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鳩鳴き声は「デーデーポッポー」と「クルックー」の2系統|声でわかる種類の見分け方

鳩鳴き声は「デーデーポッポー」と「クルックー」の2系統|声でわかる種類の見分け方のアイキャッチ画像

朝、まだ布団の中にいるうちから「デーデー、ポッポー」という声が窓の外で繰り返される。あるいはベランダのどこかで「クルックー」というこもった声がして、姿は見えないのに気配だけがある。鳩の鳴き声は、身近すぎるのに正体がはっきりしない、少し不思議な音です。

結論から言うと、私たちが日常で耳にする鳩の声は、大きく2つの系統に分かれます。リズムよく区切って鳴く「デーデー、ポッポー」はキジバト、こもった感じで転がるように鳴く「クルックー」「ゴロッポ」はドバトです。この2つを覚えるだけで、姿を見なくても声の主がどちらなのか、かなりの確率で言い当てられるようになります。

そしてもうひとつ、知っておくと景色が変わるポイントがあります。鳴いているのは、ほとんどの場合オスです。つまりあの声は「誰かに向けたメッセージ」であって、意味もなく鳴いているわけではありません。この記事では、鳩の鳴き声の種類、鳴く理由、時間帯や季節による変化、そして声から種類を絞り込む手順までを、野鳥観察の視点と、ベランダで困っている人の視点の両方からまとめました。

📌 この記事でわかること

・鳩の鳴き声が「デーデー系」と「クルックー系」に分かれる理由と聞き分け方
・鳩が鳴く4つの理由と、鳴いているのがオスだけである意味
・早朝に鳴き声が目立つ仕組みと、鳴き声が増えたときに疑うべきサイン
・声から種類を絞り込む早見表と、姿を見て確かめる3つのチェックポイント

目次

鳩鳴き声は「デーデー系」と「クルックー系」の2つに分かれます

鳩鳴き声は「デーデー系」と「クルックー系」の2つに分かれますの解説画像

リズムよく区切る「デーデー、ポッポー」はキジバト

朝方に聞こえる、あの独特のリズムを持った声の主はキジバトです。日本在来種の鳩で、ヤマバトとも呼ばれます。鳴き声は「デーデー、ポッポー」、表記のしかたによっては「デッデー・ポッポー」「ホーホー」とも書かれます。共通しているのは、音のかたまりが区切られていて、ワンフレーズを何度も繰り返す点です。

なぜこんなに規則正しいのかというと、この声が求愛のための鳴き声だからです。同じフレーズを一定のテンポで繰り返すほうが、遠くにいる相手に「同じ個体がずっとここで鳴いている」と伝わりやすくなります。人間の耳にメロディのように聞こえるのは、繰り返しの構造がはっきりしているためです。

実際に外で聞き分けるときは、「音が途切れるかどうか」に注目してください。キジバトの声は、フレーズとフレーズの間に明確な間があります。数回鳴いてしばらく黙り、また同じフレーズを繰り返す、という周期を持っていることが多いのも特徴です。

注意したいのは、キジバトはこの求愛の鳴き声とは別に、「クック、クック」「クルック、クルック」という軽い声も出すという点です。これは地鳴きと呼ばれる声で、同じ鳥なのにまったく違う印象になります。「デーデー、ポッポー」だけがキジバトの声だと思い込んでいると、地鳴きを別の鳥の声だと勘違いしてしまいます。

こもって転がる「クルックー」「ゴロッポ」はドバト

駅前や公園、ビルの隙間から聞こえてくる、低くこもった声はドバト(カワラバト)です。「クルックー」「クックー」「ゴロッポ」などと表記され、単純な「ウーウー」という唸りのような声を出すこともあります。キジバトの声と比べると、区切りが曖昧で、音が喉の奥で転がっているように聞こえます。

この違いが生まれるのは、両者の暮らす環境と距離感が違うからだと考えると理解しやすくなります。ドバトは公園や駅、街中といった人の生活圏に密着していて、群れで行動します。最大100羽超の群団を形成することもある鳥で、そもそも相手がすぐ近くにいることが多い。遠くまで届かせる必要が薄いぶん、近距離向けの低い声が中心になります。

