の「くぼみ」を探すことです。乾いた花壇の土や、砂利の隙間、乾いた地面に、お椀のような浅いくぼみが複数並んでいたら、それはスズメの砂浴び場である可能性があります。1羽が始めると、次々に別の個体が加わることもあります。

やりがちな誤解は、「砂浴びをしているから水場は不要」と考えてしまうことです。両者は代替関係ではなく、役割が違う手入れです。水で落ちる汚れと、乾いた砂でこそ落ちる脂は別物なので、水場と砂浴び場が両方ある庭のほうが、スズメの滞在時間は長くなります。

なぜスズメだけ両方なのか、その仮説

環境がそろっているから、というだけが理由ではなさそうです。前述のレファレンス回答では、もう一つの仮説として、スズメは他の鳥よりも寄生虫などに寄生されやすいのかもしれない、という見方が示されています。

その根拠として挙げられているのが、生息密度です。スズメは高密度で生息しているため、寄生虫にとっては増える機会がたくさんあるはずだ、という説明です。人家の軒下やすき間に集まって暮らし、群れで採食し、ねぐらを共にする。寄生虫からすれば、宿主が密集した恵まれた環境です。

だからスズメは寄生虫対策に余念がないのかもしれない、と回答は結ばれています。あくまで仮説として提示されている見方ですが、街なかで暮らすというスズメの生き方と、手入れへの熱心さがつながって見えてきます。都市に適応した代償を、毎日の水浴びと砂浴びで払っている、という読み方もできます。

意外と知られていないのが、この「両方やる」という特徴が、庭づくりでは大きな武器になるという点です。水場だけを用意した庭と、水場と砂浴び場の両方を用意した庭では、スズメにとっての価値が変わります。同じ場所で2種類の用事が済むなら、通う理由が増えるからです。

比較項目 水浴び 砂浴び
主な目的 羽の寄生虫や汚れを落とす 寄生虫や余分な脂を除去する
動きの特徴 浅い水に入り翼を震わせ水を跳ね上げる 乾いたくぼみに座り翼で砂をまきちらす
場所 浅い水たまり、池の浅瀬 乾いた砂地・土のくぼみ
代表的な鳥 庭に来る小鳥の多く ヒバリ・キジ・ライチョウなど
仕上げ 羽づくろいで脂を塗り直す 念入りな羽づくろいが行われる

出典:レファレンス協同データベース「スズメの水浴びと砂浴びについて知りたい」(表の整理は野鳥の教科書調べ)

水深2cmが分かれ目。庭の水場で失敗しない作り方

水深2cmが分かれ目。庭の水場で失敗しない作り方の解説画像

小鳥は2cm、大きめの鳥は4cmで十分

庭に水場を置いてもスズメが来ない。その原因の多くは、水が深すぎることです。水深の目安は、メジロのような小鳥で2cm、アカハラやキジバトのような大きめの鳥で4cmとされています。スズメは全長14.5cmですから、小鳥側の2cmが基準になります。

2cmという数字は、感覚的には「浅すぎるのでは」と感じる深さです。しかし理由を考えれば納得できます。スズメの脚の長さを想像してみてください。全長14.5cmの体のうち、水に立てる脚はごく短い。足が底につかない深さは、小鳥にとって溺れる危険のある場所です。危険な場所で無防備な水浴びはしません。

具体的には、洗面器やバケツをそのまま置くのは失敗の典型です。逆に、植木鉢の受け皿のような浅く広い容器は条件に合います。中央がやや深く、縁に向かって浅くなる形なら、スズメは自分に合った深さの位置を選んで立てます。

豆知識として、深さが合っていれば容器の見た目は問われません。参考にした解説でも、色や形、大きさはまったく気にせず、人工物であっても水が溜まっていて深さが適当であれば利用される、と書かれています。おしゃれなバードバスを買う前に、まず手持ちの浅い皿で試してみるのが近道です。

深すぎる容器は小石で調節する

手持ちの容器が深い場合、買い直す必要はありません。砂利や小石を入れて水深を調節するのが定番の方法です。底に小石を敷き詰めて、水面までの深さを2cmに合わせれば、深い鉢でもスズメ向けの水場になります。

