10月の半ばを過ぎたころ、庭先で「ヒッ、ヒッ」と澄んだ声がして、見たことのないオレンジ色の鳥が物干し竿にとまっていた——そんな経験はありませんか。夏のあいだはスズメとヒヨドリばかりだったのに、寒くなると急に庭の顔ぶれが変わる。あれは何という鳥なのか、毎年来ているのか、名前を知りたいけれど図鑑は分厚くてどこを見ればいいのかわからない。冬の庭で多くの人がぶつかるのが、この壁です。
先に結論をお伝えします。庭に来る冬鳥は、まず6種だけ覚えれば足ります。ジョウビタキ、ツグミ、シロハラ、アオジ、シメ、ルリビタキ。この6種を押さえておけば、住宅地の庭やベランダに現れる「冬だけの鳥」のほとんどに名前がつきます。しかも6種は全長が12cmから24cmまでばらけていて、色も行動もはっきり違うので、見分けるのに専門知識は要りません。
この記事では、6種それぞれの見分け方を全長・色・鳴き声・仕草の4点で整理し、そのうえで「冬鳥を庭に呼ぶ」ときに知っておきたい餌台のルールと法律の線引きまでまとめます。バードリサーチが2005年から続けている庭・ベランダの調査データや、環境省・日本野鳥の会が公開している公的な資料も根拠として使いました。今日の午後、窓の外を見るときから使える内容です。
・庭に来る冬鳥はまず6種(ジョウビタキ・ツグミ・シロハラ・アオジ・シメ・ルリビタキ)から覚えれば足りる
・ジョウビタキは10月中旬ごろ渡来し、桜が咲く前にいなくなる。1羽ずつなわばりを持つので同じ庭に毎日現れる
・餌をまかなくても、実のなる木と水場があれば冬鳥は庭に来る
・給餌をするなら虫が減る冬のあいだだけ。餌台は清潔に保ち、定期的に消毒する(日本野鳥の会)
庭に来る冬鳥は、まず6種だけ覚えれば足りる

10月に「ヒッ」と鳴く鳥が現れたら、庭の冬が始まっている
庭の冬鳥シーズンの開幕を告げるのは、ジョウビタキです。バードリサーチの生態図鑑によれば、ジョウビタキは越冬地に10月中旬ごろ渡ってきます。キヤノンバードブランチプロジェクトの野鳥写真図鑑も、冬鳥としては早い10月には姿を見せると記しています。つまり、まだコートを出していない時期に、庭の冬鳥は先に到着しているわけです。
なぜこの時期なのかというと、冬鳥の多くはロシアの極東地域で春夏に子育てをし、秋に南下して朝鮮半島や日本以南で冬を越すからです。北の繁殖地が凍りつく前に南下を始めるので、日本の平地が「まだ秋」の10月にはもう到着している種がいます。
見つけ方は単純で、音から入るのが早道です。ジョウビタキは「ヒッ、ヒッ」と澄んだ声で鳴き、時折「カッカッ」とも鳴きます。この2つの声が庭で聞こえたら、視線を上げてください。物干し竿、柵の杭、生垣の先端など、見晴らしのいい高い場所にとまっていることがほとんどです。
注意したいのは、10月中旬に来ているのに「初めて見たのは12月」という人が多いことです。理由は庭の落葉が進んでいないから。木の葉が残っているうちは鳥が隠れてしまい、視界が開ける11月以降にようやく気づく、というパターンが起きます。10月から声だけでも意識しておくと、シーズンを1か月長く楽しめます。
冬鳥・留鳥・漂鳥の3語がわかると、庭の鳥が整理できる
庭の鳥は3つに分けると一気に整理できます。冬鳥=秋に日本へ来て冬を越し、春に北へ帰る鳥。留鳥=1年中同じ地域にいる鳥。漂鳥=日本国内で、夏は山、冬は平地というように季節移動する鳥。この3語だけで、庭の顔ぶれの変化が説明できます。
この分け方が効くのは、「なぜ冬だけ来るのか」に答えが出るからです。たとえばルリビタキは、春夏に四国や本州中部以北の高山、北海道の針葉樹林で繁殖し、冬期は本州中部以南の低山・低地の林の下部で見られます。海外から来る冬鳥ではなく、国内で標高を下げてくる鳥です。だから「冬に平地の庭に現れる」という結果は同じでも、来ている経路がまったく違います。
具体例で言うと、庭でよく見るヒヨドリ(全長約27cm)とシジュウカラ(全長約14.5cm)は、全国どこでも見られる鳥です。一方でツグミやシロハラは冬鳥。カワラヒワは全国で留鳥ですが、冬には北方からより大きな亜種も飛来します。同じ場所に同じ種がいても、中身が入れ替わっていることがあるわけです。
豆知識として、この区分は固定されたものではありません。バードリサーチが2016年から2021年の全国鳥類繁殖分布調査・越冬分布調査を1970〜1980年代の調査と比べた結果、渡り性が変化した鳥が報告されています。この話は後半の第7章で詳しく扱います。
全長12cmから27cmまで|大きさ順に並べた庭の冬鳥早見表
庭で鳥を見分けるとき、最初に効くのは色ではなく大きさです。人間の目は色より先にシルエットの大小を捉えるので、「スズメくらい」「ムクドリくらい」という感覚がつかめると、候補が一気に絞れます。そこで、庭・ベランダで記録されやすい種を全長順に並べた表を作りました。数値はすべてキヤノンバードブランチプロジェクトの野鳥写真図鑑の記載に基づいています。