具体的な聞き分けの場面としては、マンションの廊下やベランダ、室外機の裏あたりから聞こえてくる声はドバトである可能性が高くなります。ドバトは人に慣れやすく、マンションのベランダに巣を作りやすい性質があるためです。逆に、電線や庭木のてっぺんから響いてくるリズミカルな声は、キジバトを疑ってよいでしょう。

やりがちな失敗は、「鳩=ポッポー」という思い込みで、こもった「ウーウー」という声を鳩以外の何かだと考えてしまうことです。この声は聞き慣れないと正体不明の低い唸りにしか聞こえませんが、ベランダで聞こえるならまずドバトを候補に入れてください。

迷ったら「区切りがあるか」で判断する

2種の声を文字で覚えようとすると、かえって混乱します。おすすめは、擬音ではなく「構造」で覚えてしまう方法です。区切りがあってフレーズが繰り返されるならキジバト、区切りが曖昧で音が続いていくならドバト。この一点だけを判断基準にすると、はじめて聞く声でも仕分けができます。

この方法が有効なのは、鳴き声の擬音表記が資料によって揺れるからです。同じキジバトの声でも「デーデー、ポッポー」「デッデー・ポッポー」「ホーホー」と書き分けられます。文字を暗記しても、実際の音と結びつかないことが多い。一方、音の区切り方は聞いた瞬間に判断できるので、実地では圧倒的に使いやすい手がかりになります。

実際の観察では、スマートフォンの録音機能を使うのも手です。窓を少し開けて数十秒録音し、あとで聞き返すと、その場では気づかなかった間の取り方や繰り返しの周期がはっきりわかります。声の主を探して外に出ると鳥は逃げてしまいますが、録音なら鳥を驚かせずに済みます。

豆知識として、鳩の鳴き声は季節に関係なく通年で聞かれる可能性があります。「春だから鳩が鳴いている」とは限らず、真冬に聞こえてもおかしくありません。季節から種類を推測するのではなく、あくまで音の構造で判断するのが確実です。

鳩が鳴く理由は大きく4つに整理できます

もっとも多いのはオスからの求愛

鳩が鳴く理由でいちばん多いのが、メスへの求愛です。オスが尾羽を広げ、体を膨らませながら鳴き声を出すことで求愛します。あの膨らんだシルエットと声はセットになっていて、鳴いているときの姿勢を見れば、それが求愛であることが外からでも判断できます。

求愛の声が目立つのは、鳩の繁殖サイクルが長いからです。繁殖が盛んなのは春から初夏ですが、鳩は1年中繁殖しており、その頻度は年に4回前後が平均といわれています。求愛の季節が限定されないぶん、求愛の声を耳にする機会も年間を通じて多くなります。

キジバトの場合は、鳴きながらその場でステップを踏み、ダンスをするような求愛行動をとります。庭や公園で、2羽の鳩が向かい合ってせわしなく足踏みしている場面を見たことがあるなら、それが求愛の最中です。求愛が受け入れられると、クチバシを噛み合った後、オスがメスの上に乗って交尾が始まります。

ここで押さえておきたいのは、鳴き声を発するのは基本的にオスで、メスはあまり鳴かないということです。つまり、あなたが毎朝聞いているあの声は、ほぼすべてオスの声だと考えてよい。「うるさい鳩が何羽もいる」と感じていても、声を出しているのは一部の個体だけ、というケースは珍しくありません。

縄張りを主張し、相手を威嚇する声

2つめの理由が、縄張りの宣告と威嚇です。求愛が「こちらを見てほしい」という外向きのメッセージだとすれば、こちらは「ここに入るな」という内向きの主張になります。同じ鳥から出ているのに、意味は正反対です。

この声が必要になるのは、鳩が集まる場所には限りがあるからです。雨風をしのげて、人が近づきにくくて、足場が安定している場所は限られています。そこを確保した個体が、後から来た個体に対して主張するのが縄張り宣告の声です。

縄張り主張のときは「カッ、カッ、カッ」といった声を出し、頭を振るなどの動作をともなって威嚇します。ベランダで2羽が向き合い、片方が頭を上下させながら短い声を出しているなら、求愛ではなく威嚇の場面だと考えたほうが自然です。求愛のときの、体を膨らませて尾羽を広げる姿勢とは動きがはっきり違います。

注意点として、威嚇の声が聞こえるということは、そこが複数の個体にとって魅力的な場所だという裏返しでもあります。争いが起きるほど条件のよい場所は、追い払っても別の個体がやってきます。声の種類は、その場所が鳩にとってどれくらい価値があるかを教えてくれる指標にもなります。

