MENU

ツバメの巣作りの時期は3月末〜6月末|完成2週間、渡来時期とのズレの理由

ツバメの巣作りの時期は3月末〜6月末|完成2週間、渡来時期とのズレの理由のアイキャッチ画像

庭先の軒下でツバメが忙しそうに泥を運んでいるのを見て、「そういえば巣作りっていつからいつまでなんだろう」と気になったことはありませんか。毎年同じ時期に同じような光景を見ているようで、実は「いつ来て、いつ巣を作り始め、いつ完成するのか」を正確に説明できる人は意外と少ないものです。

結論から言うと、ツバメの巣作りの時期は3月末から6月末にかけてで、1つの巣が完成するまでの期間は約2週間から1ヶ月程度です。ただしこれは全国一律ではなく、ツバメの渡来自体に地域差があるため、巣作りが始まるタイミングも地域によってずれます。

この記事では、ツバメの巣作りの時期がなぜこの期間になるのか、材料や場所選びにどんな工夫があるのか、そして巣作りから巣立ちまでの間に気をつけたいマナーや法律のルールまで、庭やベランダでツバメを見守りたい人が知っておきたいことをまとめています。

📌 この記事でわかること

・ツバメの巣作りの時期と完成までにかかる期間の目安
・巣作りが始まる時期が地域や個体で違う理由
・巣の材料や場所選びに隠されたツバメの生態
・抱卵から巣立ちまでのスケジュールと、2回目の繁殖について
・巣作り中〜子育て中に気をつけたい法律とマナー

目次

ツバメの巣作りの時期は3月末〜6月末|まず結論から

ツバメの巣作りの時期は3月末〜6月末|まず結論からの解説画像

結論:巣作りの時期は3月末〜6月末、完成まで2週間〜1ヶ月

ツバメの巣作りが行われる時期は、3月の終わりごろから6月の終わりごろまでです。この期間のどこかで巣作りが始まり、着手からおよそ2週間から1ヶ月程度で1つの巣が完成します。つまり「3月末に巣作りを始めるツバメ」もいれば「6月に入ってから巣作りを始めるツバメ」もいるということで、巣作りの時期には数ヶ月分の幅があります。

この幅が生まれるのは、ツバメの渡来時期そのものに地域差があり、さらに1シーズンに複数回繁殖する個体がいるためです。全国どこでも「4月に入ったら一斉に巣作りが始まる」というわけではなく、地域ごとに巣作りのピークがずれると考えておくのが実態に近いといえます。

ツバメは分類上スズメ目ツバメ科に属し、全長17cm、翼開長32cm、体重18.6g(15.6〜24.0g)ほどの小さな鳥です。体は光沢のある黒色、腹は白色、額と喉は赤く、尾は長く二つに分かれています。この尾はオスの方がメスより長い傾向があり、巣作りの主役となるペアを見分ける手がかりの1つにもなります。

渡来のピークは西日本3月上旬、北海道は4月下旬

巣作りの時期を理解するには、その前段階である渡来時期を押さえておく必要があります。ツバメは3月上旬から西日本で見られ始め、4月に入ると東日本へと分布を広げ、4月下旬には北海道にも到達します。つまり日本列島を南から北へ、1ヶ月半ほどかけて渡りが進んでいくイメージです。

この渡来のタイムラグがそのまま巣作り開始の地域差につながります。西日本で3月末から巣作りを始めるペアがいる一方、北海道ではツバメ自体がまだ到着していない時期であることも珍しくありません。「近所で見かけたのに、遠くの親戚の庭にはまだ来ていない」という会話が成り立つのは、この渡りの進み方が理由です。

越冬地はフィリピンやインドネシアなどの東南アジアで、そこから数千キロを移動して日本にやって来ます。長旅を終えたばかりの個体がすぐに巣作りを始めるわけではなく、一定の準備期間を経てから営巣行動に入る点も、時期に幅が出る要因の1つです。