| 種名 | 全長 | 冬の立場 | 目印になる特徴 |
|---|---|---|---|
| メジロ | 約12cm | 庭に訪れる | 眼の周りが白い・尾が短い |
| エナガ | 約13.5cm | 混群で通過 | 半分近くが尾羽・体重10g未満 |
| ジョウビタキ | 約14cm | 冬鳥 | 翼の白斑・尾を振る |
| ルリビタキ | 約14cm | 冬に低地へ | 脇のオレンジ・尾が青い |
| シジュウカラ | 約14.5cm | 通年いる | 白い腹に黒いネクタイ模様 |
| カワラヒワ | 約14.5〜16cm | 留鳥+冬の亜種 | 翼の黄斑・凹んだ尾 |
| アオジ | 約16cm | 秋冬に低い茂みへ | 黄色っぽい腹・尾羽外側の白線 |
| アトリ | 約16cm | 冬鳥 | 胸のオレンジ・飛ぶと腰が白い |
| シメ | 約19cm | 多くは冬鳥 | 太いくちばし・短い尾 |
| ツグミ | 約24cm | 冬鳥 | 白っぽい眉・胸の斑模様 |
| シロハラ | 約24cm | 冬鳥 | 白っぽい腹・斑模様がない |
| ヒヨドリ | 約27cm | 通年いる | 頬の赤茶・長めの尾 |

この表の使い方は「まず2択に落とす」こと。スズメ(全長14.5cm前後)を物差しにして、それより明らかに小さければメジロかエナガ、同じくらいならジョウビタキ・ルリビタキ・シジュウカラ・カワラヒワ・アオジ、明らかに大きければツグミ・シロハラ・ヒヨドリです。この3段階に分けるだけで、候補が4分の1になります。

ベランダの手すりに見慣れない鳥がとまっていて、名前を調べようと図鑑を開いたら数百種が並んでいた——そんな経験はありませんか。日本で記録のある野鳥は600種を超え…
庭の記録で最も多いのはヒヨドリとシジュウカラ|70地点の越冬期データ
「うちの庭には珍しい鳥は来ないから」と思っている人にこそ知ってほしいのが、実際の庭・ベランダの記録データです。バードリサーチの「ベランダバードウォッチ」は2005年から2024年まで続く調査で、越冬期は70地点のデータが集まっています。
越冬期に記録が多かった順に並べると、ヒヨドリ、シジュウカラ、メジロ、スズメ、ツグミ、ハシブトガラス、ムクドリ、キジバト、ハクセキレイ、ハシボソガラス、コゲラ、ジョウビタキ、ドバト、カワラヒワ、モズ、カルガモとなります。上位に並ぶのは、どこの住宅地にもいる鳥ばかりです。
注目してほしいのは、ツグミが5番目、ジョウビタキが12番目に入っていること。つまり冬鳥は「珍しい鳥」ではなく、庭で普通に記録される鳥です。繁殖期のリストにはツグミもジョウビタキも入っていないので、この2種は冬にだけ庭の常連になる、と言い換えられます。
もうひとつ、この調査は身近な鳥の減少も示しています。継続的に調査が行なわれている14地点では、ツバメ、スズメ、ヒヨドリが減少傾向にありました。庭に来る鳥を毎年記録しておくことは、こうした変化を確かめる手がかりにもなります。
オレンジの腹に白い紋があればジョウビタキ|住宅地でいちばん見つけやすい鳥
オスは銀白色の頭、メスは翼の白斑が決め手
ジョウビタキは、庭に来る冬鳥のなかで最も見つけやすい種です。全長は約14cm、スズメ目ヒタキ科。オスは頭が銀白色で、キヤノンの図鑑では身近な小鳥ではもっとも美しいといわれる、と紹介されています。腹はオレンジ色。この配色は庭では他に競合がいないので、オスなら一目でわかります。
問題はメスです。全体に地味な褐色で、初めて見た人はスズメと勘違いします。決め手は翼の白斑で、これは雌雄に共通する特徴です。翼にぽつんと白い紋が浮いていたらジョウビタキ。加えて、メスも腰や尻、尾の下側はオスの腹のような色をしているので、飛び立った瞬間にオレンジがちらっと見えます。
実際の庭では、静止しているメスを識別するより、飛んだ瞬間を狙うほうが確実です。生垣から生垣へ移る一瞬に、腰のオレンジと翼の白紋が同時に見えます。双眼鏡がなくても、この2色の組み合わせは肉眼で拾えます。
名前の由来も知っておくと記憶に残ります。「尉」は老人の能面のことで、オスの銀色の頭を老人の白髪の頭に見立てて名付けられた、とあきた森づくり活動サポートセンターは解説しています。頭の色が名前になっている鳥、と覚えておけばオスは忘れません。
| 分類 | スズメ目ヒタキ科(ジョウビタキ) |
| 全長 | 全長約14cm |
| 見られる季節 | 10月中旬ごろ渡来し、桜が咲く前にいなくなる |
| 生息環境 | 庭や公園にも飛来する。ひらけた環境を好む |