巣に向いた場所を仲間に知らせる声

3つめが、巣作りに適した場所を知らせる声です。鳩が鳴く理由としてはあまり知られていませんが、ベランダで困っている人にとっては、いちばん警戒すべき鳴き方でもあります。

なぜこの声が重要かというと、この段階の鳴き声は「これから巣を作る」という予告になっているからです。鳴き声の頻度が増えることは、巣作りを始めている可能性を示すサインとされています。声が増えてから対策を始めるのと、卵が産まれてから気づくのとでは、対応の難しさがまったく違います。

具体的には、これまで通りすがりに鳴くだけだった場所で、毎日同じ時間帯に同じ個体が鳴くようになったら要注意です。ドバトは人に慣れやすく、マンションのベランダに巣を作りやすい性質があります。室外機の裏、物置の陰、使っていないプランターの上など、視線が通らず雨の当たらない場所が候補になります。

豆知識として、鳩の巣作りは春と秋がピークとされています。ただし年中繁殖が可能な鳥なので、この2つの時期以外は安心してよい、という話ではありません。「ピークがある」と「その時期だけ」はまったく別のことです。

「クック、クック」は仲間との挨拶にあたる地鳴き

4つめが、地鳴きと呼ばれるコミュニケーションの声です。キジバトは「クック、クック」や「クルック、クルック」などの軽い鳴き声を発します。これは他の個体と挨拶を交わしたり、コミュニケーションをとる目的で鳴いているものです。

求愛や威嚇と違って、地鳴きは日常会話にあたります。声が小さく、目立たず、繰り返しのリズムもはっきりしないので、気づかずに聞き流している人が大半です。しかし意識して聞くようになると、鳩が近くにいることに気づける回数が一気に増えます。

実際の場面では、電線に数羽が並んでいるときや、地面で採餌しているときに、短い声が交わされているのが聞き取れます。求愛の「デーデー、ポッポー」のように遠くまで響かないので、聞き取るには鳥から数メートルの距離が必要です。

なお、さえずりと地鳴きの違いは鳩に限った話ではなく、野鳥全般に共通する考え方です。この区別を覚えておくと、鳩以外の鳥の声を聞くときにも役立ちます。

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Q. 鳴いている鳩は、オスとメスのどちらですか?
A. 基本的に、鳩の鳴き声を発するのはオスで、メスはあまり鳴きません。ベランダや庭で繰り返し聞こえてくる声は、ほぼオスのものと考えてよいでしょう。オスが尾羽を広げ、体を膨らませながら鳴いていれば求愛、頭を振りながら短く鳴いていれば威嚇の可能性があります。姿と声をセットで見ると、意味まで読み取れます。

朝しか鳴いていないように感じるのはなぜ?

朝しか鳴いていないように感じるのはなぜ?の解説画像

鳩は早朝の4時ごろから活動を始めている

「朝だけ鳴いている気がする」という感覚には、はっきりした根拠があります。鳩に限らず、多くの鳥類は早起きで、早朝の4時ごろにはすでに活動を始めて鳴いていることもあります。人間がまだ寝ている時間帯に、鳥の一日はもう始まっているわけです。

この時間差が、体感的な「朝だけうるさい」につながります。日中は仕事や家事で動いていて、外の音に注意が向きません。ところが早朝は、家の中が静かで、自分も横になっている。同じ音量でも、意識に引っかかる度合いがまったく違います。

具体的に困りやすいのは、寝室の窓のすぐ外に電線や手すりがあるケースです。鳩は高い場所から鳴くことが多いため、寝室の窓と鳩の定位置の距離が近いと、目覚まし時計より先に声で起こされることになります。

注意点として、鳴く時間が早いこと自体は鳩の異常な行動ではありません。「朝早くから鳴くのは何かおかしいのでは」と心配する必要はなく、鳥として普通の生活リズムです。問題があるとすれば、鳴く場所が人の生活圏と重なっていることのほうです。

朝は音が通るので、同じ声でもよく届く

早朝に鳩の鳴き声がするのは、朝のほうが鳴き声が通りやすく、より主張しやすくなるからです。周囲の騒音が少ない時間帯は、同じ大きさの声でも遠くまで届きます。鳩の側にも、朝に鳴く合理的な理由があるわけです。