渡来してすぐには巣作りしない理由

ツバメが到着してすぐに泥を運び始めないのは、体力の回復とエサ環境の確認が必要だからです。ツバメは飛びながらトンボやアブなどの昆虫を捕食する完全な飛行採餌型の鳥で、巣作りや子育てには安定して昆虫を捕れる環境が欠かせません。渡来直後はまず周辺の状況を確認し、条件が整ってから巣作りに着手すると考えられています。

実際の観察では、ツバメが電線や軒先に止まって周囲を見ている時期があり、その後に泥を運ぶ行動が始まるという流れがよく見られます。「来たのにしばらく巣を作らない」のは異常ではなく、準備期間として自然な行動です。

ここで焦って巣箱を設置したり、巣を作ってほしい場所に人が頻繁に出入りしたりすると、かえってツバメが警戒して別の場所を選んでしまうことがあります。巣作りの時期を待つ間は、いつも通りの生活リズムを保ちながらそっと見守るのが現実的な対応です。

巣作りの時期を見逃さないための観察のコツ

巣作りの始まりを見逃さないためには、3月末以降、軒先や電線にツバメが止まっている時間が増えていないかを気にかけておくと分かりやすくなります。くちばしに泥や枯れ草をくわえて往復する行動が見られたら、それが巣作り開始のサインです。

観察する際は、双眼鏡を使って少し離れた位置から見るのがおすすめです。巣作りの初期段階は特に警戒心が強く、人の気配を感じると作業を中断してしまうことがあります。

注意したいのは、同じ場所に毎年ツバメが来るとは限らない点です。前年に営巣していた家でも、周辺環境の変化(工事や照明の増設など)によって別の場所を選ぶことがあります。「去年は来たのに今年は来ない」という場合、時期がずれているだけのこともあれば、営巣地としての条件が変わってしまった場合もあります。

🗓 観察カレンダー
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

◎=巣作り・子育てのピーク ○=巣作りや巣立ちが見られる時期 △=2回目繁殖などで見られることがある -=ほぼ見られない(越冬地に滞在)

なぜこの時期?渡来と繁殖のタイミングの関係

越冬地からの長距離移動と繁殖スケジュール

ツバメが3月から6月という限られた時期に巣作りを集中させるのは、東南アジアの越冬地と日本の繁殖地を往復する渡り鳥ならではのスケジュールが理由です。フィリピンやインドネシアで冬を過ごしたツバメは、日本での繁殖に間に合うタイミングを見計らって北上してきます。

渡りには相応の体力を要するため、渡来後すぐに巣作りへ移行できるペアもいれば、体力回復に時間がかかるペアもいます。この個体差も、巣作り開始時期に3ヶ月ほどの幅が生まれる一因です。

また、繁殖を1回で終えるペアと、1シーズンに最大2回繁殖するペアとでは、当然ながら2回目の巣作りが始まる時期も変わってきます。1回目の巣作りが早いペアほど、2回目の巣作りに挑戦する余地が生まれるという関係性があります。

気温・日照時間とエサとなる昆虫の関係

ツバメの主食は飛びながら捕らえるトンボやアブなどの昆虫です。気温が低く昆虫の活動が鈍い時期には、ヒナに十分な量のエサを運べません。そのため、昆虫が飛び交うようになる気温まで上がってから巣作りのスイッチが入ると考えられます。

西日本で3月上旬から渡来が始まるのも、北海道への到達が4月下旬までずれ込むのも、気温の上昇ペースが地域によって異なることと符合します。巣作りの時期は、単なるカレンダー上の日付ではなく、その土地の気候と連動していると捉えると納得しやすくなります。

庭やベランダにツバメが来てほしいと考えている場合、周辺に昆虫が集まりやすい環境(植栽がある、水辺が近いなど)があるかどうかも、巣作りの時期や有無に影響する要素の1つです。