| 鳴き声 | 「ヒッ、ヒッ」と澄んだ声。時折「カッカッ」 |
| よく見られる場所 | 物干し竿・柵の杭・生垣の先端など見晴らしのよい場所 |
尾をピクピク振って、お辞儀をする仕草でわかる
色を見る前に、仕草だけでジョウビタキと言い切れる場面があります。あきた森づくり活動サポートセンターの解説によれば、頻繁に尾をピクピクと振る動きで見つけることができ、おじぎをするように頭を下げ、尾を振る動作をよく行います。この「お辞儀+尾振り」のセットは、庭の他の小鳥ではあまり見ない動きです。
なぜこんな動きをするのかというと、ジョウビタキは開けた場所の高い位置にとまり、地面や空中の獲物を探して飛び出す狩り方をするからです。周囲を警戒しながら次の獲物を待つ姿勢が、あの落ち着かない上下動として現れます。キヤノンの図鑑によれば、秋は色づいた実を食べることもありますが、その後はモズと同じく越冬する虫などを食べます。
庭での判断手順はこうです。まず物干し竿や支柱の先端など、視界の開けた高い場所を目で追う。とまっている鳥がいたら、5秒だけ動きを見る。尾が上下に細かく震え、時々ぺこりと頭を下げたら、色を確認するまでもなくジョウビタキです。
ひとつ注意点があります。尾を振る鳥は他にもいて、ハクセキレイも尾を上下させます。ただしハクセキレイは地面を歩きながら振り、ジョウビタキは高い場所にとまったまま振ります。「歩きながらか、とまったままか」で分ければ迷いません。

庭の物干し竿や公園の杭に、お腹がオレンジ色の小鳥がちょこんと止まっている。近づいても逃げず、お辞儀をするように体を下げながら尾を細かく振っている——この鳥を図鑑…
1羽ずつなわばりを持つから、同じ庭に毎日現れる
ジョウビタキが「毎日同じ場所に来る」のには理由があります。バードリサーチの生態図鑑によれば、渡来とともにオスとメスは別々になわばりを構えて生活します。つがいで越冬するのではなく、1羽が1つのなわばりを持つのです。
この習性が、庭の観察にとって都合のいい条件を生みます。あなたの庭がある個体のなわばりに含まれていれば、その1羽が冬のあいだじゅう、ほぼ毎日同じルートを回ってきます。昨日いた場所に今日もいる。だから観察の計画が立てられますし、同じ個体を長く見続けることで、羽の傷や色の濃さといった個体差もわかるようになります。
具体的には、朝と夕方の決まった時間に窓から庭を見る習慣をつけると、1週間ほどで「この時間はいつも柿の木」「昼過ぎは隣家の屋根」といったパターンが見えてきます。ジョウビタキ側もこちらの存在に慣れて、警戒距離が少しずつ縮まります。
逆張りの視点をひとつ。「今日は2羽いた」という日は、なわばりの境界を見ている可能性があります。オスとメスが別々になわばりを持つので、隣り合う2羽が境界で顔を合わせると、鳴き交わしや追いかけ合いが起きます。珍しい光景ではなく、なわばり制の必然です。
失敗パターン①:オスとメスを別の鳥として数えてしまう
庭の観察で最も多い失敗が、ジョウビタキのオスとメスを「2種類の鳥」として記録してしまうことです。オスは頭が銀白色で腹がオレンジ、メスは全体に地味な褐色。同じ種とは思えないほど見た目が違うので、初めての冬はほぼ確実に混乱します。
原因は、日本の身近な小鳥に雌雄同色の種が多いことです。スズメもシジュウカラも、オスとメスの見た目はよく似ています(シジュウカラはメスのネクタイ模様がやや細い程度)。その感覚のままジョウビタキを見ると、色違いは別種だと判断してしまいます。
対策は、翼の白斑という「雌雄共通の目印」を先に覚えることです。翼に白い紋がある小鳥が庭にいたら、体色が何であれジョウビタキ。この1点を軸にすれば、オスとメスを同じ種として結びつけられます。ルリビタキも同じ発想が使えて、こちらは脇のオレンジが雌雄共通です。
ちなみに、同じ庭でジョウビタキのオスとメスの両方を見ることは起こり得ます。オスとメスは別々になわばりを構えるので、庭が両方のなわばりの端にかかっていれば、時間帯を変えて両方が現れます。数え間違いではなく、なわばりの重なりを見ているのです。
地面を歩く24cmの2種|ツグミとシロハラはここで分ける

胸に斑模様があればツグミ、腹が白っぽければシロハラ
ツグミとシロハラは、どちらも全長約24cm、スズメ目ヒタキ科の冬鳥です。大きさも科も同じで、どちらも地面を歩く。庭で最も紛らわしい組み合わせですが、見分けるポイントは1つで足ります。胸から腹にかけての模様です。
ツグミは白っぽい眉があり、胸に斑模様があります。キヤノンの図鑑はこの姿を「白っぽい眉、胸に斑模様のムクドリサイズ」と表現しています。対してシロハラは腹が白っぽく、ツグミと異なり斑模様がありません。神奈川県の資料でも、シロハラは頭がグレー、背中は暗い茶色、腹は白っぽいと記載されています。