求愛や縄張り主張は、相手に届いてはじめて意味を持ちます。車の音や人の話し声にかき消される日中よりも、静まり返った早朝のほうが、少ないエネルギーで広い範囲にメッセージを届けられる。鳥が朝に集中して鳴くのは、効率の問題でもあります。

実際、同じ鳩が同じ場所で鳴いていても、通勤時間帯になると気にならなくなることがあります。これは鳩が鳴きやめたのではなく、街の騒音が上がって声が埋もれただけ、というケースが少なくありません。

知っておくと得なのは、朝の鳴き声は「その周辺に定着している個体がいる」ことのサインになるという点です。通りすがりの個体はわざわざ同じ場所で毎朝鳴きません。毎日同じ時間に同じ方向から聞こえるなら、近くに落ち着ける場所を見つけている可能性があります。

昼間に聞こえないのは、鳴いていないからとは限らない

「昼はまったく鳴かないのに」と感じている人も多いはずですが、昼間でも雑音が少ない環境にいれば、鳩の鳴き声はよく聞こえます。郊外の住宅地や、休日で車通りが減った日には、日中でもはっきり聞こえることがあります。

つまり、聞こえる・聞こえないの差は、鳴いている量そのものよりも、周囲の騒音レベルに大きく左右されます。都市部で「朝だけ」と感じるのは、朝以外の時間帯に声がマスキングされているからだと考えると説明がつきます。

試してみるとわかりやすいのが、休日の昼に窓を開けて数分間じっと耳を澄ませることです。平日の同じ時間には聞こえなかった「クルックー」や「デーデー、ポッポー」が、意外なほど近くから聞こえてくることがあります。

この視点を持っておくと、対策を考えるときの前提も変わります。「朝だけ鳴きに来る鳥」ではなく「一日中いるが朝だけ聞こえる鳥」だとすれば、日中の行動も観察対象になります。フンの位置や羽の落ちている場所を昼間に確認すると、どこが定位置になっているのかが見えてきます。

⚠️ 失敗パターン①:窓を叩いて追い払う

早朝の声に耐えかねて窓を叩き、その場では飛び立った——これで解決したと感じるのが最初の落とし穴です。原因は、鳩がその場所を「一時的に驚いたが、危険ではない場所」と学習してしまうことにあります。人が近づけない位置に定位置があるほど、この学習は進みます。対策は、追い払うことではなく、留まれる場所そのものを減らすこと。手すりや室外機の上に物を置いたままにしない、巣材になりそうな枯れ枝やビニールを放置しない、といった環境側の見直しを先に行ってください。なお、フンの清掃をする際は乾いた状態で掃くと粉じんが舞い上がりやすいため、水で湿らせてから、手袋を使って処理するのが基本です。

声から種類を絞り込む早見表(野鳥の教科書調べ)

身近な2種と、地域が限られる2種を並べて比べる

鳴き声から種類を絞り込むときは、いきなり全種を覚えようとせず、「街で聞く可能性が高い順」に並べて比較するのが近道です。以下の表は、鳴き声・全長・生息環境・行動の単位という4つの軸で、4種を横並びにしたものです。

比較項目 キジバト ドバト カラスバト キンバト
代表的な鳴き声 デーデー、ポッポー クルックー/ゴロッポ グルルッ/ウーウウーッ ホッホロロ/コッコロロ
声の印象 区切りがありリズミカル こもって転がる 押し殺したような低い声 丸みのある繰り返し
全長 約25~30cm 30~35cm 40cm 25cm
よくいる場所 山里・農耕地・郊外
近年は市街地にも
公園・駅・街中 本州中部以南・島しょ部 宮古島以南の南西諸島
行動の単位 ペアまたは数羽 群れ(最大100羽超) 飛びながら鳴くことも 林の中で声が先行
全長の比較チャート(キンバト 25cm・キジバト 30cm・ドバト 35cm・カラスバト 40cm)
全長の比較(野鳥の教科書調べ・各公式サイトより、2026年9月時点)

この表の使い方はシンプルです。まず自分がいる地域で候補を2種に絞り、次に声の印象で確定させる。本州の市街地であれば、候補はキジバトとドバトのほぼ2択になります。声の印象の行だけ覚えておけば、現場での判断はかなり速くなります。