この方法には、深さ調節以外の効果もあります。小石を敷くことで、小鳥が滑りにくくなるという利点が挙げられています。陶器やプラスチックの底はつるつるしていて、濡れた足では踏ん張りがききません。足元が安定しない場所では、鳥は落ち着いて羽を震わせられません。

実際に置くときは、石の大きさをそろえず、大小を混ぜるのがコツです。大きめの石が水面から少し顔を出していれば、そこが浅い足場になり、周囲が2cmの水深になる。1つの容器の中に、水を飲むだけの浅い場所と、体を沈める場所が同居する形になります。

🏠 手順ステップガイド
Step1:浅くて広い容器を用意する(植木鉢の受け皿など。水がもれない物なら素材は問わない)
Step2:底に砂利や小石を敷く(滑り止めになり、深さの調節もできる。大小を混ぜて足場をつくる)
Step3:水深2cmに合わせて水を入れる(大きめの鳥も呼びたいなら4cmまで。それ以上は深すぎる)
Step4:空から見つけやすく、逃げやすい場所に置く(近くに見晴らしの良いとまり木を用意する)
完了! あとは毎日水を交換しながら、離れた窓の内側から静かに待ちます

【失敗パターン1】深い鉢に満杯まで水を入れてしまう

最も多い失敗が、これです。せっかく用意した立派な水鉢に、なみなみと水を張ってしまう。人間の感覚では「たっぷりあって親切」ですが、スズメにとっては足の届かない池でしかありません。

原因は、鳥が水場に求めているものを取り違えている点にあります。スズメが探しているのは、飲み水と、安全に立てる浅瀬です。野外で使うのも、浅い水たまりや池の浅瀬。深い水域は、そもそも生活圏に入っていません。

対策は単純で、小石を足して水面を上げるのではなく、底を上げることです。石を足しながら、水面から底までが2cmになる状態を目指します。判断に迷ったら、指を入れて第一関節が沈む程度、を目安にすると調整しやすくなります。

もう一つの見落としが、水深の管理は「一度決めたら終わり」ではないことです。夏場は蒸発で浅くなり、雨のあとは深くなります。毎日の水替えのときに、深さも一緒にリセットする習慣にすると安定します。庭に呼びたい鳥をもっと増やしたい場合は、餌台と組み合わせる方法もあります。

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置き場所を間違えると、スズメは一羽も降りてこない

空から見つけられる開けた場所に置く

水深が合っていても来ない場合、次に疑うのは置き場所です。設置場所の基本は、野鳥に水飲み場があることが空からわかる場所にすること。茂みの奥や、屋根の真下、物置の陰では、飛んでいる鳥から水面が見えません。

鳥は上空を移動しながら、地上の資源を目で探しています。水面は光を反射するので、上から見つけやすい目印になります。逆に、葉に覆われて反射が届かない水場は、存在しないのと同じです。

具体的には、頭上が開けた芝生や花壇の縁、駐車場の脇など、真上から水面が見通せる場所が候補になります。設置後に自分で真上を見上げてみて、空が見えていれば合格です。枝が覆いかぶさっているなら、少しずらすだけで結果が変わります。

注意点として、開けた場所にするあまり、まわりに何もない広場の中央に置くのは逆効果です。鳥にとっては、隠れる場所のない広い空間も危険地帯です。「上は開けているが、数歩の距離に逃げ込める木や生垣がある」という中間の場所が理想になります。

逃げ道と、羽を乾かす止まり木を近くに

もう一つの原則が、野鳥が危険を感じた時に逃げやすい場所に設置することです。水浴び中のスズメは、羽が濡れて飛ぶ力が落ちています。この状態でネコやカラスに気づかれたら、逃げ切れる保証はありません。

だから水場の近くには、とまり木が必要になります。水浴び場の近くに見晴らしが良いとまり木があるとよく、水浴び後に羽を乾かす際は、見晴らしが良く外敵の手が届きにくい場所が好まれるとされています。低木の枝、フェンスの上端、物干し竿でもかまいません。

実際の配置としては、水場から数歩で飛び移れる距離に止まれる場所を1〜2か所つくります。スズメは水浴び→枝で羽づくろい→また水場、という往復をするので、この2点セットがそろうと滞在時間が伸びます。窓から見える範囲にこの2点を置けば、観察もしやすくなります。