庭での実践としては、鳥が正面を向いた瞬間を待つのが確実です。横向きだと背中の茶色しか見えず、両者は似て見えます。正面から胸を見て、そばかすのような斑があればツグミ、のっぺりと白ければシロハラ。判断はこの一瞬で終わります。
注意点として、ツグミには翼のオレンジ色も特徴として挙げられています。飛び立ったときに翼にオレンジが差せばツグミの可能性が高い、と覚えておくと後ろ姿でも手がかりになります。
| 比較項目 | ツグミ | シロハラ | ヒヨドリ |
|---|---|---|---|
| 見た目の特徴 | 白っぽい眉・胸の斑模様 | 腹が白っぽく斑模様がない | 頬の赤茶・長めの尾 |
| 鳴き声 | ヒヨドリよりやや固めの声 | 「シーッ」「コッコッコ」 | 「ヒヨ、ピーヨ」と伸ばす |
| 大きさ | 全長約24cm | 全長約24cm | 全長約27cm |
| よく見る場所 | 開けた地面を歩く | 茂みの地上・落ち葉の下 | 木の枝・花や実のある高所 |
ツグミが庭で目立ち始めるのは、柿が熟す11月以降
ツグミは10月に日本へ飛来しますが、町で目立つのは柿が熟す11月以後です。この1か月のずれには理由があります。渡来直後のツグミは、水田の刈跡や畑地、河原といった開けた場所に散らばっていて、住宅地の庭に降りてくるのは食べ物の条件が変わってからです。
食性を見るとよくわかります。ツグミは春夏は主に虫を食べ、秋冬は木の実を丸呑みして種子散布に貢献します。つまり庭に柿やピラカンサ、ナンテンといった実があれば、そこが冬の食卓になります。実が熟すタイミングと、庭に現れるタイミングが一致するわけです。
春先の観察のコツも押さえておきましょう。ツグミは春には北上する前に、地上で虫やミミズを捕るようになります。冬に木の実を食べていた同じ個体が、春が近づくと芝生や花壇の土をつつき始める。この食べ物の切り替わりは、庭で観察できる季節の変わり目のサインです。
飛去時期についてもひとつ。春には北上しますが、5月の連休くらいまでは日本に残るものもいます。「4月になったからもういない」と決めつけず、連休前まで庭を見ておくと、最後の1羽に会えることがあります。
落ち葉をガサゴソやる音がしたら、姿より先にシロハラを疑う
シロハラは、姿より音で見つかる鳥です。よく茂った緑地の地上にいることが多く、暗い茂みや落ち葉の下で過ごします。そして落ち葉をどけて食料を探すので、庭の茂みの奥から「ガサッ、ガサッ」という音が繰り返し聞こえます。
この行動には理由があります。シロハラの食べ物は木の実や虫などで、冬の地表では落ち葉の下に隠れた昆虫やミミズが主要な獲物になります。くちばしで落ち葉をはねのけながら進むので、体の大きさ(全長約24cm)に見合った音量の音が出ます。ネコかと思って見に行ったらシロハラだった、というのは冬の庭でよくある展開です。
見つけたときの立ち回りとしては、動かないことが最善です。シロハラは警戒すると茂みの奥へ入ってしまいます。窓の内側から、あるいは3歩下がった位置から観察すれば、10分ほど落ち葉をひっくり返し続ける姿が見られます。鳴き声は「シーッ」と細い声のほか、「コッコッコ」とけたたましく鳴くこともあり、後者は驚いて飛び立つときによく聞こえます。
地域差にも触れておきます。シロハラは西日本で越冬することが多いとされています。東日本の庭では出会う頻度が下がるので、「うちには来ない」と感じたら、住んでいる地域の条件かもしれません。
茂みの奥から「チッ」と聞こえたら|アオジ・ルリビタキ・シメの見つけ方
アオジは全長16cm、低い茂みで草の種子を食べている
アオジはスズメ目ホオジロ科、全長約16cm。神奈川県の資料では、秋から冬に「最も出会う」種として紹介されています。ところが庭では見落とされがちで、理由は生活する高さにあります。秋冬のアオジは本州以南の庭や公園の低い茂みに生息していて、人の目線より下、地面すれすれで行動しているからです。
探すコツは、茂みの根元に視線を落とすことです。アオジの秋冬の主食は草の種子なので、雑草が残っている花壇の隅や、生垣の足元にいます。地鳴きは「チッ、チッ」と細い声。この声が足元から聞こえたら、しゃがんで茂みの下を覗いてみてください。
見分けの決め手は色と飛び方です。オスは頭部が緑色で、黒いひげ模様があります。メスは褐色系でオスより緑色味に欠けますが、飛ぶと尾羽の外側の白線が目立ちます。「スズメ大で黄色っぽく、飛ぶと尾に白い線」という組み合わせなら、ほぼアオジです。
豆知識として、アオジは春夏には本州中部の標高1000m前後の林で繁殖します(北海道では低地でも繁殖)。冬に庭の茂みにいる同じ鳥が、夏には山の林で歌っている。この標高差が、冬にだけ庭に現れる理由です。
ルリビタキの青は、1年では完成しない