押し殺したような「グルルッ」はカラスバト

島や海沿いの森で、低く押し殺したような声を聞いたら、カラスバトの可能性があります。全長40cmと、身近な鳩より大きな種で、鳴き声は「グルルッ」「ウーウウーッ」と押し殺したような声。飛翔しながら「ガルルルー」と声を出すこともあります。

この声が独特に感じられるのは、明るいリズムを持たないためです。キジバトのような繰り返しの構造がなく、音のかたまりが不規則に途切れるので、鳥の声というより低い唸りのように聞こえます。はじめて聞くと、鳩だとは思わない人がほとんどでしょう。

姿を見られたときの手がかりは、全身が光沢のある黒い羽毛で被われていること、くちばしの先端が淡黄色であること、後肢が赤いことです。分布は本州中部以南、四国、九州、伊豆諸島、隠岐、沖縄諸島、五島列島、薩南諸島とされています。島を旅する機会があるなら、声を覚えておくと出会いのチャンスが増えます。

注意したいのは、飛びながら鳴くという点です。声のした方向を見上げてもそこには何もおらず、すでに移動していることがあります。声を追うのではなく、開けた場所で待って上空を通過するのを待つほうが観察しやすい相手です。詳しい記載はバードリサーチの解説ページで確認できます。

南西諸島の森に響く「ホッホロロ」はキンバト

宮古島以南の南西諸島にのみ生息するのがキンバトです。全長25cmと小柄で、鳴き声は「ホッホロロ」または「コッコロロ」。「ウーウー」と繰り返し鳴くこともあります。国の天然記念物に指定されている鳥です。

この種が声で探されることが多いのは、森の中で姿を見つけにくいためです。頭部から背面にかけては青味がかった灰色、背面と雨覆は光沢のある緑色、腹面は褐色の羽毛で覆われています。緑と褐色という配色は、林床や樹冠の中では驚くほど目立ちません。結果として、まず声が先に届き、そこから姿を探す流れになります。

実際の観察では、林道沿いで足を止め、「ホッホロロ」というやわらかい繰り返しが聞こえないか確認するのが基本になります。街で聞くドバトの声より丸く、キジバトほどの明確な区切りもない、その中間のような響きです。声の記録はバードリサーチのさえずりナビにまとめられています。

注意点として、天然記念物に指定されている種なので、繁殖期の林内に踏み込んだり、近づいて撮影しようと追いかけたりする行為は避けてください。声が聞こえた位置から動かず、そのまま待つ。それが結果的に、いちばんよく観察できる方法でもあります。

🐦 野鳥スペックカード:キジバト(ヤマバト)
学名Streptopelia orientalis
全長約25~30cm
見られる季節通年(日本在来種)
生息環境山里、農耕地、郊外、近年は市街地にも進出
鳴き声デーデー、ポッポー(求愛)/クック、クック(地鳴き)
見分けの決め手やや赤みがかった体色、羽の鱗のような模様、首周りの青色と黒色の縞模様

鳴き声が増えたら、それは繁殖のサインかもしれません

繁殖期は4月~10月、それでも年中鳴く

鳩の繁殖期は4月から10月とされ、1年のうちのとても長い期間にあたります。ただしこの期間以外にも繁殖行動をすることがあり、特に都市部や関東より西の地域では気候が適しているため、年中繁殖をする傾向にあるようです。

この「期間が長いうえに例外もある」という性質が、鳩の鳴き声が季節を問わず聞こえる理由になっています。春から初夏は繁殖が盛んな時期といわれていますが、鳩は1年中繁殖しており、その頻度は年に4回前後が平均といわれています。渡り鳥のように、鳴く季節がきれいに区切られる鳥ではありません。

具体的な体感としては、真冬でも暖かい日が続くと声が増える、というパターンがよく見られます。「冬になったから静かになるだろう」と待っていると、期待は裏切られることになります。

知っておきたいのは、キジバトの求愛鳴き「デッデー・ポッポー」は季節に関係なく通年で聞かれる可能性があるという点です。つまり、求愛の声が聞こえたからといって「今が春だ」とは限りません。声から季節を推測するのは、鳩に関しては当てになりません。

🗓 鳴き声が聞こえやすい時期(繁殖期4月~10月を基準に整理)
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