豆知識として、止まり木は水場の真上に置かないほうが無難です。真上に鳥がとまると糞が水に落ち、水がすぐに汚れます。斜め上、あるいは横にずらすだけで、水替えの手間が減ります。

ネコ対策には「高さ」が効く

地面に置いた水場で気をつけたいのが、野良猫です。地面の水場は野良猫の被害リスクがあるため、高い場所への設置で被害を軽減できるとされています。水浴び中は逃げ足が鈍るので、待ち伏せされやすい状況になります。

理由は、ネコの狩りが「隠れて近づき、一気に詰める」形だからです。地面すれすれの水場は、草むらや車の下から一直線に接近できます。台の上や、ブロックを積んだ上に容器を置くだけで、この接近ルートが使いにくくなります。

実際には、切り株、園芸用の台、レンガを重ねた土台など、安定して倒れないものであれば十分です。台の周囲に身を隠せる草を茂らせないことも合わせて意識すると、スズメ側から見た安全度が上がります。

ただし、高くすれば万全というわけではありません。台が不安定でぐらつくと、鳥はそれを察知して降りなくなります。設置したら手で軽く押してみて、動かないことを確かめておくとよいでしょう。

【失敗パターン2】人の動線の真横に置いてしまう

玄関先、勝手口の横、洗濯物を干す通り道。管理しやすいという理由でこうした場所を選ぶと、水場は使われないまま置き物になります。

原因は、小鳥が水を飲んだり水浴びをしたりするのは安心しているときだけで、外敵などの危険がある場所では特に水浴びをしない、という性質にあります。人が近づくと逃げ出す距離はおよそ5mといわれますから、1日に何度も人が通る場所は、スズメにとって落ち着けない場所です。

対策は、人の動線から距離を取ったうえで、窓から見える位置に置くことです。管理のしやすさと鳥の安心感は両立します。水替えのときだけ人が近づき、それ以外の時間は誰も通らない、という状態がつくれれば理想的です。

それでも来ない場合は、時間を味方につけてください。新しい構造物が庭に現れると、鳥は数日から数週間、警戒します。置いた翌日に来ないからと場所を変え続けると、いつまでも「見慣れた景色」になりません。位置を決めたら、しばらく動かさずに待つことが結果的に近道です。

📌 押さえておきたいポイント

水場の置き場所は「上は開けている・横に逃げ場がある・人が通らない」の3条件で決まります。水深2cmが合っていても、この3つのどれかが欠けるとスズメは降りてきません。設置後は位置を頻繁に動かさず、庭の景色として見慣れてもらう時間を確保しましょう。

スズメの水浴びは、季節によって姿を変える

春から夏は、水浴びの回数が増える季節

気温が上がる季節は、水場が最もにぎわう時期です。理由は2つあります。1つは体温調節で、水に触れることで体の熱を逃がせること。もう1つは、この時期のスズメの食生活です。

スズメは、繁殖期でもある春から夏にかけては主に虫を食べます。虫を捕るためには地面や草むらに入り込むことになり、羽が汚れやすくなります。食べ方が変わることで、手入れの必要性も上がるわけです。

この時期に観察していると、若い個体が混ざっているのがわかります。巣立ったばかりの幼鳥は動きがぎこちなく、水に入るタイミングも遅れがちです。親鳥のあとについてきて、見よう見まねで水に入る様子は、庭の水場ならではの観察対象になります。

注意したいのは、水温です。夏の直射日光に当たった浅い容器の水は、短時間で熱を持ちます。日中ずっと日が当たる場所しかない場合は、水を1日に2回替えるか、午後に日陰になる位置を選ぶと安心です。

秋は食べ物が変わり、通う場所も変わる

秋になると、スズメの主食は植物側に移ります。秋冬は主に植物の種子や果実などを食べるようになるため、田んぼの落ち穂や草の実がある場所に群れが移動します。庭の水場に来る個体数が、夏より減ることもあります。

もう一つ、秋には個体の入れ替わりがあります。日本野鳥の会の解説では、スズメは留鳥といわれるが、幼鳥は秋に移動すると思われる、と説明されています。夏に見ていた若い個体が姿を消し、見慣れない群れが来ることがあるのは、このためです。

この時期の水場管理で意識したいのは、落ち葉です。容器に落ち葉がたまると水が茶色く染まり、腐敗も早くなります。木の下に置いている場合は、水替えのついでに葉を取り除く作業が加わります。