ルリビタキ(全長約14cm、スズメ目ヒタキ科)のオスは、日があたれば美しい空色に見える背中を持ちます。庭に来てくれたら忘れられない鳥ですが、青い個体に出会える確率はそれほど高くありません。理由は、青くなるまでに時間がかかるからです。
キヤノンの図鑑は、翌年春まで生き残っても青くならないオスがいる、と記しています。つまり若いオスはメスに似た地味な姿のまま冬を越します。庭で見た「地味なルリビタキ」がメスとは限らない、ということです。
ではどう識別するか。決め手は脇のオレンジで、これは雌雄共通の特徴です。加えて、メスの尾はオスの上面と同じように青い。体が茶色っぽくても、脇にオレンジがあり尾に青みが差していれば、ルリビタキと判断できます。
庭で探す場所も限定できます。ルリビタキは低木の茂みを好み、冬期は本州中部以南の低山・低地の林の下部で見られます。神奈川県の資料では沢沿いに出現するとされ、観察難易度は星2つ。庭に来るとすれば、常緑の低木が茂った日陰側です。ジョウビタキと同じ「ヒッ、ヒッ」という地鳴きも使うので、声だけでは決められません。
シメの太いくちばしは、硬いタネを割るための道具
シメはスズメ目アトリ科、全長約19cm、体重は約50gでスズメの倍程度。庭に現れると存在感があります。特徴は何といっても太いくちばしと短い尾で、シルエットだけで他種と区別できます。
あのくちばしには機能があります。シメは固いタネもかみ砕くことができ、およそ50kgに及ぶ力でタネを割って食べます。体重約50gの鳥が、その1000倍にあたる力を出す計算です。庭でヒマワリの種を置くと、他の小鳥が持ち去って別の場所で割るのに対し、シメはその場で音を立てて割ることがあります。
見分けのポイントをもう1つ。風切羽の白い帯が目立つので、飛んだときに翼の白帯が見えます。神奈川県の資料は「太いくちばしとあごひげのような黒い模様」と表現しており、くちばしの根元の黒い模様も手がかりになります。
鳴き声については期待しすぎないほうがいいでしょう。地鳴きは細い声で短く不規則に鳴き、さえずりは地鳴きとの区別がつきにくいとされています。声で探すより、太いくちばしのシルエットを覚えて目で探すほうが早い鳥です。
冬に大群で現れるアトリには、当たり年とハズレ年がある
アトリ(全長約16cm、スズメ目アトリ科)は冬鳥として山地の林に飛来しますが、農地や住宅地で草の種子を食べることもあります。この鳥の面白さは、年によって出会える数がまったく違うことです。
キヤノンの図鑑によれば、多い年には空を埋めるような万単位の大群が見られることがあります。逆に少ない年はほとんど見かけません。北の繁殖地での食べ物の豊凶や気象条件によって、南下してくる規模が変わるためです。
庭で確認するときの目印は色の配置です。静止時には胸のオレンジ色が、飛ぶと腰の白色が目立ちます。春が近づくと頭が真っ黒になり、胸のオレンジとのコントラストが鮮やかになるので、2月から3月にかけて庭に来た個体は、渡来直後より見分けやすくなります。
鳴き声は小声で「キョキョキョ」、時に「ジェーイ」と濁った声を伸ばします。群れで移動する鳥なので、1羽だけ庭にいるより、近所の林からまとまって降りてくるパターンが多くなります。
冬鳥を庭に呼ぶ前に知っておきたい、餌台のルール
与えるのは虫が減る冬のあいだだけ。春が来たらやめる
庭に餌台を置く前に、必ず押さえておきたい原則があります。給餌は冬の限られた期間に限る、ということです。理由は、通年の給餌が野鳥の生活を変えてしまうからです。
茨城県は野生鳥獣への餌付けについて、人が与える餌に依存するようになり、自ら餌をとることができなくなってしまうこと、餌付けによる安定した栄養供給が生存率を上昇させ特定の種のみが増加してしまうこと、そして餌付けに依存した渡り鳥は渡りの時期を遅らせたり移動のルートが変化してしまうことを挙げています。日本野鳥の会も、撮影を目的とした餌付けについて、本来は日本を離れるべき渡りの時期を逃してしまう可能性を指摘しています。
具体的な目安としては、庭のジョウビタキが渡去する時期、つまり桜が咲くころを終了のラインに置くとわかりやすいでしょう。ジョウビタキは桜が咲く前にいなくなるのが普通で、そのころには昆虫も動き始めます。自然の食べ物が戻ってきたら、餌台の役目は終わりです。
注意点として、日本野鳥の会のフィールドマナーは、カラスやハトのように人の生活と軋轢が生じている生物、生態系に影響を与えている移入種、水質悪化が指摘されている場所などでは餌やりを控える必要があるとしています。また公共の場所等での餌づけは、ゴミの不法投棄を禁じた条例や環境の改変を禁じた条例に違反する可能性があります。庭でやる話と、公園でやる話は別だと考えてください。