◎=繁殖が盛んで声が目立つ ○=通年で聞かれる可能性がある(都市部や関東より西では年中繁殖する傾向があるため、○の月も静かとは限りません)

年に4回前後という繁殖回数が意味すること

鳩の繁殖の頻度は、年に4回前後が平均といわれています。1回の繁殖で終わらないという事実は、鳴き声の頻度にもベランダの状況にも直結します。

ドバトの場合、一度に2つの卵を産み、約40日で巣立ちます。この期間が終わると、また次の繁殖に向けた求愛が始まる。求愛の声、巣作りの声、縄張りを守る声が、年に何度も繰り返されることになります。「今回さえやり過ごせば」という発想では追いつかないのは、この繰り返しの構造があるからです。

実際の観察では、同じベランダで2羽が並んでいる期間、片方だけがじっと座っている期間、しばらく静かになる期間、というサイクルが見られることがあります。静かになった時期を「いなくなった」と判断すると、次の繁殖でまた同じ場所が使われます。

キジバトも年間を通じて繁殖活動を行い、孵化期間はドバトより短いとされています。行動の単位はペアまたは数羽で、ドバトほど攻撃的ではありませんが、繁殖の頻度が高いという点は共通しています。卵や巣の扱いについては、下の記事に詳しくまとめています。

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鳴き声の頻度が上がったら巣作りを疑う

ここまでの内容を実用的にまとめると、判断基準はひとつです。鳴き声の頻度が増えたら、巣作りが始まっている可能性を疑う。これが、ベランダで鳩に困りたくない人にとってもっとも重要なシグナルになります。

理由は、鳴くという行為が場所と結びついているからです。求愛も、縄張り宣告も、巣に向いた場所の通知も、すべて「ここ」という特定の場所を前提にしています。通りすがりの個体は、わざわざ同じ場所で毎日鳴きません。頻度の増加は、その場所への執着が強まったことの表れです。

具体的なチェック方法として、1週間だけメモをつけてみてください。日付と、声が聞こえた時間帯、聞こえた回数の3つで十分です。回数が右肩上がりになっているなら、環境側の見直しを始める段階に入っています。

豆知識として、発情したオスはメスに自分の存在をアピールするため、競い合うように鳴き声を上げるとされています。近所で複数の個体が鳴いている場合、声が増える速度はさらに上がります。「今年は去年よりうるさい」と感じたなら、体感の問題ではなく実際に増えていることも十分にありえます。

⚠️ 失敗パターン②:卵を見つけてから動き出す

鳴き声を放置し、巣に卵があるのを見つけてから慌てて撤去しようとする——これがもっとも対応が難しくなるパターンです。野生の鳥は鳥獣保護管理法の対象で、卵やヒナのいる巣を許可なく撤去したり、鳥を捕獲したりすることはできません。取り扱いは自治体の窓口や環境省の案内に沿って進める必要があり、自己判断で動くと違法になるおそれがあります。逆に言えば、鳴き声の段階で気づいて環境を見直せば、法律の制約を受けずに対処できます。声が増えた時点が、動ける最後のタイミングだと考えてください。

声の主を目で確かめる3つのチェックポイント

くちばしの根元に白いこぶがあるか

声で見当をつけたら、次は姿で確認します。もっとも見分けやすいのが、くちばしの根元です。ドバトにはくちばしの根元に白いこぶがあり、キジバトにはこの白いこぶがありません。

この部分が有効なのは、体色や模様と違って、光の条件に左右されにくいからです。逆光でも、曇りの日でも、くちばしの付け根の白は比較的はっきり見えます。体の色は光の当たり方で印象が変わるため、初心者ほどこの一点に絞ったほうが正確です。

実際に見るときは、鳥が地面で採餌している場面が狙い目です。顔が下を向くので、くちばしの付け根を横から確認しやすくなります。距離があるときは双眼鏡があると確実ですが、公園のドバトなら肉眼でも判別できる距離まで近づけることが多いでしょう。

注意点として、この白いこぶの見え方には個体差があります。はっきり盛り上がって見える個体もあれば、控えめな個体もいる。1羽だけを見て断定せず、複数の個体を見比べると判断の精度が上がります。オスとメスの見分けにも関係する部位なので、あわせて確認しておくと理解が深まります。