秋は観察の狙い目でもあります。空気が乾いて見通しが良くなり、虫が減って鳥が目立つようになります。庭に来る鳥の顔ぶれが変わる時期なので、水場のそばに記録ノートを置いて、来た鳥をメモしていくと変化が見えてきます。

冬は水浴びより、雪浴びを見ることも

寒い季節は、水浴びの位置づけが少し変わります。冬は砂や水の代わりに雪浴びをすることがある、と紹介されています。雪であれば体からすぐに払えるのに対し、水は体温を奪う原因になる、という説明です。これは1つの情報源で見た説明なので、断定はできませんが、雪国で観察する際の手がかりにはなります。

庭の水場を冬も維持する場合の課題は凍結です。浅い水は氷になりやすく、朝には板状に凍っていることも珍しくありません。氷が張ったままだと、鳥は水を飲むことも浴びることもできません。

対策としては、朝の水替えのときに氷を割って新しい水を入れることです。容器が割れないよう、氷ごと取り出して入れ替えるほうが安全です。日当たりの良い位置に移すだけでも、凍っている時間は短くなります。

冬の水場には、水浴び以上に「飲み水」としての価値があります。地面が凍り、雪に覆われる地域では、液体の水そのものが貴重になるからです。この季節に水場を維持すると、スズメ以外の小鳥も集まってきます。ヒヨドリ(全長27cm)のような大きめの鳥が水場を占領してしまう場合は、容器を複数に分ける方法があります。

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🗓 観察カレンダー
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

◎=よく見られる(もっとも観察しやすい時期) ○=見られる △=まれに見られる
※庭の水場での「水浴び」の見やすさの目安(野鳥の教科書調べ)。スズメ自体は1月〜12月まで人家付近で見られます

砂浴び場もつくると、庭にいる時間が変わる

砂浴び場は「見晴らしの良い場所」に置く

水場が軌道に乗ったら、次は砂浴び場です。設置の原則は水場と同じで、見晴らしが良い場所に作ることが勧められています。砂浴び中のスズメは地面に体を伏せるため、周囲が見えない場所では警戒が解けません。

理由は、砂浴びの姿勢そのものにあります。乾いた砂の中のくぼみに座り、翼で砂をまきちらす動きは、体を地面に密着させます。この体勢からの離陸には時間がかかるので、近づいてくるものを早く見つけられる場所でないと、鳥は寝そべってくれません。

具体的には、花壇の一角や、庭木の下ではない乾いた地面を選びます。すでにスズメが庭で砂浴びをしているなら、そこにできたくぼみが答えです。鳥が選んだ場所を尊重して、その周囲を整えるほうが早道になります。

注意点は、水場と砂浴び場をくっつけすぎないことです。水しぶきが砂にかかると、砂が湿って使えなくなります。湿った砂では、乾いた砂の吸着効果が働きません。水場とは少し離した、日が当たって乾きやすい場所を選びましょう。

砂は「干せる・入れ替えられる」状態にしておく

砂浴び場の管理で大切なのは、砂を清潔に保てる仕組みにしておくことです。定期的に砂を干したり、入れ替えたりできるようにするのが好ましいとされています。

理由は、砂浴びの目的を考えればはっきりします。羽から落とした寄生虫や脂は、砂の中に残ります。同じ砂を使い続ければ、汚れを落とす場所が汚れをためる場所に変わってしまいます。庭の一角にじかに砂をまく方式だと、この入れ替えができません。

そこで役立つのが容器です。砂を洗ったり入れ替えたりするために容器を使うのは便利、と紹介されています。浅い箱や、大きめの受け皿に砂を入れて地面に半分埋める形にすると、見た目は自然なまま、砂だけを取り出せます。

豆知識として、雨のあとは砂が固まって使えなくなります。晴れた日に軽くほぐして表面を乾かすだけで、また使われるようになります。手入れの頻度は、水場の毎日交換ほど厳密でなくてかまいませんが、放置し続けるのは避けたいところです。

住まい別、無理のない水場の置き方

庭の広さや住まいの形によって、できることは変わります。それぞれの条件で現実的な選択肢を整理しておきます。

一戸建てで庭がある場合は、水場と砂浴び場を両方置けます。水深2cmの浅い容器を台の上に置き、そこから数歩の距離に低木か生垣、日当たりの良い一角に砂浴び場、という配置が組めます。庭にスズメを定着させたいなら、巣箱を合わせて設置する方法もあります。