庭やベランダに餌台を置いてみたものの、一羽も来ないまま数日が過ぎた。あるいは、これから置こうと思って調べ始めたら「餌付けはやめましょう」という自治体のページに行…
餌台は清潔に保ち、定期的に消毒する
餌台を置くと決めたら、衛生管理はセットです。日本野鳥の会は、管理が不十分な餌台に鳥を集めることは野鳥への感染のリスクを高めることにつながるとし、餌台は清潔に保ち、定期的に消毒をしましょうと呼びかけています。
なぜ餌台が問題になるかというと、本来は散らばって採食する鳥が、1か所に集まる状況を人為的に作り出すからです。狭い台の上で複数種が入れ替わり立ち替わり食べ、糞も落ちる。自然界では起きにくい密度です。
実際の運用としては、食べ残しと糞を毎日取り除き、餌は1日で食べきる量だけにするのが基本になります。濡れた餌をそのままにしておくとカビが生えるので、雨や雪の後は必ず点検してください。同会は、近くで感染が見つかった際には給餌を自粛しましょうとも記しています。
もうひとつ、野鳥との接し方について。日本野鳥の会は、野鳥の死体を発見したら直接、素手で触れるのは避け、都道府県の自然保護関係部署に相談してくださいと案内しています。庭で弱った鳥や死んだ鳥を見つけたときは、自分で処置せず自治体に連絡するのが正しい手順です。
日本野鳥の会は、管理が不十分な餌台に鳥を集めることが野鳥への感染のリスクを高めるとして、餌台を清潔に保ち定期的に消毒すること、近くで感染が見つかった際には給餌を自粛することを呼びかけています。野鳥の死体を見つけたら素手で触れず、都道府県の自然保護関係部署に相談してください。判断に迷う状況では、必ずお住まいの自治体の窓口に確認しましょう。
置き場所はネコが潜めない開けた場所に固定する
餌台の位置は、来る鳥の数より先に、鳥の安全を左右します。環境共生まちづくり協会は、ネコが潜めそうな茂みの側に設置しないよう、ある程度開けた場所においてあげるとよいと解説しています。
理由は単純で、餌に集中している鳥は周囲への注意が下がるからです。茂みが近いと、そこから飛び出してくる捕食者に対応できません。かといって何もない広場の真ん中では、上空からの危険に対して逃げ込む場所がない。「近くに逃げ込める枝はあるが、地面の茂みからは離れている」場所が理想です。
もうひとつの原則は、置く場所を変えないこと。同協会は場所を変えないことを勧めています。鳥は餌場の位置を記憶して通ってくるので、動かすたびに学習し直しになり、警戒心が上がります。最初にきちんと選んで、シーズン中は固定するのが結果的に早道です。
豆知識として、窓のすぐ近くに置くか、十分に離すかも考えどころです。中途半端な距離だと、驚いて飛び立った鳥が窓ガラスに衝突する事故が起きます。観察したい気持ちはわかりますが、鳥の飛び出す方向に窓がこない配置を選んでください。
失敗パターン②:ヒヨドリが独占して、小鳥がまったく来ない
餌台を置いた人の多くがぶつかるのが、ヒヨドリの独占です。置いた翌日から全長約27cmのヒヨドリが居座り、メジロ(全長約12cm)やシジュウカラ(全長約14.5cm)が近寄れなくなります。
原因は体格差と食性の重なりです。ヒヨドリは蜜や果実を食べ、舌を使って蜜をのどの奥まで運びます。メジロも虫や木の実に加えてさまざまな花の蜜を好むので、果物を置くと両者の狙いが完全に重なります。そこへ全長で2倍以上の差がある鳥が来れば、小さいほうが引く結果になります。
対策の考え方はシンプルで、「大きい鳥が体を入れられない構造にする」ことです。小鳥が通れる程度の隙間を持つ籠状の覆いを餌の外側に付ける、枝から吊り下げて不安定にする、といった物理的な仕切りが基本になります。光り物で追い払う方法は効果が続きにくく、慣れられます。
ただし、ヒヨドリを敵視しすぎないほうがいいという視点も持っておきたいところです。バードリサーチのベランダバードウォッチでは、越冬期の記録数トップがヒヨドリでしたが、継続調査の14地点ではツバメ、スズメ、ヒヨドリが減少傾向にありました。庭で最も見る鳥が、長い目で見れば減っている鳥でもあるのです。
餌をまかなくても冬鳥は来る|庭の実と水場という選択肢
実のなる木を植えると、鳥のほうから来てくれる
餌台を管理する自信がないなら、植栽で呼ぶという方法があります。環境共生まちづくり協会は、実のなる木としてナンテン、マンリョウ、ガマズミなどを挙げ、常緑樹と落葉樹の組み合わせを勧めています。
この方法が理にかなっているのは、冬鳥の食性と一致するからです。ツグミは秋冬に木の実を丸呑みして種子散布に貢献しますし、メジロは秋冬に庭を訪れて木の実やカンツバキなどの花の蜜を食べます。ジョウビタキも秋は色づいた実を食べることがあります。庭に実があれば、餌をまかなくても食卓が用意できているわけです。