早すぎても遅すぎてもダメな理由

巣作りの時期が早すぎると、まだエサとなる昆虫が十分に発生しておらず、ヒナを育てるだけの食料を確保できないリスクがあります。逆に遅すぎると、ヒナが巣立って自立するまでに十分な期間を確保できないまま、東南アジアへの渡りの季節(8月中旬〜10月)を迎えてしまいます。

ツバメにとって3月末から6月末という期間は、こうした前後の制約の中でヒナを無事に育て上げられる「間に合う」タイミングを見極めた結果と考えられます。

意外と知られていないけれど、巣作りの時期がずれ込んだ場合、ツバメは1回目の繁殖をあきらめて、より条件の良い場所での2回目の繁殖に賭けることもあります。巣作りの時期を「必ず守るべきスケジュール」ではなく「状況に応じて調整される目安」として捉えると、庭で見る個体差にも納得しやすくなります。

📌 押さえておきたいポイント

巣作りの時期(3月末〜6月末)は、渡来時期の地域差と、ヒナを育てて渡りに間に合わせるための逆算の両方から決まっています。焦って早く巣作りが始まるわけではなく、気温やエサの状況が整ってからスタートする点がポイントです。

巣の材料と場所選びに隠されたツバメの知恵

巣の材料と場所選びに隠されたツバメの知恵の解説画像

巣の材料は泥とわら、内側は羽で裏打ち

ツバメの巣はおわん型で、土台には泥とイネ科の植物(わらなど)を混ぜ合わせたものが使われ、内部は鳥の羽で裏打ちされています。水分を含んだ泥をくちばしで少しずつ運び、積み上げていくことで、あの丸みを帯びた形が作られていきます。

泥だけでは崩れやすいため、枯れ草などの繊維質を混ぜることで強度を高めています。人間で言えば鉄筋コンクリートのように、泥(コンクリート)と植物繊維(鉄筋)を組み合わせて壁を作っているイメージに近いといえます。

内側に羽を敷き詰めるのは、卵やヒナを冷たい泥壁から守るためのクッション材の役割です。巣作りの後半になるとこの羽の裏打ちが加わり、産卵に向けた最終仕上げに入ります。

泥はどこから調達する?

巣作りに使う泥は、空き地や公園の水たまり、土手などから採取されます。庭先でツバメが低空を行き来しているとき、その先には泥の採取場所があると考えるとつながりが見えてきます。

近くに適した泥場がない場合、巣作りに時間がかかったり、そもそも営巣自体を諦めたりすることがあります。庭に小さな水たまりや湿った土のスペースを作ることが、間接的にツバメの巣作りを後押しする場合もあります。

注意点として、乾燥した時期が続くと泥が確保しにくくなり、巣作りが遅れる原因になります。同じ地域でも年によって巣作りの進み方に差が出るのは、こうした天候要因も関係しています。

軒先や雨どい近くを選ぶ理由

ツバメは高い位置、特に屋根の軒先や雨どい近くを営巣地として好みます。これは、雨風を防げる庇があり、かつ地上の外敵から届きにくい高さであることが条件として重視されているためです。

具体的には、人の出入りが活発で、雨風を防げる軒や庇があり、泥が手に入る水辺に近い環境が選ばれやすいとされています。玄関先やガレージの軒下にツバメが巣を作りやすいのは、この3条件がそろっていることが多いからです。

逆に言えば、軒先があっても人通りがほとんどない裏庭のような場所は選ばれにくい傾向があります。「立派な庇を作ったのに来てくれない」という場合、人の往来の少なさが原因になっていることもあります。

人通りが多い場所をあえて選ぶ逆説

実は、ツバメは人間を避けるどころか、あえて人通りの多い場所を選んで営巣する習性があります。天敵となるカラスやヘビは人の気配を嫌うため、人間の往来が多い玄関先や店舗の軒先の方が、かえって卵やヒナを守りやすいという逆説的な理由からです。