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マンションのベランダの場合は、水場ひとつに絞るのが現実的です。ただし、ベランダは上下左右に住戸があり、糞や水はねが階下や隣戸に及ぶと近隣トラブルになります。管理規約で鳥への給餌や物の設置を制限している建物もあるため、置く前に規約を確認してください。無理がある場合は、次の選択肢に切り替えるのが賢明です。

庭もベランダも使えない場合は、観察に振り切る選択があります。公園の水場、雨上がりの水たまり、河川敷の浅瀬は、どれもスズメの水浴びが見られる場所です。距離を取って、双眼鏡で待つ。設備がなくても、スズメの水浴びは十分に観察できます。

Q. 水場を置いたのに、スズメではなく別の鳥ばかり来ます。スズメだけを呼ぶ方法はありますか?
A. 特定の種だけを呼び分ける方法はありません。水は、どの鳥にも等しく必要だからです。ただし水深で傾向は変えられます。水深2cmはメジロ(全長12cm)やシジュウカラ(全長14cm)、スズメ(全長14.5cm)といった小鳥向きで、4cmまで深くするとキジバト(全長33cm)のような大きめの鳥も使いやすくなります。小鳥中心にしたいなら2cmを守り、容器も小さめにするのが現実的な調整です。

水場を置く前に知っておきたい、衛生と法律のこと

水は毎日交換する。これが唯一の必須作業

水場の管理で妥協できないのが、水の交換です。野生の小鳥は汚れた水を飲んだり水浴びをしないため、水は毎日交換して清潔に保つ必要があるとされています。置きっぱなしの水場は、単に使われないだけでなく、鳥にとってのリスクにもなります。

理由は、日本野鳥の会が餌台について述べている内容がそのまま当てはまります。同会は「食べ残しの餌やたまった糞を介して野鳥の間で感染症が起こる可能性もあります。こうした事態を防ぐためにも、日頃から餌台を清潔に保つ必要があります。」としています。鳥が集まる場所は、鳥同士の感染の場にもなりうるということです。

具体的な作業は簡単で、古い水を捨て、容器の内側のぬめりをブラシでこすり、新しい水を入れる。それだけです。朝の決まった時間に組み込んでしまえば、負担にはなりません。小石も、ぬめりが出てきたら洗います。

注意点として、洗剤を使った場合はすすぎ残しがないようにしてください。判断に迷うなら、洗剤を使わずブラシと流水だけで洗うほうが無難です。ぬめりは早めに落とせば、こするだけで取れます。

糞に触れたら、うがいと手洗いを十分に

水場の掃除では、糞に触れる場面が出てきます。ここは公的な見解に沿って行動するのが確実です。日本野鳥の会は「餌台の清掃等で、糞などに触れた場合には、うがいと手洗いを十分行うようにしてください。」としています。

過度に恐れる必要はない、というのも同会の見解です。「家の庭などの餌台での野鳥から人への感染を恐れる必要はありません」と明記されています。日常的な庭での野鳥観察と、清掃後の手洗い・うがいを守ることが、示されている行動指針です。

合わせて知っておきたいのが、地域で高病原性鳥インフルエンザが確認された場合の対応です。同会は、自宅近く(10キロ圏内が目安)で野鳥から高病原性鳥インフルエンザが確認された場合、給餌の自粛が望ましいとしています。地域の発生情報は、環境省や自治体のページで確認できます。

また、「野鳥の死体を発見した場合には、素手では触らないようにしてください。」とも示されています。庭で弱った鳥や死んだ鳥を見つけたときは、直接触らず、自治体の窓口に相談するのが正しい手順です。

捕まえる・飼うは原則禁止

水浴びするスズメを間近で見ていると、つい手を伸ばしたくなるかもしれません。ここははっきりしています。鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律では、狩猟により捕獲する場合を除いて、原則としてその捕獲、殺傷または採取が禁止されています。

例外はありますが、個人の判断で使えるものではありません。環境省の説明では、生態系や農林水産業に対して鳥獣による被害等が生じている場合や、学術研究上の必要性が認められる場合などに、環境大臣または都道府県知事の許可を受けて捕獲等をすることが認められる、とされています。許可が前提です。