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羽が鱗模様か、首元が緑と紫に光るか

2つめのチェックポイントは、体の模様です。キジバトは全体的にやや赤みがかった色で、羽は鱗のような模様になっています。首周りには青色と黒色の縞模様があります。一方のドバトは灰色で、首元が緑色と紫色に光ります。

この違いが見分けに使えるのは、鱗模様と金属光沢という、まったく質の異なる特徴だからです。鱗模様は羽の一枚一枚の縁取りが作る幾何学的なパターンで、光沢は構造色による色の変化です。両者を見間違えることはまずありません。

観察の場面としては、電線に止まっているキジバトを下から見上げたときに、背中側の鱗模様が確認しにくいことがあります。この場合は首元を見てください。青色と黒色の縞模様があればキジバト、緑色と紫色に光っていればドバトです。

豆知識として、ドバトの羽色は多彩で、二引(灰色に黒線二本)、斑模様、黒色、白色などさまざまなバリエーションがあります。真っ白なドバトや、まだら模様のドバトを見て「別の種類だ」と思う人がいますが、これらはすべてドバトの範囲内です。羽色だけで種類を決めようとすると、ここで必ずつまずきます。

群れでいるか、2羽でいるか

3つめは、行動の単位です。ドバトは群れで行動する性質があり、最大100羽超の群団を形成することもあります。対してキジバトは、ペアまたは数羽で行動し、ドバトほど攻撃的ではありません。

この違いが見分けに効くのは、遠くからでも判断できるからです。細かい模様が見えない距離でも、「何羽いるか」は一目でわかります。駅前の広場に十数羽がまとまっているならドバト、電線に2羽だけ並んでいるならキジバトの可能性が高い、という具合に絞り込めます。

具体的な場面としては、公園のベンチ周辺に集まってくる鳩はほぼドバトです。人に慣れやすい性質があるため、人が座ると寄ってくる。一方、庭木や電線から動かず、こちらが近づくと距離を取るのはキジバトであることが多くなります。

注意したいのは、キジバトも近年は市街地に進出しているという点です。「街にいるから全部ドバト」という判断は通用しません。群れの大きさはあくまで確率を上げる手がかりであって、決定打はくちばしと模様のほうです。

🐦 野鳥スペックカード:ドバト(カワラバト)
学名Columba livia
全長30~35cm
来歴中央アジア・ヨーロッパ原産の外来種。約1500年前に日本へ伝来
生息環境公園、駅、街中、都市部
鳴き声クルックー/クックー/ゴロッポ/ウーウー
繁殖年中繁殖可能。一度に2つの卵を産み、約40日で巣立ち

鳩鳴き声とのつきあい方は、立場によって変わります

ベランダの声が気になっている人へ

まずやるべきは、声を止めることではなく、記録を取ることです。いつ・どこから・どのくらいの頻度で聞こえるかを1週間分メモすれば、その個体がただ通過しているのか、定着しつつあるのかが判断できます。

この順番が大切なのは、対処法が段階によってまったく違うからです。通過しているだけなら環境の小さな見直しで済みますが、巣作りが始まっていれば法律の制約が絡んできます。記録がないまま「とにかく追い払う」に走ると、失敗パターン①のとおり、鳩に「危険ではない場所」と学習させるだけに終わりがちです。

具体的には、室外機の裏やプランターの陰など、視線が通らず雨が当たらない場所に注目してください。ドバトは人に慣れやすく、マンションのベランダに巣を作りやすい性質があります。そこに枯れ枝やビニール、洗濯ばさみなどの巣材になりそうな物を置いたままにしていないか確認しましょう。

物理的に留まれないようにする方法については、下の記事にまとめています。声の段階で手を打てるかどうかが、その後の手間を大きく左右します。

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声を楽しみたい人へ:まず1週間、同じ時間に聞く

観察側の立場なら、鳩は入門にちょうどよい相手です。どこにでもいて、声が大きく、繰り返してくれる。しかも求愛・威嚇・地鳴きという意味の違う声を、同じ場所で聞き比べられます。

おすすめは、毎日同じ時間に同じ窓辺で5分だけ耳を澄ませることです。同じ条件で繰り返すと、日ごとの違いに気づけるようになります。「今日は声が近い」「今日は2羽で鳴き交わしている」といった変化は、比較対象があってはじめて見えてきます。