具体的な組み立て方としては、実がなる時期をずらすのがコツです。秋に実る木と、冬の後半まで実が残る木を混ぜておけば、シーズンを通して鳥が通ってきます。常緑樹は身を隠す場所として、落葉樹は冬に見通しがよくなる観察窓として、それぞれ別の役割を果たします。
注意点をひとつ。実のなる木を植えると、当然ヒヨドリも来ます。庭木の実が短期間でなくなるのはよくあることで、これは失敗ではなく、鳥が来ている証拠です。「小鳥の分がなくなる」のが気になるなら、実る時期の違う木を複数植えて分散させるのが現実的な答えになります。
冬の水場は、餌より効く場面がある
意外と知られていないけれど、冬の庭で鳥を呼ぶ力が強いのは、餌より水であることがあります。理由は、冬は水場のほうが不足しやすいからです。気温が下がると小さな水たまりは凍り、鳥が飲み水と水浴び場を探す距離が伸びます。
しかも水場は、食性を選びません。虫を食べるジョウビタキも、草の種子を食べるアオジも、木の実を食べるツグミも、水は等しく必要とします。餌台が特定の食性の鳥しか呼べないのに対し、水場は庭に来るすべての種に効くのです。
設置は浅い皿で足ります。深さは鳥が足をつけて立てる程度にとどめ、ネコが潜めない開けた場所に置く、という餌台と同じ原則を適用してください。水は毎日入れ替え、容器はぬめりが出る前に洗います。凍結する朝は、日が差してから水を足すと使われやすくなります。
衛生面の考え方は餌台と共通です。1か所に鳥が集まる構造である以上、日本野鳥の会が示す「清潔に保ち、定期的に消毒する」という原則は水場にも当てはまると考えて運用するのが安全です。
落ち葉を全部片づけないほうが、シロハラは来る
冬の庭仕事で見直したいのが、落ち葉の扱いです。落ち葉を残しておくと、シロハラが来る確率が上がります。シロハラは暗い茂みや落ち葉の下で過ごし、落ち葉をどけて食料を探すからです。
落ち葉の層は、冬の地表に生きものを住まわせます。そこに隠れた昆虫やミミズが、地面で採食する鳥の食料になる。落ち葉をすべて掃き集めてしまうと、この階層ごと消えてしまいます。餌をまくのではなく、鳥が自力で見つけられる場所を残す、という発想です。
実践するなら、庭全部を落ち葉だらけにする必要はありません。通路や玄関まわりはきれいにして、生垣の足元や樹木の株元だけ落ち葉を残す、という区分けで十分です。アオジも低い茂みで草の種子を食べるので、雑草を刈り込みすぎない一角があると同じように効きます。
注意点として、落ち葉を残すことは近隣への配慮とセットで考えてください。風で飛んで隣家に入る場所や、側溝を詰まらせる位置には残さない。庭の内側の、風の当たりにくい一角を選ぶのが現実的です。
冬鳥は毎年同じように来るわけではない|法律と、静かに進む変化
捕獲・飼育は原則禁止|違反すれば1年以下の懲役
庭に来た鳥がかわいくて手元に置きたくなっても、それはできません。環境省は、環境大臣又は都道府県知事の許可を得て行うか、狩猟者登録を受けて行う場合以外は、鳥獣の捕獲は原則として禁止されておりますと明記しています。
罰則も定められています。同省によれば、鳥獣保護管理法に違反して野生の鳥獣を捕獲した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。「一時的に保護するだけ」「弱っていたから」という理由でも、勝手に捕まえて手元に置くことは認められません。
許可が出る場合もあります。生態系や農林水産業に対して鳥獣による被害等が生じている場合や、学術研究上の必要性が認められる場合などには、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けて捕獲等することが認められます。ただしこれは手続きを経た例外であって、個人が庭で判断できるものではありません。
庭で弱った鳥を見つけたときの正しい手順は、自分で抱え込まないことです。日本野鳥の会は野鳥の死体について、素手で触れず都道府県の自然保護関係部署に相談するよう案内しています。生きている個体についても、まずは自治体の窓口に連絡して指示を仰いでください。詳しくは環境省「野生鳥獣の違法捕獲の防止」で確認できます。
実は「冬鳥」という区分そのものが動いている
図鑑に「冬鳥」と書いてあるから毎年同じように来る、とは限りません。バードリサーチは2016年から2021年にかけて実施された全国鳥類繁殖分布調査と越冬分布調査の結果を、1970年代の繁殖分布調査・1980年代の越冬分布調査と比較し、渡り性が変化した鳥を報告しています。
この比較で取り上げられたのは、カワウ、ダイサギ、アオサギ、ミサゴ、オオタカ、ハヤブサ、オオセグロカモメ、ウミネコ、ジョウビタキ、ミヤマホオジロ、ハクセキレイ、ヒクイナ、サンショウクイ、ヤマセミ、リュウキュウサンショウクイの15種。冬鳥から留鳥へ変化したのはカワウ、ダイサギ、アオサギ、ミサゴ、オオタカ、ハヤブサ、オオセグロカモメ、ウミネコなど12種にのぼります。