この習性を知らずに「人が近くを通ると鳥がかわいそうだから」と巣の近くを避けて通るようにすると、かえってツバメにとっての安全度が下がってしまう可能性があります。もちろん巣に近づきすぎたり、じっと見つめ続けたりするのは別の話ですが、普段通りに人が行き来すること自体はツバメにとって都合の良い環境だと考えられています。

庭やベランダにツバメを呼びたい場合、静かで人目につかない場所よりも、人の出入りがある玄関周りの方が選ばれやすいというのは、覚えておくと役立つポイントです。

🏠 ツバメの巣作りステップガイド
Step1:営巣地を選ぶ(雨風を防げる軒先や雨どい近く、人通りが多く天敵が近寄りにくい場所)
Step2:泥を集める(水たまりや土手から水分を含んだ泥をくちばしで運ぶ)
Step3:泥とわらを積み上げる(イネ科の植物を混ぜながら少しずつ壁を作る)
Step4:内側に羽を敷く(卵やヒナのためのクッション材として仕上げる)
完成! 着手から約2週間〜1ヶ月ほどで、産卵できる状態の巣が完成します

巣作りにかかる期間はどれくらい?進み方の目安

期間の目安は2週間〜1ヶ月

巣作りにかかる期間は約2週間から1ヶ月程度です。ゼロから泥を運び始めて完成にこぎつけるまで、この幅の中で進むことが多いとされています。

期間に幅があるのは、天候や泥の確保しやすさ、そしてペアの経験値によって進み方が変わるためです。前年にも同じ場所で営巣していたペアが古い巣を補修する場合は、ゼロから作るより短い期間で済むこともあります。

「思ったより時間がかかっているな」と感じても、1ヶ月程度は想定の範囲内です。焦って様子を見に近づく必要はありません。

一日でどのくらい進む?

ツバメは水分を含んだ泥をくちばしで運び、少しずつ積み上げていくという地道な作業を繰り返して巣を作ります。1回に運べる泥の量はわずかなため、何十回、何百回という往復を繰り返して少しずつ巣の形が出来上がっていきます。

観察していると、巣作りの初日は基礎となる土台部分を作るために泥を運ぶ回数が多く、日を追うごとに壁を高くしていく様子が見られます。1日中作業しているわけではなく、朝夕の涼しい時間帯に集中して作業することが多いのも特徴です。

1日だけ見て「全然進んでいない」と判断するのは早計です。数日単位で見比べると、巣の高さや形が着実に変化していることが分かります。

天候・材料調達で変わる進み具合

雨が続いて泥が過剰にぬかるんでいたり、逆に乾燥しすぎて泥が確保できなかったりすると、巣作りのペースが落ちることがあります。天候はツバメにとってコントロールできない要素であり、巣作りの期間が2週間で終わるか1ヶ月かかるかを左右する大きな要因です。

近くに適した泥場がない場合も、遠くまで泥を探しに行く必要が生じ、往復にかかる時間が増えて完成が遅れます。庭先に湿った土や小さな水場があるかどうかが、間接的に巣作りのスピードに影響することもあります。

失敗パターンとしてよくあるのが、巣作りの途中で人が頻繁に巣の近くを通ったり、はしごをかけて覗き込んだりして、ツバメが警戒して作業を中断してしまうケースです。作業が数日止まっているように見えたら、身近に驚かせる要因がないか振り返ってみることが対策になります。

⚠️ 注意:巣作り中に近づきすぎると放棄されることも

巣作りの様子が気になっても、はしごをかけて間近から観察したり、頻繁にカメラを向けたりするのは避けましょう。日本野鳥の会も、野鳥に「ストレスを与えないよう十分な距離を取る」ことを呼びかけています。巣作りの初期段階で強いストレスを与えると、そのまま巣作りを放棄してしまうことがあります。

抱卵からヒナの巣立ちまで、時期ごとに何が起きているか

産卵数と抱卵日数の目安

巣が完成すると、ツバメは3〜7個(平均3.00〜4.98個)の卵を産みます。1回目の繁殖の方が2回目よりも産卵数が多い傾向があります。

抱卵日数は1回目の繁殖で平均14.1日(9〜17日の範囲)、2回目の繁殖では平均14日程度(9〜16日の範囲)です。卵からヒナが孵化するまでの期間としては、約14日から18日程度とされています。