慣れてきたら、声を聞いた直後に姿を探してみてください。声の方向を頭の中で覚えてから、ゆっくり視線を動かすのがコツです。声のした瞬間に慌てて窓を開けると、鳥は飛び去ってしまいます。

豆知識として、キジバトは鳴きながらその場でステップを踏み、ダンスをするような求愛行動をとります。声と動きがセットになっている瞬間に立ち会えたら、それは求愛の最中です。姿と声と行動が一本の線でつながると、観察は一気に面白くなります。

🏠 声から種類を特定する手順
Step1:音の区切りを聞く(フレーズが区切られて繰り返されるか、こもって続くか)
Step2:候補を2つに絞る(区切りあり=キジバト/こもって続く=ドバト)
Step3:何羽いるか数える(群れならドバト、ペアや数羽ならキジバトの可能性が上がる)
Step4:くちばしの根元を見る(白いこぶがあればドバト、なければキジバト)
完了! 迷ったら羽の模様で最終確認(鱗のような模様=キジバト/首元が緑と紫に光る=ドバト)

子どもと一緒に聞く人へ:擬音を自分の言葉で作る

子どもと鳥の声を聞くなら、既存の擬音を教え込まないほうがうまくいきます。「デーデー、ポッポー」と教える前に、「どんなふうに聞こえた?」と聞いてみてください。子どもが自分でつけた擬音のほうが、記憶に残ります。

この方法が有効なのは、鳴き声の表記が資料によって揺れるからです。キジバトの声ひとつとっても「デーデー、ポッポー」「デッデー・ポッポー」「ホーホー」と複数の書かれ方があります。正解の擬音がひとつではない以上、聞こえたとおりに表現するほうが、実際の音との結びつきが強くなります。

実際に試すなら、紙に日付と、聞こえた声、その日の天気を書くだけの記録帳を作るのがおすすめです。同じ鳥の声でも、日によって少しずつ違う擬音になる。その揺れ自体が、耳が育っている証拠になります。

注意点として、声の主を探して鳥に近づきすぎないよう伝えてください。繁殖期の鳥に人が接近すると、巣を放棄することがあります。「見つけたら、その場から動かずに見る」を約束事にしておくと、鳥にも子どもにも安全です。

Q. 同じ鳩なのに、日によって鳴き方が違うのはなぜ?
A. 鳩は目的によって声を使い分けているためです。求愛のときは体を膨らませて尾羽を広げながら鳴き、威嚇のときは「カッ、カッ、カッ」といった声で頭を振ります。仲間との挨拶にあたる地鳴きでは「クック、クック」「クルック、クルック」という軽い声になります。同じ個体でも、そのときの状況によって声はまったく違って聞こえます。声が変わったと感じたら、鳥の姿勢や周囲に他の個体がいるかを確認してみてください。

まとめ:鳩鳴き声は「区切り」で分け、頻度で意味を読む

🐦 この記事の結論

鳩の鳴き声は、区切りのあるキジバトとこもったドバトの2系統に分かれます。声の頻度が増えたら、巣作りが始まるサインとして受け止めてください。

✅ 要点チェック
  • キジバト:デーデー、ポッポーと区切って繰り返す
  • ドバト:クルックー、ゴロッポとこもって続く
  • 鳴くのはオス:メスはあまり鳴かない
  • 早朝が目立つ:4時ごろから活動し声が通る
  • 頻度の増加:巣作りを疑い環境を見直す

ここまで読んだら、明日の朝いちばんに試してほしいことがひとつだけあります。声が聞こえたら、擬音を思い出そうとせず、音に区切りがあるかどうかだけに集中してください。区切りがあればキジバト、こもって続くならドバト。この一点だけで、あなたの家の周りにいる鳩の正体は、ほぼ確定します。そこから先は、姿を探すのも、記録を取るのも、環境を見直すのも、自分の目的に合わせて進めればかまいません。声の意味がわかると、これまで雑音だった朝の音が、意味を持ったメッセージとして聞こえるようになります。

※鳥の分布や行動には地域差・個体差があります。巣やヒナの扱い、鳩に関する対応でお困りの場合は、お住まいの自治体の担当窓口や環境省の案内をご確認ください。

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この記事を書いた人

野鳥の教科書編集部です。テーマに関する基礎知識や選び方を、公式情報など確認できる情報をもとに編集しています。掲載後も定期的に見直し、変更があれば更新します。

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