関連して、巣についても定めがあります。卵やヒナがいる間に巣を撤去することも禁止されており、卵やヒナがいる場合は巣立ちまでの間(約1か月)温かく見守るよう案内されています。水場のそばの軒下にスズメが営巣した場合も、この考え方が当てはまります。

庭に水場をつくるという行為は、この法律の範囲内で楽しめる観察方法です。近づかず、触らず、環境だけを整えて待つ。それが、スズメの水浴びを長く見続けるための条件になります。

観察するときは、距離を守る

最後に、観察そのもののマナーです。日本野鳥の会は、野鳥観察・撮影時には野鳥と十分な距離を取り、野鳥が飛び立つなどのストレスを避けるよう勧めています。

水浴び中は、この配慮がとくに重要になります。羽が濡れた状態で無理に飛び立たせると、手入れが中断されるだけでなく、逃げ切る能力が落ちた状態で移動させることになるからです。人が近づくと逃げ出す距離はおよそ5mといわれる、という目安を頭に置いておくと判断しやすくなります。

実際の観察は、窓の内側からが最も負担をかけません。カーテンの隙間や、少し離れた室内から双眼鏡で見る。庭に水場を置く最大の利点は、この「距離を取ったまま日常的に観察できる」点にあります。

撮影したい場合も、望遠側に頼るのが基本です。近づいて撮った1枚より、離れて撮り続けて得られる行動の記録のほうが、結果的に価値が出ます。

⚠️ 注意:必ず知っておきたいこと

・水場・餌台の清掃で糞に触れたら、うがいと手洗いを十分に行う
・野鳥の死体は素手で触らず、自治体の窓口に相談する
・自宅近く(10キロ圏内が目安)で高病原性鳥インフルエンザが確認された場合、給餌の自粛が望ましい
・野鳥の捕獲・飼育は原則禁止。卵やヒナがいる間の巣の撤去も禁止されている

出典:日本野鳥の会「鳥インフルエンザと餌台について」環境省「捕獲許可制度の概要」

まとめ:水深2cmの浅い水場が、スズメを庭に連れてくる

🐦 この記事の結論

スズメは水浴びと砂浴びの両方をする珍しい鳥です。水深2cmの浅い水場を庭に置けば、その両方を見られます。

✅ 要点チェック
  • 目的:羽の寄生虫と汚れを落とす手入れ
  • 珍しさ:水と砂の両方を浴びる数少ない鳥
  • 水深:小鳥は2cm、大きめの鳥は4cm
  • 置き場所:上が開け、横に逃げ場がある所
  • 管理:水は毎日交換。触れたら手洗い

スズメが水浴びをする理由は、羽についた寄生虫や汚れを落とし、保湿性や撥水性という羽の機能を保つためでした。全長14.5cm、体重18.0〜27.5gという小さな体で四季を越すには、羽の状態を保つことが生存に直結します。そして砂浴びは、水では落ちない余分な脂を乾いた砂で吸着させる、もう一つの手入れです。水と砂の両方を使いこなす鳥は多くなく、スズメはその珍しい一種にあたります。庭に水場をつくるときの分かれ目は、水深2cmという浅さと、上が開けていて横に逃げ場がある置き場所の2点です。深い容器なら小石を敷いて底を上げ、近くに羽を乾かせる止まり木を用意する。最初の一歩は、家にある植木鉢の受け皿に小石を敷いて水を2cm張り、庭の開けた場所の台の上に置くことです。そこから毎朝水を替えながら、窓の内側で待ってみてください。なお、山階鳥類研究所の標識調査データからは、1987年から2008年までの約20年間にスズメの個体数が6割減少したと推定されており、2008年時点の推定個体数は全国で1800万羽とされています。庭の小さな水場は、その減っていく身近な鳥と向き合う入口にもなります。

※法令や公的機関の見解、地域の鳥インフルエンザ発生状況は変わることがあります。最新情報は環境省や自治体の公式サイトでご確認ください。

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この記事を書いた人

野鳥の教科書編集部です。テーマに関する基礎知識や選び方を、公式情報など確認できる情報をもとに編集しています。掲載後も定期的に見直し、変更があれば更新します。

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