抱卵中はメスが中心となって卵を温め、オスがエサを運ぶなど役割分担をしながら子育ての準備を進めます。この時期に巣を覗き込んだり、頻繁に近づいたりすると、抱卵を放棄してしまうリスクがあるため注意が必要です。

育雛期間とヒナの成長

孵化後、ヒナが巣立つまでの育雛日数は、1回目の繁殖で平均39.1日(33〜46日の範囲)、2回目の繁殖では平均32日程度(29〜38日の範囲)です。1回目の繁殖の方が育雛にかける期間が長い傾向がうかがえます。

この間、親鳥は昆虫を捕まえてはヒナの元へ運ぶ作業をひたすら繰り返します。関連記事で紹介している通り、親鳥の給餌回数は非常に多く、短期間に何百回も往復することが分かっています。

あわせて読みたい
ツバメの餌やりが実らない理由|親鳥は3日で283回、飛ぶ虫だけを運んでいた
軒下にツバメの巣ができた。ヒナの声が聞こえてくる。そうなると、つい「何か食べさせてあげたほうがいいのでは」と思ってしまいますよね。パンくずを置いてみた、ごはん粒…

巣立ちの時期は7月から8月

抱卵・育雛の期間を経て、ヒナが巣立つのは主に7月から8月にかけてです。産卵から巣立ちまでの日数を単純に足し合わせると、卵からおよそ50日前後で巣立ちを迎える計算になります。

巣立ち直後のヒナはまだ飛行が安定していないことが多く、電線や近くの枝で親鳥からエサをもらいながら過ごす様子が見られます。ヒナの巣立ちに関するより詳しい成長の様子は、関連記事でも解説しています。

あわせて読みたい
ツバメのヒナは孵化から20日で巣立つ|落ちたヒナを拾ってはいけない理由 軒下から「ジジジッ」という声が聞こえ始めて数日。気づけば巣のふちから黄色い口がいくつも顔を出していて、親鳥がひっきりなしに出入りしている——そんな春から初夏の...

繁殖が失敗することもある(約23%)

ツバメの繁殖は必ずしも成功するとは限りません。捕食、巣の崩壊、撤去、放棄などによって、約23%の繁殖が失敗に終わるとされています。巣立ちヒナ数は平均3.00〜5.20羽(3〜6羽の範囲)で、産卵数よりも少なくなるのが通常です。

この数字を知っておくと、庭で見ていた巣が途中でヒナの姿を見せなくなっても、それが特別に不運な出来事ではなく、一定の確率で起こり得ることだと理解できます。カラスなどの捕食者に対する対策は後の章で紹介しますが、完全に失敗をゼロにすることは難しいのが野鳥の子育ての実情です。

段階 1回目の繁殖 2回目の繁殖
巣作り期間 2週間〜1ヶ月 2週間〜1ヶ月(補修は短縮も)
一腹産卵数 平均3.00〜4.98個 1回目より少なめ
抱卵日数 平均14.1日(9〜17日) 平均14日程度(9〜16日)
育雛日数 平均39.1日(33〜46日) 平均32日程度(29〜38日)
巣立ちヒナ数 平均3.00〜5.20羽(3〜6羽) 1回目とおおむね同水準

※野鳥の教科書調べ(各種データの平均値・範囲をもとに作成)

一年に2回巣を作ることもある?夏の終わりの巣作りの正体

1シーズン最大2回の繁殖

ツバメは1シーズンで最大2回の繁殖が可能です。1回目の巣立ちを終えた後、体力と時期に余裕があれば、同じペアが2回目の繁殖に挑戦することがあります。

1回目の巣立ちが早い時期(5月〜6月頭)に済んだペアほど、2回目の巣作りに取り組む時間的余裕が生まれます。逆に1回目の巣作り自体が遅れたペアは、2回目に着手する時間がなく、1回のみの繁殖で終わることも珍しくありません。