庭の観察者にとって身近なのはジョウビタキです。従来は冬鳥でしたが、国内での繁殖記録が積み上がっています。バードリサーチの生態図鑑によれば、富士見高原では2010年から4年間、少なくとも1つがいの繁殖が継続し、周囲も含めると少なくとも5つがいが繁殖していました。北海道上川、兵庫県鉢伏高原、岡山県新庄村でも繁殖が記録されています。
つまり「冬にしか会えない鳥」という前提が、種によっては崩れつつあります。庭の記録を毎年つけておくことに価値があるのは、こうした変化が個人の庭のレベルでも先に見えることがあるからです。
ツグミの滞在期間は、23年で40日以上短くなった
冬鳥の来る時期そのものも変わっています。気候変動いきもの大調査が紹介する横浜の公園での市民調査では、ツグミやシメといった冬鳥の飛来の時期が遅くなり、飛去の時期が早くなっていることが明らかになりました。
変化の幅は小さくありません。最も変化が大きかったツグミでは、23年間でなんと40日以上も日本での滞在期間が短くなりました。ツグミ、シメに加えて、ジョウビタキ、アオジ、ウソの3種も日本での滞在期間が短くなっているとされ、これらの変化はいずれも地球温暖化によるものであると考えられています。
分布の面でも動きがあります。バードリサーチの全国鳥類越冬分布調査は2016年1月から2022年2月までの越冬期に実施され、309種の分布図が描かれました。アンケート回答者396人、フィールドノートからの情報提供者801人という規模の調査です。その結果、開けた場所の地上で採食する鳥や浅水域を利用する渉禽類が、分布の北上で上位に入りました。これらは積雪や凍結の影響を受けやすい種です。
庭でできることは、記録を残すことです。「今年はツグミが来たのが遅かった」という感覚は、書き留めておかなければ翌年には消えてしまいます。日付と種名だけのメモでも、5年続ければ自分の庭のデータになります。詳しい結果はバードリサーチ「全国鳥類越冬分布調査 最終報告」で公開されています。
シーン別|観察スタイルで変わる、冬鳥との付き合い方
同じ「庭で冬鳥を見る」でも、目的によって最適な方法は変わります。自分がどのタイプかを決めてから始めると、遠回りが減ります。
週末に窓から眺めたい人には、植栽と落ち葉の管理だけで十分です。実のなる木を1〜2本と、株元に落ち葉を残す一角。餌台の毎日の管理が要らないので、負担なく続きます。ジョウビタキは1羽ずつなわばりを持つので、窓辺から同じ個体を追いかけるのに向いています。
子どもと一緒に観察したい人には、浅い水場が向いています。飲む、浴びる、羽づくろいをする、という一連の行動が数分間続くので、集中力が長く持たない年齢でも見届けられます。鳥に触れないこと、死んだ鳥を見つけたら大人に知らせることを、最初に約束しておいてください。
種数を増やしたい人は、庭の外側にも目を向けましょう。神奈川県の資料は、秋冬に見られる鳥をレア度で3段階に分けていて、見つけやすい種としてジョウビタキ、シロハラ、ツグミ、カシラダカ、アオジを、やや難しい種としてルリビタキ、トラツグミ、シメ、クロジを挙げています。庭の6種を覚えたら、近所の公園や緑地でこの次の段階に進むのが自然な順序です。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ◎ | ◎ | ○ | △ | △ | △ | △ | △ | △ | ○ | ◎ | ◎ |
◎=よく見られる(もっとも観察しやすい時期) ○=見られる △=まれに見られる / 庭の冬鳥全般の目安。ジョウビタキは10月中旬ごろ渡来し桜が咲く前に渡去、ツグミが町で目立つのは11月以後、ツグミは5月の連休くらいまで残るものもいます
まとめ:今日から始める、庭の冬鳥観察
庭に来る冬鳥は、遠くの探鳥地へ行かなくても会える鳥たちです。バードリサーチのベランダバードウォッチでは、越冬期の記録にツグミが5番目、ジョウビタキが12番目に入っていました。特別な庭でなくても、冬鳥は普通に降りてきます。最初の一歩としておすすめしたいのは、今日から1週間、朝の5分だけ窓の外を見ることです。オレンジの腹に白い紋が見えたらジョウビタキ、地面を歩いて胸に斑があればツグミ。この2種に名前をつけられた時点で、庭の冬は違って見えてきます。
なお、給餌のルールや鳥獣保護管理法の運用は自治体によって細かな違いがあり、鳥インフルエンザの発生状況によっても対応が変わります。実際に餌台を置く前に、お住まいの自治体と日本野鳥の会の最新情報をご確認ください。

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