2回目の繁殖があることを知らないと、「7月になってもまだ巣作りしているツバメがいる」ことに違和感を覚えるかもしれませんが、これはツバメの生態としてごく自然な行動です。

2回目は同じ巣を補修して使うことも

2回目の繁殖では、1回目に使った巣をそのまま補修して再利用することがあります。ゼロから泥を運ぶよりも短い期間で産卵できる状態に戻せるため、2回目の巣作り期間が1回目より短く済むケースが見られます。

そのため、夏の終わりにも巣の中にヒナの姿が見られることがあります。1シーズンで最大2回の繁殖が可能で、巣立ち後、同じ巣や補修した巣でもう一度繁殖することもあり、そのため夏の終わりにも雛の姿が見られることがあるとされています。

ここで気をつけたいのが、1回目の巣立ちが終わったからといって、すぐに巣を撤去してしまうことです。2回目の繁殖に使われる可能性があるため、少なくともそのシーズンの渡りの時期(8月中旬〜10月)が終わるまでは、巣をそのままにしておく方が安全です。

巣立ち後の集団ねぐらと南への旅立ち

子育てを終えたツバメは、数千羽から数万羽という規模で集団になってねぐらをとるようになります。この集団ねぐら形成は7月から9月ごろにかけて見られ、河川敷のヨシ原などが集合場所として知られています。

巣立ったばかりのツバメは、親鳥から飛び方やエサの獲り方を教わりながら過ごし、やがて8月から10月にかけて南へ渡る個体が増えていきます。最終的には秋が近づく9〜10月ごろに日本を離れ、フィリピンやインドネシアなどの東南アジアへ移動します。

庭先で見送ったツバメが再び戻ってくるかどうかは断言できませんが、同じ個体が翌年も同じ地域に戻ってくることは知られています。ツバメの寿命や、渡りを繰り返しながら生きる姿については、関連記事でも詳しく紹介しています。

あわせて読みたい
ツバメの寿命は平均1〜2年、最長記録は8年11か月|足環がつないだ57年 春先に軒下を見上げて、「去年と同じ子が帰ってきたのかな」と思ったことはありませんか。あの黒く光る背中の鳥が、いったい何年生きるのか。調べてみると「1〜2年」と...
📌 押さえておきたいポイント

夏の終わりに見る巣作りは異常ではなく、2回目の繁殖である可能性が高いです。1回目の巣立ちが済んでも、渡りの季節が終わるまでは巣をそのまま残しておくのが安全な対応です。

巣作り中に気をつけたいマナーと法律のルール

卵やヒナがいる巣を撤去してはいけない

ツバメの巣作りに関わる上で最も重要なのが、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)です。この法律のもとでは、府や市町村の許可なく、卵やヒナがいる野鳥の巣を撤去することは「鳥獣保護管理法により禁止されています」。ツバメおよびツバメの卵は保護の対象になっています。

これは、玄関先の巣が汚れて困る、ヒナの鳴き声がうるさいといった個人的な事情があっても変わりません。環境省も、狩猟を除き「鳥獣又は鳥類の卵については、原則としてその捕獲、殺傷又は採取が禁止されています」との見解を示しています。

違反した場合、「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金いずれかの刑罰が課される可能性があります」。巣作りの途中で「ここに巣を作られては困る」と感じても、卵やヒナがいる状態での強引な撤去は避ける必要があります。

撤去できるタイミングと許可申請

ツバメの巣を自力で撤去できるのは、卵を産む前、またはすでにヒナが巣立った後のみに限られます。巣作りの初期段階(まだ産卵していない状態)であれば、住人の判断で巣を取り除くこと自体は可能とされています。

一方、卵やヒナがいる状態でどうしても巣を撤去したい事情がある場合は、自治体に「鳥獣の捕獲等許可申請」を提出し、都道府県知事(または市町村長)の許可を得る必要があります。許可は、生態系被害や農林水産業被害がある場合など、捕獲の必要性が認められた場合に下りる可能性があるとされていますが、個人の都合だけでは許可されにくいのが実情です。

失敗パターンとして多いのが、「巣作りを始めたばかりだから」と自己判断でヒナがいる巣を撤去してしまうケースです。巣作りの初期段階と、すでに産卵・抱卵が進んでいる段階を見分けるのは意外と難しく、迷った場合は自治体の窓口に相談するのが安全です。

観察・撮影のマナー

巣作りや子育ての様子を観察・撮影する際は、日本野鳥の会が示す基本マナーに沿うことが大切です。野鳥に「ストレスを与えないよう十分な距離を取る」ことが基本で、営巣・育雛中の野鳥には近づかないことが求められます。音声誘引やバードコール、餌付け、フラッシュ・ストロボの使用も禁止されています。

私有地への無断侵入は避け、三脚を使う場合は通行人への配慮も必要です。また、営巣中の写真をSNSに公開しない、稀な渡り鳥の情報はその鳥がいなくなってから公開するといった配慮も、野鳥の会のガイドラインで示されています。

けがをしているツバメを見かけた場合も、自己判断で保護しようとするのではなく、「触れずに見守っていただくようお願いいたします」というのが基本の対応です。人為的な負傷を除き、自然に任せることが重要とされています。

フン対策・カラス対策は巣を壊さずに

巣の下に落ちるフンが気になる場合は、段ボール箱を地面に置いて新聞紙を敷くか、巣の下50cm以上離れた場所にフン受けを設置する方法があります。ヒナが孵化した後に設置するのが推奨されています。巣そのものに手を加えず、下に受け皿を置くだけなので、巣作りやその後の子育てを妨げません。

カラスによる捕食が心配な場合は、巣の下に糸やネットを張り、カラスが侵入できないよう妨害物を設置する方法が知られています。巣の下から蹴り落とすカラスの行動を防ぎながら、ツバメ自身は出入りできるスペースを確保するのがポイントです。

いずれの対策も、巣を移動させたり作り直させたりするものではなく、巣作りの成果をそのまま活かしながら周辺環境を整える方法です。巣に直接触れる対策は破損や放棄のリスクがあるため、周辺への設置にとどめるのが基本です。

Q. 巣作りの途中でツバメが来なくなったら、巣を撤去してもいい?
A. 卵を産む前の未完成の巣であれば撤去自体は可能とされていますが、しばらく様子を見て本当に営巣を放棄したのか確認してからにしましょう。卵やヒナがいる状態での撤去は法律で禁止されており、判断に迷う場合は自治体に相談するのが安全です。

まとめ

🐦 この記事の結論

ツバメの巣作りの時期は3月末〜6月末、完成まで2週間〜1ヶ月です。焦らず見守り、卵やヒナがいる巣には手を出さないことが大切です。

✅ 要点チェック
  • 時期:巣作りは3月末〜6月末
  • 期間:完成まで2週間〜1ヶ月
  • 材料:泥とわらを積み上げ羽で裏打ち
  • 2回目繁殖:夏の終わりの巣作りもある
  • 法律:卵・ヒナがいる巣は撤去禁止

ツバメの巣作りは、渡りという長距離移動の先にある、限られた期間での命がけの子育て準備です。庭先で泥を運ぶ姿を見かけたら、まずは距離を保ってそっと見守り、巣が完成してからの数ヶ月間もそのままにしておくことが、ツバメにとっても観察する側にとっても一番良い付き合い方です。

※最新の法律・制度については、環境省や各自治体の公式サイトでご確認ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

野鳥の教科書編集部です。テーマに関する基礎知識や選び方を、公式情報など確認できる情報をもとに編集しています。掲載後も定期的に見直し、変更があれば更新します。

コメント

コメントする

目次